お従兄様が来てくれましたわ!
まだかまだかと待っていたら、やっとお従兄様がきてくださいましたわ!
「ミシュ、おはよう。ちょっと遅くなってごめんね。お誕生日おめでとう」
「お従兄様!来てくださって嬉しいですわ!」
「ミシュのお誕生日を今年もお祝いできて嬉しいよ。学園から一旦戻って来たから、ちょっと到着が遅くなって本当にごめんね」
「いいえ!学園での生活もお忙しいのに駆けつけてくださって、本当に幸せですわ」
「ミシュは本当にいい子だね。ありがとう」
お従兄様に頭を撫でられる。嬉しいですわ!そしてやはりお美しいお従兄様は目の保養ですわ!
「やあ、トゥーサン」
「これはこれは王太子殿下、ご挨拶が遅れてすみません。お久しぶりです」
「いやいや。可愛いミシュに夢中になっていたんだろう?わかるよ」
ちなみに、お従兄様とシルヴェストルは何故かあんまり仲が良くない。私を溺愛してくださるお従兄様が、私の婚約者であるシルヴェストルを気に入らないのはまあわかるのだけど。何故シルヴェストルがお従兄様を気に入らないのかわからない。
やっぱり嫉妬?お従兄様がかっこいいから嫉妬してるの?でも、シルヴェストルだってイケメンなのだけど。私の好みならお従兄様の方が好きだけど、シルヴェストルの方が好きな人だって多いはず。
「でも、ミシュは将来の僕の婚約者だからね。あまり溺愛しないで欲しいのだけれど」
「可愛い従妹を愛するのは当然でしょう?家族愛ですよ」
「だとしても君のそれは度を越してると思うけどね」
「この子は自分そっくりですから、妹のようなものなのですよ」
「ミシュの場合君と違って性格もいいけどね」
にっこり笑いながらお互いに威嚇している二人。幸い周りの貴族はあんまり気にしていない様子。そろそろ止めようかしら。
「お従兄様」
「どうしたの?ミシュ」
今度は優しい笑顔を私に向けてくれるお従兄様。やっぱり私には甘い。しかし止めようと思って話しかけたけど、どう話題を逸らそうかしら?
「ええっとぉ…そ、そう!プレゼントはございませんの?」
「ああ、お待たせしてしまったね。もちろんプレゼントを用意しているよ。どうぞ」
「まあ、なにかしら?とっても小さいわ」
「開けてごらん」
プレゼントを開封すると、そこにはかんざし。
「まあ、素敵なかんざしですわ!」
「私が心を込めて作った自信作だよ」
「お従兄様の手作りですの!?」
「ああ。学園での授業の一環で工作も学んでね。せっかくだから今年のミシュのお誕生日は手作りの品を贈ろうとずっと作っていたんだ。最近ようやく満足の出来のものを作れてね。間に合ってよかったよ」
「お従兄様、大好き!」
ぎゅっとプレゼントを抱きしめる。やっぱり一番大好きなお従兄様からのプレゼントが、一番嬉しい。
「ちなみに、私の手作りだけどもちろん素材にはこだわってね。とても貴重な煌星木から切り出したものだから、普段使いしてもらって問題ないよ」
「煌星木ですの!?」
煌星木とは、この国に自生する貴重な木。特に絶滅危惧種とかではないのですけれど、数は少ないのと神話に関係しているのとで大切に守られて、数を少しずつ増やしている最中。
なので幻の木材であり、かなり貴重。
「逆に普段使いしづらいですわ…」
「ミシュは将来の王太子妃なのだから、普段使いして問題ないよ」
「そ、そうかしら?お従兄様、手に入れるの大変だったでしょう?本当にありがとうございます」
「いいんだ。ミシュに喜んで貰えたらそれで」
優しく頭を撫でられて、思わず涙ぐむ。私のためにそこまでしてくださるなんて。
「お従兄様の従妹で本当によかったですわ…幸せですわ!」
「私としてはむしろ、いっそ他人だったならと思うけどね…」
「え?」
「そうしたら、こんなに可愛い子の手を離さずに済むのに。残念だよ」
「ふふ、お従兄様ったら。冗談ばっかり」
でも、そんなお従兄様がとっても大好きですわ!
「冗談、か。…ふふ。ミシュが王太子殿下のそばで幸せなら、そういうことにしておこうか」
「?」
「王太子殿下、可愛い従妹をよろしくお願いしますよ」
「はは。君に言われなくても、誰よりも幸せにするさ」
シルヴェストルったら、心にもないことを言っちゃって。
「お従兄様、せっかく学園から外出していらっしゃったのですし、今日の私のお誕生日パーティーで目一杯羽を伸ばしてくださいね」
「ありがとう、ミシュ。楽しませてもらうよ」
こうして私の十五歳のお誕生日もまた、みんなからたくさんお祝いされましたわ!そして夜も遅くなった頃、ようやくパーティーもお開きとなりみんなが帰って行きましたわ。私はそれを見送った後、部屋に戻って直接受け取ってはいない他の貴族からの贈り物などを確認致しましたわ。
プレゼントの内容は本当に色々でしたけれど、中には美味しくて日持ちのするお菓子類をくださった方や美容に良い日持ちのするフルーツなどを贈ってくださる方々もいらっしゃいましたわ。一番需要をわかっていらっしゃる素敵な貴族だと思いましたわ。




