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【電子書籍化】悪役令嬢に転生したのでノリノリでなりきりしてみたところ、何故か溺愛されている気がしますわ!?【発売中】  作者: 下菊みこと


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だんだん痩せ細る主人公を見ていられなくて、主人公の両親の経営するパン屋のパンを全て買い取り近場の孤児院に持って行きましたわ。

「謹慎期間はこれで終わりにするけれど、もう危ないことはしちゃダメよ?二人ともわかったかしら?」


「はい、義母上」


「ごめんなさい、気をつけますわ」


ということで謹慎期間が終わりましたわ。


「お母様。反省の意を示すためにも、私もノブレスオブリージュというものを意識しましたの」


「あら…それは大変良いことね」


「そのために護衛もちゃんと付けて、ルーセルと共に市街にまた出ようと思いますわ。そこで、この間見つけた売れていないけれど美味しいパン屋のパンを買って孤児院に持っていこうと思っていますの。パン屋さんも儲かりますし、孤児院の子供たちも美味しいパンを食べられてみんな幸せになりますわ。ねえ、ルーセル」


「僕も良い考えだと思います。どうでしょうか?義母上」


私達二人の力説に、お母様は頬を緩める。


「まあまあまあ!子供の成長は本当に早いわ!こんな小さなうちからそんなにたくさん考えたのね!いいでしょう。護衛を付けて市街に出るのを許可してもらえるよう、お父様にも話をしておくわ」


「お母様、ありがとう!」


「義母上、ありがとうございます」


私達が抱きつけば、お母様は受け止めて優しく微笑む。


「お母様はあなた達の成長がとても誇らしいわ。でも、無理のない範囲でね?」


「はい、お母様!」


「お任せください」


そして次の日、また市街に出ることになった。













「相変わらず賑わっておりますわね」


「さあ、お目当てのパン屋に急ぎましょう」


ルーセルと共に、護衛を連れてソランジュのパン屋に行く。


「もし。パンを買いたいのですけれど」


私が店内にそう声を掛ければ、慌てた様子で幼いソランジュが出てきた。ピンクの髪に青い目の、将来的に聖女になっちゃう可愛い子。やはり存在感が違いますわ。負けていられませんわ。


「は、はい!毎度ありがとうございます!あ、この間のお姉さん!」


リゼットを見て嬉しそうに微笑むソランジュ。


「お姉さんの紹介で来てくださったのですか?お嬢様」


私の姿を見て一目で貴族とわかったらしいソランジュ。今日は平民風の格好ではなく、そのまま来ていますものね。私は余裕のある笑みを浮かべてソランジュに話しかけますわ。


「実は私この間、このリゼットにお使いを頼んでここのパンを食べましたの。とても美味しかったので、この近所にある孤児院の子供たちに是非食べさせたくて。有りっ丈のパンを買いたいのですけれど、可能かしら?」


「有りっ丈…全部買ってくださるのですか!?」


「ええ」


「い、今準備します!」


ソランジュが大きな紙袋に店頭に並ぶパンを全て入れてくれる。私はそれを護衛たちに持たせる。


「ありがとう。またくるかもしれないから、その時はよろしくね。リゼット、私とルーセルのお小遣いからお金を出して」


「はい、お嬢様」


リゼットが、渡してあったお財布から金貨を出して金額より少し多めに払う。ソランジュは目をウルウルさせて私とルーセルにお礼を言う。


「ありがとうございました、お嬢様!坊ちゃん!このご恩は忘れません!」


「ふふ、私はただ良いパンを相応の値段で買っただけですわ」


そしてパン屋から出る私達。その様子を見ていた人々がこちらに注目する。どうみても貴族のご令嬢である私が、行列のできるパン屋ではなく売れていないパン屋のパンを大量購入した姿はよほど印象的らしい。ソランジュのパン屋はこれで周りから興味を持たれただろう。また人が戻るかもしれませんわ。











「…ということで、私このとっても美味しいパンを子供たちに食べさせたいんですの。寄贈してもよろしいかしら?」


私とルーセルはその後すぐ馬車で孤児院に向かい、孤児院の院長と会ってとりあえず寄付金をいくらか払ってあげた。その後そう言うと院長は私とルーセルを崇めるようにして、頭を下げる。


「ここまでご配慮いただきありがとうございます!寄付金も大事に使い、寄贈していただくパンは今日中に子供たちにたくさん食べさせます!本当にありがとうございます!」


「うふふ。我が領内の子供たちのためですもの。当然ですわ」


私がそう微笑むと、孤児院の院長はますます感動したと言わんばかりに涙を流す。


「では、今日はこれで失礼しますわ。また今度来た時に子供たちの反応を教えてくださると嬉しいですわ」


「また来てくださるのですか!?ありがとうございます!」


「では、僕たちはこれで失礼する」


こうして私達は一度馬車で家に帰りましたわ。













「孤児院の子供たち、喜んでくれているかしら?」


「きっと大喜びですよ、義姉上」


「あのパン屋さんの娘さんは、大喜びでしたわね」


「ええ。今日一日だけでも随分と助かったはずですよ」


にっこり笑うルーセルに、こちらも笑って返す。


「私、来週も同じようなことをしようと思うのですけれど、ルーセルも来ます?」


「!…もちろんです、義姉上」


ということで、毎週末同じようにパン屋に行っては全て買い占めて孤児院に寄贈することにしましたわ!


こんなところでヒロインに脱落されては困りますもの!

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