お見合い
私トゥーサンは、可愛い従妹のミシュに振られた。想いを伝えれば綺麗さっぱり忘れられるかなって思ったけれど、寮の自分の部屋に戻ると涙が溢れて止まらない。忘れるなんてこと、まだ出来そうになかった。
ようやく涙が止まった頃、私は両親に手紙を出した。お見合いをお受けするという手紙。その後、お見合い相手の釣書を見て驚いた。ミシュのお友達の子爵令嬢…オリアーヌ嬢だった。
多分、ミシュとの縁で繋がったんだろう。
そしてお見合いの席。オリアーヌ嬢はすごく緊張した面持ちだったが、私を見るとホッとしたような表情を浮かべた。…なんか、見た目もそうだけど中身も可愛い子だな。
「では、後は若い二人に任せましょう」
一通り話も済んで二人きりにされる。オリアーヌ嬢はふー、と息を吐いた。
「あー、緊張しました!」
「あはは。オリアーヌ嬢、大丈夫かい?」
「全然大丈夫じゃないですよー!トゥーサン様は良く平気ですね!?」
「まあ、貴族社会で生きてきておいて今更緊張もなにもないよね」
「私は緊張するんですぅ…」
情け無い顔になるオリアーヌ嬢。そんな表情も可愛らしい。
「オリアーヌ嬢も、僕の婚約者になるならこれから嫌でも慣れるよ」
「慣れるまでが怖いです…」
「うん。社交界は魑魅魍魎が跋扈しているから、僕も守るけどしっかり自衛してね」
「不安しかないです!」
「だよねー。あははは」
このところ気分が沈んでいたのに、オリアーヌ嬢と話していたら嘘みたいに気持ちが軽くなっていく。オリアーヌ嬢がお見合い相手でよかったかもしれない。
ともかく、婚約者となる以上オリアーヌ嬢のことは僕がしっかりと守って支えなくては。オリアーヌ嬢が傷付くことがないように、頑張らないと…!




