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今世の私、乙女ゲームの悪役令嬢ですわ!

また性懲りも無く始めました。完結まで時間がかかるかもしれないですが頑張りますのでよろしくお願いします(`・ω・´)

「ぅー…」


ううん…ここは…。


「あぅ!!!」


はっ!そうだ!私、突然暴走車に跳ねられて!


「うあー!?」


しゃ、喋れない!喉でも潰れた!?いやー!?


「あうー…」


これからどうしよう…せっかく国立大学にスポーツ推薦で受かったのに…。プロになれるかもって、頑張ってたのに…。


「あぅ、あぅぅ…」


喉も潰れるほどの事故だったなら。もう、バレーボールは出来ないの?バレーボールのプロになる夢も、引退後は演劇の世界に華麗に転身する夢も、ボロボロの身体じゃ叶わないよね…。


「うっ…ひっく…」


そもそも喉潰れて声が出ないと、演劇の世界には入れない。どっちも大切な夢だったのに。


「うあーんっ!!!」


こんなのあんまりだよー!神様の意地悪ー!


「あらあら、お嬢様。お目覚めですか?」


泣いていると、知らないおばさんが近づいてきた。


「う?」


誰?と聞きたいけれど言葉にならない。悔しい。しかしこのおばさん、髪の毛ド派手に染めてるな。緑の髪は直では初めて見た。優しく大人しそうなおばさんの割に、なかなかのご趣味をお持ちのようだ。でも、そういう人私は好きよ。


「あら、泣き止んだ。お腹が空いたりおしめを替えたいわけではなさそう。お嬢様、なにかあれば遠慮なく泣いて知らせて下さいね」


お嬢様とは。


いやしかしこのおばさん、よく見ると瞳も琥珀色だ。カラコンだと思ったけど、顔立ちがアジアンではなくヨーロッパ風。もしかして外人さん?それともハーフ?クォーター?にしても日本語お上手ですね。


いや、でも、ヨーロッパでも地毛で緑はなかなかないのでは?やはり染めている?


「…う?」


いや待て。今私は混乱している。何か致命的に間違えていないか。冷静になって周囲を見渡せ、よく考えろ。整理しろ。


「…うー!?」


…お嬢様って何!?てかここ病院じゃないじゃん!そもそもここどこ!?無駄に煌びやかだけど!


「ぎゃー!??」


てか私の手足短くなってるー!?手がちっちゃーい!!!


「ふふ、賑やかですねぇお嬢様。どうしました?」


まさか…私…転生してる…?













ということで、この一週間乳母のおばさんやたまに様子を見に来る両親の話しかけてくれた内容から収集した情報を整理することにしようと思う。色々ショックだったけど、もう諦めた。


私は藤堂瑠璃改め、ミシュリーヌ・マチルド・プロスペール…らしい。


元の私は、多分死んだんだろう。で、転生したと。死んだ時の記憶なんて暴走車に轢かれる直前までしかないので本当に死んだのかと受け入れられない思いだが、実際赤子になっている以上受け入れる他あるまい。


「あうー…」


はぁ…ショック…人生これからだったのに…あっちのお父さんとお母さんにせめてもう一度会いたかったなぁ…。こっちのパパとママもたまに見にきてはなかなかに強烈に可愛がってくれてるけど、やっぱり寂しいよ。


「うあー…」


ともかく、瑠璃改めミシュリーヌちゃんです。縮めてミシュです。愛称です。


さて、このミシュちゃん。生まれて一年六ヶ月、母乳から離乳食に完全に移行した直後のよう。歩けるけど言葉はなかなか上手く出ない。赤ちゃんの身体は全身全部動かしにくく、それが上手く喋れない理由なんだろう。


「ママ、パパ」


「あらあらお嬢様、お父様とお母様が恋しくなっちゃいましたか?このばあやが付いていますからね」


幸い単語ならちょっとは話せるよう頑張っているけど。で、乳母がいることから分かるようにこの家かなりの金持ちだ。というか、貴族だ。


どうもこの世界、中世ヨーロッパ?くらいの感じっぽい。なぜ言葉がわかるのかは謎。脳内で自動的に日本語に翻訳されているのか。転生チート?


それも、公爵家。貴族の中で一番上っぽい。不幸中の幸いというか、なんというか。ある意味ラッキーではある。


「ばあや、ありゃと」


「お嬢様は本当に良い子ですねぇ」


で、ここからが重要。私はふと気付いた。


ミシュリーヌ・マチルド・プロスペールって、前世ハマって良くプレイしていた乙女ゲームの〝悪役令嬢〟の名前じゃないかと。


乙女ゲーム〝瑠璃色の花束を君に〟はなかなか人気な同人ゲーム。それなりに高値で販売されていたPCゲームで、同人ゲームとは思えないほど高クオリティ。私としてもお気に入りだった。


「う!」


その乙女ゲームの世界に、ヒロインではなく悪役令嬢として転生…これは、運命なのでは?


だってだって、私はバレーボールの選手にももちろんなるつもりだったけど、演技の世界も将来的に目指していた!我ながら欲張りな夢だったけど、私は本気だった。


今世では、貴族だからバレーボール選手は無理だろうけれど。生涯をかけて、〝悪役令嬢〟を演じきるという生き方ができるのでは!?


「頑張る!」


「あら、お嬢様。なにを頑張りますか?お絵かきしますか?」


そう、これは人生を賭けた名演技。完璧でかっこいい悪役令嬢に私はなる!


「クレヨンと紙をお持ちしましたよ、どうぞ」


「む!ありゃと!」


とりあえずまずは、悪役令嬢として恥ずかしくない高スペック女子を目指さなきゃね。

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