ど、どうしてか私、王太子殿下から愛されているみたいですわ!?
「ミシュ、もしかして僕の気持ちに全然気づいていないの?これでも伝えてきたつもりなんだけど」
「殿下の気持ち?私が嫌いで、ソランジュを好きなのでしょう?」
そういえば、途端に教室内がざわつきましたわ。
「嘘でしょう、ミシュリーヌ様!?王太子殿下はあんなに分かりやすくミシュリーヌ様を溺愛なさっているのに!」
「あれで伝わってなかったの!?いつもミシュリーヌ様は、無自覚にイチャイチャしていたってこと!?」
「さすがにミシュリーヌ様が鈍過ぎる!あの王太子殿下の態度で気づかないなんて!」
…どういうことですの?
「…ミシュ。よく聞いて」
シルヴェストルから肩をがっちり掴まれて、目線を合わせられますわ。
「…なんですの?」
「本当にソランジュとは何もないんだ。僕が愛するのは、ミシュ。君だけだ」
あまりにも真剣な表情で言われて、思わず固まる。
「…もしかして、本当に私のことがお好きなんですの?」
「うん、そう言っている」
シルヴェストルの突然の告白に頭が真っ白になる。なんとか状況を整理しようと、必死に言葉を紡ぐ。
「で、でも、私が好きって言うといつも顔を真っ赤にしてそっぽを向いて、怒っていたではありませんの」
私がそう言うと、シルヴェストルはなんだか脱力。そしてこめかみをおさえた。
「なるほど。照れ隠しのつもりだったんだけど、その態度がいけなかったんだね」
「照れ隠し…?」
ま、まさか本当に照れ隠しだったんですの!?私、悪役令嬢として上手く嫌われているつもりでしたのに!
「紛らわしいですわ!」
「うん、本当だね。ごめんね、ミシュ。不安にさせていたなんて気付かなかった。たくさん傷つけたね。ごめんね」
絶賛今傷ついていますわー!?私の完璧なはずの悪役令嬢としての演技が…何故…!?
「愛してる、ミシュ。僕の心にいるのは君だけだ。どうか、僕を信じてくれるかい?」
「…は、はい。信じますわ」
「じゃあ、ソランジュにもちゃんと謝って仲直りしようね」
私は茫然自失。言われるがままにソランジュに謝りますわ。
「ごめんなさい、ソランジュ」
「こちらこそそんな誤解をうんでしまって、本当にごめんなさい、お嬢様!お嬢様と王太子殿下はぴったりだと思います!絶対邪魔はしませんから、どうかご安心ください!」
もう、なるようになれですわ!




