学園初登校、なのに主人公は出会いイベント全てすっ飛ばして私の周りから離れない攻略キャラ達全員と普通に仲良くなっていますわ!?
いよいよ入学ですわ。大きな船に乗って孤島にある貴族学園の敷地に入りますわ。
「わあ…!ミシュお嬢様、船なんて私初めてです!」
「ええ、私も船は初めてですわ!ルーセルもでしょう?」
「はい、初めてです。とても大きくて広いですね」
私、前世でも乗ったことがありませんわ!
「船酔いしていませんか?お嬢様」
「このくらいなら大丈夫ですわ。ルーセルとリゼットとネルとネイは大丈夫ですの?」
「僕は大丈夫ですよ、義姉上」
「私は大丈夫です!」
「俺も平気です」
「私も大丈夫です!」
みんな平気そうなので、孤島に着くまで海の景色を楽しみますわ。
「素晴らしい景色ですわね」
「海がとっても綺麗ですね!ミシュお嬢様!」
「これだけ綺麗な海なら、夏場は海で海水浴もいいですわね」
「とっても素敵な考えですね、お嬢様!」
「義姉上と海…楽しそうですね」
まだ見ぬ孤島での学園生活に胸を躍らせる私。悪役令嬢として頑張りますけれども、キャンパスライフはやっぱり楽しみですわ!
「孤島が見えてきましたよ、お嬢様」
「ふふ。本当に見えてきましたわね。楽しみですわ。学園に着いたら、リゼットとネルとネイは先に寮に行って荷ほどきをお願いしますわ。私は入学パーティーに行ってきますわ」
「はい、ミシュお嬢様」
「お嬢様が寮に来るまでに荷ほどきは終わらせておきますね」
「入学パーティー、楽しまれてくださいね!」
そして船が孤島に着きましたわ。港から出て、学園の門をくぐりますわ。リゼットとネル、ネイは寮に向かいましたわ。私とルーセルは新入生の集まる方に向かって行き、そしてそこでお従兄様を見つけましたわ。
「お従兄様!」
「ミシュ、ルーセル、入学おめでとう。入学パーティーにも呼ばれてるのに気が早いんだけど、ミシュとルーセルにお祝いを言いたくてここまできちゃった」
「ありがとうございます、従兄上」
「ふふ、お従兄様ったら!お祝いありがとうございます。私、これからお従兄様といつでも会えると思うと嬉しいですわ」
「私もだよ、ミシュ」
お従兄様は私の頭を優しく撫でてくださいますわ。
「これ以上居座ると新入生の邪魔になるから、私はそろそろ失礼するよ。また後でね、ミシュ、ルーセル」
「はい、お従兄様」
「入学パーティーが始まったら、すぐご挨拶に伺います」
お従兄様と別れると、クラス分けが書いてある掲示板を見に行きますわ。
するとそこには、ちょうどシルヴェストルとセラフィン、ナディアとオリアーヌが居ましたわ。
「皆様、ご機嫌よう」
「ご機嫌よう、ミシュ」
シルヴェストルが笑顔で返してくれましたわ。
「ご機嫌よう。クラス分け、ミシュと仲のいい全員が同じクラスだってさ」
セラフィンが指差した掲示板にはクラス分けの表が出ていて、私達は見事にみんな同じクラスだった。
「まあ。忖度というやつかしら」
「まあ、可能性はありますね」
ナディアが私の言葉に頷く。
「ミシュ様、改めてよろしくお願いいたします」
「私こそよろしくお願い申し上げますわ、皆様」
「義姉上と同じクラスでよかったです」
見ればソランジュの名前もある。全員同じクラスなのも、実は全てソランジュというヒロインのための強制力というやつかもしれないですわね。ソランジュは後で出会いイベントがあるでしょうからここで合流はないですわね。
「じゃあ、そろそろ入学パーティーの受け付けを済ませようか」
「そうですわね」
「じゃあみんなで行きましょう!」
オリアーヌの言葉に、受付に行こうとした矢先。
「お嬢様ー!」
「ソランジュ!?」
ソランジュが私のところに突撃してきましたわ!?
「お嬢様、坊ちゃん、私達同じクラスですね!嬉しいです!」
「ソランジュ。僕も嬉しいよ」
「ふふ、ありがとうございます!」
そ、そういえばルーセルとの出会いイベントは私の行動でスキップしてしまいましたけど…。
「君がソランジュか。誘拐犯から僕の婚約者を守ってくれてありがとう」
「えっあっ、王太子殿下!?い、いえいえ…」
ああ、出会いイベントが一つ強制キャンセルに!
「聖女様、これからよろしく」
「第二王子殿下!よ、よろしくお願いします…!」
あああさらに一つ強制キャンセル!もうダメですわ!
ま、まあ、悪役令嬢として演技をするのに問題はない…ないはず…!
そ、そう、むしろここで仲良くなって貰えば、虐める動機に繋がりますわ!結果オーライですわ!早い段階でイジメができますわ!
「聖女様、お噂はかねがね…私、ナディアと申します。ミシュ様を救ってくださったこと、お礼を言いたかったんですの!本当にありがとうございます!」
「いえ!いえいえいえ…ナディア様、よろしくお願いします!」
取り巻きAであるナディアと仲良くなっていますわ!?い、いやでもソランジュと仲良くなった取り巻きAに無理矢理ソランジュへのいじめを強要するのも悪役令嬢っぽい。大丈夫、大丈夫。
「私はオリアーヌです。私からもミシュ様を助けてくださったお礼を言わせてください。本当にありがとうございました!」
「は、はい!こちらこそそんな風に言っていただけて嬉しいです…よろしくお願いします!」
うーん…取り巻きBであるオリアーヌすらこれか。前途多難ですわ…でも、悪役令嬢として頑張りますわ!…明日から。今日はもう、うん、初日だしとりあえず入学パーティーを楽しみますわ。それでいいですわ。




