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取り巻きAの家が没落しかけていますわ!

「泣き止みましたわね。ほら、このハンカチを使ってくださいまし」


「ありがとうございます、ミシュ様」


ナディアは私のハンカチで涙の跡をそっと拭う。


「洗ってお返し致しますね」


「いいえ。今日からお友達になったんですもの。親交の証として受け取ってくださいな」


私がそう言えば、ナディアは目を見開いた。


「お友達…?私とミシュ様が…?」


「あら…違いますの…?」


不安そうに覗き込んでやれば、ナディアは首をブンブンと横に振る。


「いえ、恐れ多いですけど…何よりも大切なお友達です!」


「よかったわ、ありがとう」


ちょろい。


「けれど、一体何がありましたの?」


「それが…実は、実家が没落しそうで…」


「え」


ああ、忘れてた。思わず素で驚いてしまいましたわ。そう、取り巻きAがミシュリーヌの取り巻きになる理由。それは、ミシュリーヌに実家の没落の危機を救われたから。


取り巻きAの父は投資に失敗。一攫千金を狙うはずが一文無しになり、領地経営は上手くいっているのに家にはお金がなく借金まみれの状況。それを嘆く取り巻きAの存在を知り、ミシュリーヌは多額の資金を自分のお小遣いの中から取り巻きAの父へ援助。さらに借金を自分のお小遣いの中から一括で返してやったのだ。


ミシュリーヌは公爵令嬢であり、大金持ちの娘なので当然ながら月々のお小遣いも桁違い。そんなミシュリーヌだから出来たこと。しかしミシュリーヌは気まぐれや優しさでそれをしたわけではない。自分の奴隷が欲しかったのだ。なので、恩を売った取り巻きAを自分の奴隷として扱うようになる。しかし取り巻きAは恩があるため逆らえない。結局、ミシュリーヌが悪役令嬢として断罪されるその日まで付き従うのだ。


「父が投資に失敗して…」


「まあ、それは大変。援助しますわ」


「え!?」


「お友達の危機ですもの。当然ですわ」


うん、自然な流れで援助の話に持って行けましたわね。本来ならもう少し先、借金がさらに膨らんでから助ける設定ですけれど。まあ、感謝はされるはずですわ!奴隷は一人だけで充分。ルーセルさえいればいいですから、取り巻きAは自分をヨイショする取り巻きとしての役割だけを期待しますわ!その方が却って使い勝手も良さそうですもの!


「え、え、そんな!申し訳ないです!」


「義姉上、それは流石にお人好し過ぎます!」


二人から猛反対されるけれど、必要なことですわ。


「いいえ、必要なことなんですの」


「え…」


「…それは何故?」


「今ここで、助けられるお友達を見捨ててしまっては私はきっと後悔致しますわ。私自身のために、私は私のお友達を助けたい」


「ミシュ様…!」


「…はぁ。優しい義姉上らしいですね。僕としては優しすぎると思うのですが…」


呆れたような表情のルーセル。感動したと言わんばかりのナディア。取り巻きAとして、これでもかとヨイショしてくれそうな心酔具合に私はにんまり笑ってしまいそうなのを必死で抑える。


「大丈夫ですわ。お小遣いの範囲でなんとかしますわ。とりあえず、借金は全額肩代わりして一括で返しておきますわね。あと、少しばかり援助もしますわ」


「ミシュ様…何から何まで、本当にありがとうございます…!」


「いいえ、良いんですのよ。お友達ですもの」


こうしてナディアの実家を援助することに決めましたわ。そして、そうこうしているうちにパーティーが終了。お開きとなりみんな帰りましたわ。私とルーセルも馬車で帰り、お父様とお母様に事の次第を説明。借金の肩代わりと援助の許可を得て、早速次の日に有言実行しましたわ!

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