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王妃殿下のお茶会という名の第一王子とのお見合いですわ!

〝瑠璃色の花束を君に〟の悪役令嬢、ミシュリーヌ・マチルド・プロスペール。ミシュリーヌは悪役令嬢として当然のように〝瑠璃色の花束を君に〟のメイン攻略対象である王太子の婚約者でしたわ。


お相手の婚約者はシルヴェストル・サシャ・ジョフロワ。ジョフロワ王国の第一王子殿下ですわ。金髪に緑の瞳のイケメンですわね。


キャラクターとしてはまさに王道の王子様系ですわ。優しくて誠実で、文武両道。王子様の中の王子様。まあ、私としては浮気なんかする奴は決して誠実ではないだろとプレイしていて思ってしまいましたわ。それを言っちゃうと悪役令嬢が登場する時点でもうアウトなんですけれども。


「とはいえ一応、筋は通そうとしていたのですわよねー」


シルヴェストルは、傲慢で高飛車、わがままで不遜なミシュリーヌを酷く嫌っていた。それでも親…つまりは王妃殿下の決定で仕方なくミシュリーヌとの婚約を結ぶことになるのですわ。


そんなシルヴェストルは、なんとか婚約者に変わってもらいたいと言葉を尽くして説得するも無意味。ミシュリーヌは性格がどんどん捻じ曲がっていくのですわ。


しかし王妃殿下にそれを訴えても婚約の解消は認められない。ミシュリーヌは将来の王妃に相応しくないとシルヴェストルは考えていたのだが、王妃殿下は高貴な生まれのミシュリーヌこそ王妃に相応しいと考えていたのですわ。


「そもそも王妃殿下がシルヴェストルとミシュリーヌの婚約を決めたのは、シルヴェストルの将来を考えての親心ですのよね」


シルヴェストルが将来王位を継承することになったその時のために、プロスペール公爵家がシルヴェストルの後ろ盾となってくれれば王家も安泰だと王妃殿下は考えたのですわ。


実際のところプロスペール公爵家は領地も広く持ち、経済的にも恵まれていて、地位も権力もあり、政治的な発言力もあるのですわ。


シルヴェストルの将来を思えば、ミシュリーヌと上手くやっていって欲しいと思うのは当然だったのですわ。


「シルヴェストルもそんな王妃殿下の気持ちには気付いたらしく、余計にどうするべきか分からなくなり学園入学時には割ともうしんどくなってるのよね。それでも入学式の際しっかりと壇上で完璧な挨拶とスピーチをやり遂げる辺りさすがというか」


そして、そんなシルヴェストルのルート。シルヴェストルはヒロインであるソランジュと出会う。入学式が終わるとほとんどすぐに解散になる。下校するためあるいは寮に戻るため、みんな散り散りになる中でソランジュは学園で放し飼いされている猫をこっそりと影で可愛がって、それをみたシルヴェストルはきゅんとするのですわ。しかしそれがどういう感情なのか、初恋でしたからシルヴェストルはわからないのですわ。


「その時に、シルヴェストルの気配を察知した猫ちゃんが鳴いてソランジュに知らせる。ソランジュは猫ちゃんの鳴いた方を見て、シルヴェストルは観念して建物の影から現れる。突然の王子様の登場に驚くソランジュ。こうして二人の縁は結ばれる」


その後何かにつけてシルヴェストルはソランジュの面倒を見るようになる。そのうちに二人の仲は急接近するも、シルヴェストルとソランジュは自分と相手の気持ちに何一つ気付かないのですわ。


そんな状況で、シルヴェストルはソランジュに癒されることで気力を回復して意欲的に動けるようになる。また冷静さも取り戻し、この気持ちがソランジュへの恋心だと気付くのですわ。


シルヴェストルはソランジュのような優しさを持つ女性こそ王妃に相応しいと考える。しかし嫌々とはいえ長い間共に過ごした仲である、婚約者たるミシュリーヌに対して不誠実なことはできないと考えたのですわ。


きちんとミシュリーヌに対してけじめをつけてからソランジュに想いを伝えようと決めて、そのために王妃殿下にミシュリーヌとの婚約の白紙化を求めに行くのですわ。そしてそれが通ったら真っ先にミシュリーヌに伝えに行くつもりだった。


「でも当然王妃殿下はそんなことは認めない。だって相手は聖女候補とはいえ平民なのだから」


ミシュリーヌは性格こそねじ曲がっているが、王太子妃教育をまともにこなす程度には優秀であったこともあり王妃殿下はシルヴェストルを叱責したのですわ。相手は平民。聖女候補とはいえ、公爵家の娘とは比較にならないと。なぜそんなに頑なにミシュリーヌを拒否するのかと。


しかしシルヴェストルは諦めない。何度も王妃殿下に懇願したのですわ。そして、斯くなる上はとミシュリーヌ本人にも直談判しに行くのですわ。


「でも、それがまずかったのですわ。ミシュリーヌはシルヴェストルが自分との婚約を白紙化したがっていると知ると、癇癪を起こしたのですわ」


そして、ミシュリーヌはあろうことか聖女候補であるソランジュに害を加えようとするのですわ。しかし公爵家の娘の方が地位は確実に雲の上だとはいえ、教会から睨まれることになったのですわ。そして教会から直々に王妃殿下に苦情が行き、ミシュリーヌは結局王妃殿下から見放されて婚約はようやく解消。ミシュリーヌは戒律の厳しいと噂の修道院に半ば無理矢理出家させられるのですわ。


そして、見事に自由の身となったシルヴェストルはソランジュを娶ることになるのですわ。ソランジュは平民初の王妃兼聖女として、幸せを掴むこととなるのですわ。


「…うん、王太子ルートはそんな感じでしたわよね?」


明日、お母様に連れられて王妃殿下のお茶会という名の第一王子とのお見合いがある。


どうせお見合いなんて言っても内々で私との婚約は決まっているようなもの。婚約するにあたっての努力は必要ない。


ならば後は、悪役令嬢としてシルヴェストルから嫌われる努力あるのみ!


「頑張るぞー!おー!」


小声で気合いを入れ直す。早く寝て明日に備えることにしたのですわ。

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