部活ですわ!
今日はせっかく悪役令嬢ムーブを楽しんでいたのに、シルヴェストルの嫌がらせによって強制的にソランジュと仲直りさせられましたわ。
そして午前の授業が終わり、午後は部活動紹介があって授業はなし。みんな思い思いに様々な部活の紹介を見ていますわ。私は部活に入る気は無いので、強制的に仲直りさせられたソランジュも含めて、みんなと一緒に喋りながら見ていましたわ。そして部活動紹介も終わり、寮に戻る帰り道みんなでお話しますわ。
「部活動、ミシュはどうするのかな?」
「私は帰宅部ですわ」
私の返答に、シルヴェストルは何故か笑みを浮かべた。怖いですわ、なんですの?
「それは良かった。もし気が変わったら声をかけて欲しい」
「過保護過ぎますよ兄上…心配しなくても、兄上が溺愛しているミシュに手を出そうなんて馬鹿そうそう居ません」
「…それはそうだけど、やっぱり心配で」
「まあ、お気持ちはわかりますが」
何故か何かで通じ合うシルヴェストルとセラフィン。兄弟同士でしかわからないなにかがあるのかしら?
「そういえば、みんなはなんの部活に入るのかしら?」
「僕は生徒会の会長になるよう学園から打診があってね、部活には入れそうにないなぁ」
「僕も兄上に同じく生徒会入りが決まってる。まあ、それがなくても特別入りたい部活もないけど」
生徒会かぁ。そういえばそんな設定でしたわね。大変そうですわ。
「私も生徒会にお呼ばれしています、お嬢様」
「ソランジュは聖女様ですものね。大変でしょうけれど、頑張るんですわよ」
「はい!」
朝、あんなに私から虐められたのに健気なソランジュに胸が痛くなりますわ。色々前途多難ですわ。でも、私完璧な悪役令嬢を諦めませんわ!…ところで、私も将来の王太子妃ですのになんで私は生徒会に誘われませんの?
王太子であるシルヴェストル、第二王子であるセラフィン、聖女であるソランジュとくれば私も誘われるものではありませんの?強制力というやつなのかしら?
「私は帰宅部ですわ」
「ふふ、ならナディアとはずっと一緒にいられますわね」
「はい!」
嬉しそうなナディア。とりあえず取り巻きA確保ですわ!
「オリアーヌはどうしますの?」
「私も帰宅部にします!」
「あら、ならオリアーヌともずっと一緒にいられますわね」
「はい!」
取り巻きBも確保ですわ!
「お従兄様は確かフェンシング部でしたわね。ルーセルはどうしますの?」
「僕は従兄上と同じフェンシング部に入ります」
「フェンシング部ですのね。お従兄様もそうですけれど、ルーセルにも似合いますわね」
「そうですか?ありがとうございます、義姉上」
ということで、それぞれ入部届けを用意したり用意しなかったりしつつ寮に戻りますわ。クラスはみんな一緒になりましたけれど、生徒会や部活動があるからずっと一緒ということにはなりそうにありませんわ。
「ネル、ネイ」
学園でも付き添ってくれたリゼットは知っているだろうから置いておいて、ネルとネイに愚痴を吐く。
「どうしました?お嬢様」
「なにかありましたか?」
「いえ、今日部活動紹介がありましたの。みんな思い思いの部活に入部届けを出したり出さなかったりしたんですけれど…私は帰宅部にしましたの。ただ、殿下と第二王子殿下とソランジュは生徒会に入るみたいですわ。何故私には生徒会入りのお話しが来なかったのかしら」
「あー…」
「お嬢様。どうしたってどんなに仲が良い人でも、四六時中ずっと一緒にというのは難しいものです。大丈夫ですよ。王太子殿下とはそのくらいで心が離れるほど浅い仲ではないでしょう?」
「少なくとも私はお嬢様のそばにいますから!大丈夫ですよ、お嬢様!」
「…そうですわね。ネル、ネイ、ありがとう」
私が気にしているのはそういうことでは無いのですけれど、まあいいですわ。
私はこうして、晴れて帰宅部になりましたわ。




