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 8 飛竜戦開始、でも、その前にやる事が有る。そして、勇者の謎が今・・・。

読んでね。

 遂に始まりました。スタンピード。

 

 と、言っても遠くの方に、小さな点々が見えるだけなんだけどね。


 城壁の上に僕らは並んで武器を持ち、時が来るのを待っていた。みんな緊張している。初めての飛行系の魔物の群れとの戦い。緊張しない訳が無い。まあ、こんな中でも緊張しない奴が5人ほどいるけど。


 もちろん、クロさんとシルバーさん。公領第一騎士団長ガバナスに、王国騎士団総大将ギラン・ド・ククラン。そして、僕と言いたい所だけど。僕は緊張しているので。僕じゃなくて、こいつ。意外と図太いコウキ・ドウミョウジ。勇者だ。


 流石勇者、腐っても勇者、ブクブクでも勇者、転がってても勇者、蹴られて運ばれていても勇者。・・・。


 こいつ寝て無いだろうな・・・?

 まさかこんな時に寝てるだと‼

 それはそれで凄いな。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 今から一時間前の事。


 そう言えば、前に何か忘れてる気がすると思ったのは、聖剣カナコンペの事だったよ。


 聖剣カナコンペ。勇者の持ち物だったんだよ。

 まあそうだよね。


 勇者と言えば聖剣。聖剣と言えば勇者。付き物だよね。

 

 こいつ、1ヶ月前この街に泊まった時に、聖剣、忘れて王都に帰ったんだよ。


 僕が今泊ってる部屋に、こいつも泊まっていたんだろうな。

 (ベッド、クリーンしといて良かった。同じベッドで寝ている。おふっ。鳥肌が・・・。)


 取りに来なかったし、使ってないなら、要らないんじゃね。と思うんだけど。他人にはやりたく無いんだとさ。

 我儘だよね。


 と言う訳で、聖剣を取り上げられてしまったので、新しい剣を手に入れる事にした。


 やって来ました、異世界定番。鍛冶屋でございます。

 この都市一番のお店でちゃんと親方が頑固者のドワーフだ。

 良い出物は有るかな。ワクワク。


 「おやじ、聖剣有りますか?」

 「有る訳ねーだろ。馬鹿か。普通の鍛冶屋にそんなもんがホイホイ置いて有ったら、そっちの方が驚きだぜ。」

 「無いんだ、残念。じゃあこの店で一番いい剣を頂戴。」

 「なんかお前が言うと、お菓子かなんか買いに来た子供かーって思ちゃうぞ。」

 「お金なら有るよ。いっぱい。」

 「ますます子供かーって感じだな。これなんかどうだ?」

 「良い剣なの?」

 「目利きも出来ない奴が良い剣持ってどうすんだ。っう感じだな。」

 「しょうがないじゃん。この世界に来てまだ2日目だよ。無理無理。」

 「なんだお前、御使い様なのか?。」

 「そおだよ~。これから飛竜達と戦うから良い剣が欲しいんだよ。」

 「そうか、つうてもよ、今売れるのはこれが最高だな。」

 「良い剣なの?」

 「良い剣は良い剣なんだが、聖剣と比べられちゃあ見劣りするな。」

 「ふううん、良い剣なら貰うね。他に良い出物は無いですか例えば呪われてる魔剣とか、錆びてるけど持つ人が持つと生まれ変わる剣とか。」

 「有るか!そんないかがわしい出物なんか、店におけるか。こっちが呪われるは。まあ、重過ぎて一人で持てない剣なら有るが。」

 「おおっ、有るんじゃないですか。それ下さい買います。」

 「ってもよ。本当に重いぞ。運ぶだけで3人掛かりだからな。試しに持って見るか?」

 「はい、よろしく。」

 「じゃあ待ってろ。今持って来るから。」

 

 ワクワク楽しみだな。

 

 店の奥からお弟子さんと三人で、足の付いた分厚い板の上に載せられた、抜き身の剣を運んで来て地べたに置いた。

 ドワーフ三人が奥から運んで来るだけで息を切らしていた。

 どんだけ重いんだよ。


 「カウンターに置くと、カウンターが壊れ。地べたに剣だけで置くと地面が陥没して、持ち上げるのが大変になる。地面に突き刺すと柄まで潜って抜くのが大変だ。」

 「厄介な剣だよ。それでも、要るかい。」

 「なんか、見た目普通の鉄の剣に見えますね。」

 「売れるか分からんかったから装飾は止めた。」

 「良い剣なんですか。」

 「壊れないし、切れ味も申し分ない。が、こんな剣より探せば、もっと使い勝手が良い剣が見つかるだろうよ。」

 「それでも、なおこの剣を押すとしたら。」

 「重さと魔力導りの良さだろうな。」

 「魔剣なんですか?」

 「違うな、何だか分らんが、素の魔力を吸い込む性質が有る。それでどうにかなる訳でもない。と、思う。よう分らん。作っといてなんだが、作り手としては楽しめた良い剣だったが。鍛冶屋としては最低の剣だな。売り物にならんし、客に進められん。それでも買うか。」

 「もちろん買います。こんな面白いもの買わない訳が無いでしょう。」

 「そうか、ありがとな。一応鞘は有るんだが、それで良いか?」

 「はい、何でも良いです。そこに拘りは無いんで。」

 「で、まだ剣、持って試して無いんだが、良いのか。」

 「あ、忘れてた。持ちますね。」と、言って僕は。


 剣を持ち上げると片手でブンブン振り回した。


 それを見て、ドワーフ三人が口をあんぐりと開けていたのが面白かったです。


 良い素材が入ったら、また良い剣を作って置いてくれる約束をしたので楽しみだよ。


 本当は、素材、変わった貴重なものが、いくらでも異世界ショップで買えるんだけど。今度来た時で良いかなと思ってる。

 

 さあ、飛竜との戦いです。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 飛竜たちが何故この都市に来るのにこれ程、時間が掛ったのかと言うと、来る間にボス争いが起こっていたからだとか。

 途中、色々な群れの縄張りを通る際にその都度戦いが有り、一番強いものがボスに成り敗れた強いものがボスの取り巻きに成って行く。

 蟲毒の壺の中の様な事が空で起こっていたらしい。まあ、食い殺している訳では無いので毒が強く成るなんて事は無い様だが、強い魔物同しは戦って勝だけでも強く成る様だ。


 最初に来るのは下っ端、若い個体だね。


 それが空一面覆いつくす位いる。えっ、千羽じゃ機か無くね?流石にこれはビビるぜ。顔には出せないけどね。


 隣に居る勇者もこれにはビビった様で驚愕の顔をして居る。ダメだよ、上に立つ者がそんな顔を皆に見せちゃ。

 

 寝てないだけマシかな。いや、寝ていた方がこんな顔をさらして居るより良いのか?いやいや、起きてる方が・・・。

 いやいやいや・・・。どうなんでしょうね?まあ、いっか。


 勇者にボウガンを渡して簡単に使い方を教える。流石にこの状態にはビビってるだけに真剣に聞いていた。


 近づく前に打ってね、と言うと、早速打ち出した。

 打つ、打つ、打つ、打つ、打つ、打つ、打つ・・・。

 

 その横で僕は矢を出し続ける、出す、出す、出す、出す。

 

 流石勇者ドンドン射撃が正確に成って行く。

 打つ姿勢も様に成って行ってる。

 威力も上がってる。勇者補正が入っているんだね。

 

 って、事はこいつって、やれば出来る子って事か。


 今回、危機感が有るから動いてる?


 いや、それなら、今までだって有ったはずだ。

 迷宮に潜ってたくらいなんだから。危機感ぐらい。

 じゃあ何でだ?なにが今までと違う。

 飛び道具だからか?

 もしかして、使った事が無いかと、一から教えたからか?

 それで使える様になった。


 だとすると、全くの素人・・・。それもドが付くほどの。


 あれ?でも、神様ゲーム勝ち残ったんだよね。それも勇者ゲームの。あれ?変だな。どういう事?

 まあ、確かにゲームで出来たからと言ってリアルで出来るとは限らないけど、それにしても限度というものが有るよね。

 ゲームもずぶの素人って事?


 何が何だか?


 うん、こう言う時は聞くに限る。


 と、言う訳で『鑑定さん、こいつの家庭に居た時の様子、調べて頂戴。お願いね。』


 と、頭の中で頼むと、頭の中に返事が返って来た。

 『なに、無茶振りしてくれてるの、そんなのあたしたちの仕事じゃ無いでしょうが。鑑定には鑑定の仕事を頼みなさいよね。』

 おおっ、やっぱり会話が出来る。

 『いやいや、これってとても大事な事なんだよ。これからの異世界攻略で一番かもしれない位にね。多分、ここがターニングポイントだよ。勇者のこの先のね。』

 まあ、僕が来てまだ2日目だから、1番ってもたかがしれてるけどね。へへん。ドヤ顔。

 『そうなの?んじゃしょうがないわね。そこまで言うなら、調べて上げるわ、感謝しなさいよね。でも、あんたの為じゃ無いんだからね。』

 おおっ、ツンデレか。

 って、騙されてる、騙されてる。

 『頑張ってね~。期待してるね~。』


 こんな事を頭の中でやり取りしながらも、矢を出し続けている。出した矢は順序、運ぶ係の人が皆の所へ運んでいる。

 主要な所にはクロさんやシルバーさん、ガバナス第一騎士団長。ギラン総長が分散して守っている。


 ここ、北門は勇者が守っていて、意外なことに余裕がある。

 勇者、やっぱり半端無いです‼

 

 周りの、兵士や騎士、冒険者たちの顔も驚いていたが、いつの間にか信頼したようで、余計に余裕が生まれていた。

 一応ここは大丈夫。


 クロさんとシルバーさんの守っている所も安心だ。

 

 問題はガバナスとギランが守っている所だ。


 ギラン本人は化け物の様に強いが、流石に空飛ぶ魔物には慣れていないのか思いの外、手こずっているようだ。

 それでも、何とか死守していた。


 一番の問題の場所はガバナスの所だ。


 「馬鹿野郎、一人一頭づつ狙ってどうすんだ、ケガさせて狂暴化させるだけで。数が減らねだろうがよ。」

 「だからって、一頭を全員で狙ってどうすんだよ。オーバーキルも良いところだ。ハリネズミかぁ。矢が勿体なねー。」

 「五人一組ぐらいになって攻撃しろ。」

 「丁寧に、一頭ずつ倒していけば言いぞ。焦るなよ。」

 「焦るなって言ってるだろうがよ。守備組ちゃんと守ってやれや。射出役がビビって狙いが定まらねだろうがよ。」


 阿鼻叫喚の地獄絵図状態、一番人数が多いところに持ってきて、慣れない空中戦。慣れていない武器。決定打に欠ける戦い方。攻撃力の有るリーダーが攻撃に参加出来ないのも痛い。一番端に陣取つたのも問題で余裕の有る組の支援が受けられない。

 ケガ人だけが増えていく。まあ、ケガはポーションが有るので直せて居るが混乱は必至。

 時間が掛れば掛かるほど疲労は溜まりミスが増えていく。

 

 崩壊は時間の問題か?


 どうなる2日目の攻防戦。


 次回を待ってね。乞うご期待。


 主人公活躍して無いね。良いのかそれで。


 異世界2日目はまだまだ続く。

お読みいただきありがとうございました。

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