瘴気の森
早速瘴気の森と呼ばれる未開拓地に接近した私とシルヴェストル。ちょうど瘴気の森全体を見渡せる丘の上にきましたわ。瘴気はかなり色の濃い紫色の靄のように目に見えるので、瘴気の森がいかに汚染されているかがわかりますわ。
「これ以上は近付いてはいけないよ、ミシュ。ここから光魔法をかけよう」
「まずは私から行きますわね、殿下」
私は集中して、光のイメージを膨らませる。魔力を解放すれば、なかなか広範囲の瘴気が払えたが広大な森においてはたったの一部でしかなかったですわ。
「うーん、難しいわ」
「でもすごいよ、ミシュ」
「光魔法の天才である王太子殿下に言われても嫌味に聞こえますわね」
言いながら光魔法をさらに発動する。すると、瘴気がまた少し晴れる。
こうして私は、魔力回復用のポーションも駆使してなんとか瘴気を祓いましたわ。でもここが限界ですわ。
「私はここが限界ですわ。少し休みますわ」
「さて、それじゃあ残りの瘴気は僕の超級魔法で全部祓うよ」
シルヴェストルがそう言えば、光が森全体を眩く包み込み瘴気が一瞬で全て消えた。もう、普通の森となっていた。
私はちょっと不貞腐れますわ。
「…殿下一人で充分ですわね」
「まあまあ、そう言わずに」
まあでも、シルヴェストルは生粋の魔法学の天才ですもの。敵わないのも仕方ありませんわ。




