第二王子殿下からの告白
悪役令嬢としての演技が全然ダメダメだったことを思い知らされて落ち込んで数日。
何故かセラフィンに旧校舎に呼び出された。貴族学園の旧校舎は、今は使われていないが手入れは行き届いている。洗練された雰囲気でカッコいい。
そんな素敵な雰囲気の旧校舎で、セラフィンは緊張した様子で立っていた。なんとなく私まで緊張してしまう。一体大切な話ってなにかしら。
「第二王子殿下」
「あ、来てくれたんだ。ありがとう」
「いえいえ」
なんだか、真剣な雰囲気にドキドキしてしまう。もしかして、断罪イベント…?いやでも、私の悪役令嬢としてのムーブは完全に失敗していたはず。
「僕ね、お前に伝えたいことがあって」
「伝えたいこと?」
「ん…その、僕ね」
セラフィンが深呼吸をして、頬を染めて、目で私を真っ直ぐに射抜く。
「…お前のことが好きだ。愛してる。どうか、僕を選んでくれませんか?そうしたらどこにだって連れて逃げるよ」
背中に隠していた一輪の薔薇を私に差し出したセラフィン。
え?セラフィンが私を好き?まさか!
けれど、そうは思うのにセラフィンの表情は真剣そのもの。やっぱり私、悪役令嬢としては色々大失敗していたんだなぁ。
「第二王子殿下」
「うん」
「第二王子殿下に、好いてもらえて…すごく嬉しいですわ。ありがとうございます」
「…うん」
「でも、私は第二王子殿下を将来の義弟として好きですわ。恋愛感情ではなくて…だから、本当にありがとうございました。ごめんなさい」
「…うん。わかった。…わかってた。ありがとね、ミシュ。きちんと向き合ってくれて」
「いえ…」
「…僕はお前を諦めて、ちゃんと婚約者を選ぶよ。もうお前への恋心は捨てる。…だから、将来の義弟として、これからも仲良くしてくれたら嬉しい」
「もちろんです」
「そっか。…ありがとね。じゃあ、僕、行くから」
「はい」
私が悪役令嬢として完璧だったら、セラフィンを傷つけずに済んだのかなぁ…。私、ダメダメですわね…。これからどうしようかしら…。




