7 まだまだ、続く2日目。えっ?2人目の主人公登場?(笑い)
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私はガバナス・クロムウェルである。レイロック王国、ゼルングル・グ公爵領、第一騎士団の団長だ。
これから起こる戦いに胸を躍らせて居るのは皆には内緒だ。
いかに脳筋と揶揄される私でも今回の様な大規模なスタンピードは例がないので生き残れるか分からないのだ。
ましてや部下たちではなおさらだ。不安に思っていても仕方がない。
そんな中、皆を束ねる団長が期待感を募らせていたらまずいだろう。
と、考えていると、部下達の話声が聞こえて来た。
「流石は我らが団長殿、普段と変わらず強い魔物と戦えるのでウキウキしている。」
「本当これから死闘が始まるだろうに滲み出る期待感。さすがだ。安心するぜ。」
どうやら隠し通せて無かったらしい。
まあ、結果オーライと言う事で。良しとしよう。
今回、御使い様が用意してくれた盾とクロウスル棒と言う新兵器があるので、どうやら戦えそうな気がする。
我ら騎士団も馬を降りて城壁の上に陣取る事になった。
飛行系魔物では馬に跨って戦うわけにもいかんだろう。
まあ、槍は手放せないがな。
御使い様は今は、クロウスル棒の鉄の矢を大量に出して居るところだ。積み上げた矢を皆で城壁の上に運んでいる。
どこからこれだけの矢を用意したのか不思議だが、御使い様は、魔法で出していると言っていた。
御使い様だし、そう言う事も出来るのだろう。
準備は順調に進んでいる。
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公爵領、領都ハーセットには東西南北に4っの門が開かれている。
東門、西門、南門は商人や職人などの馬車が盛んに行き来して居る為、いつも大門が開かれていた。
それとは違い、北門は魔の森に隣接している為、大門は通常閉められていて、人が通る小門だけが開けられていた。
そこを使うのは主に冒険者と呼ばれるギルド員たちである。
魔の森の植物素材や魔物の素材など採取して、それを冒険者ギルドに納品して生計を立てている。荒くれ者や力自慢な者が多い。
そんな彼らは今、冒険者ギルドに集められ、ギルドマスターの話を聞いていた。
「お前ら、分かってると思うがこの町の命運は、お前たちの働きに掛かってる。そこんところよーく肝に銘じとけ。へたーうつんじゃねぞ。」「おー。やるぜ、俺はやるぜ。」
「よおーし。分かってるようだな。俺からは以上だ。後は騎士団長様から作戦に付いて話がある。心して聞け。」
「騎士団長のガバナスだ。今回異例の飛翔系の魔物が最初に襲ってくる事が判明した。飛竜の群れだ。」
「げっ、飛竜⁉」「飛竜ったら5パーティーが一頭を相手するぐらいの強えー魔物だろう。」「やべーぞ。」「それが群れで来るだと。そんなの相手できねーぜ。」「無理だー。」
「静かにしろ。そこで作戦が有る。今回新しくいらっしゃった御使い様が、新兵器のクロウスル棒と言うものを提供して下さった。その威力は魔の森の大木を内抜ける程だ。」
「それだけの威力があれば飛竜にダメージを与えられる‼」
「おー、それなら戦えるぜ。」「やったー。光明が見えてきたぜ。」「死なずに済む。」
「で、作戦としてはパーティー内の2・3人がクロウスル棒や魔法、弓で攻撃してそれ以外の者が使い手を守る布陣で行く。」
「やるぜ。おおーっ。」「おおーっ。」「おおおーっ。」
うわー!脳筋ばっかし。暑苦しい。
騎士団長が冒険者ギルドに行くと言うので見学がてら付いて来たけど、魔法職の人や斥候の人たちも居るはずなのに皆、脳筋に見えるんだけど。スゲーなこれは。これぐらいじゃないと冒険者でやっていけないのかな?
大丈夫か冒険者ギルド。他人事ながら心配になるよね。これは。
僕には無理だね絶対に!いや-良かった商人枠で。
でっ、ここにもう一人戦闘職の奴が僕の隣いる。
暑苦しさで言えば他の者に引けを取らない。
と、言うか。ウザイ。キモイ。汚そう。幅を取って邪魔。
何で居るの。こいつ?
宰相のカレンが王都から連れて来た。もう一人の御使い。
勇者、コウキ・ドウミョジ。 道明寺・行輝 (22歳)
食っちゃ寝の勇者である。ブクブクとも言う。
本当に鍛えてねえよ。誰でも一目で分かるはこれはあかん。
で、その隣にこれまた脳筋そうな人物が立っている。
王国騎士団、総大将の総騎士団長。名前は忘れた。あっ鑑定さんがまた、勝手に働いてる。
ギラン・ド・ククラン 年齢 35歳
バリバリの叩き上げ、元が冒険者で、平民で作られた第4騎士団で、有り得ないほどの功績を残して(敵国との戦争で味方のまずい作戦で敗走。殿を任されていたが、余りの不甲斐なさに怒り。第4騎士団を従えて突貫し、敵国の総大将を討ち取り逆に勝ち戦にしてしまった。など、嘘の様な話が盛り沢山だとさ。)異例の総騎士団長に抜擢された人物だ。(鑑定さん談)
見た目、巌の様な男だ。化け物とも言う。この世界の人間でステータス1000越えなんて攻撃力を持って居たら、人間相手なら無敵だよね。
で、そんな重要人物が何故居るかと言うとスタンピードの為で無く、只のお守り、勇者の付き添いだとさ。
平穏な時は、わしなど居ない方が部下も息抜きが出来て良いだろうと、この役を買って出てるらしいよ。自分を分かってる人だ。まあ、副官が良く出来た人らしいから安心だとさ。
で、こんな人が付いて居てどうして、勇者がこう為ったかと言うと、ギランの下に来た時は手遅れだったんだとさ。
最初貴族が相手していて、持ち上げるだけ持ち上げて、ほっといたらこうなった。その内貴族も持て余すように成って、騎士団にお鉢が回って来たとか。
ギランさんも無理やり迷宮に連れて行ったりしたが、危険な迷宮の中でも梃子でも動か無いらしい。
最近では防御力の高い勇者の鎧を着せて、転がして移動させてるとか。
モンスター退治も蹴って転がしてぶつけるだけの簡単なお仕事だ。鎧が固いので転がし易いと笑って言ってた。
神の使徒も形無しだね(笑い)。
今日は皮鎧しか着てないから転がしにくい。と言って本当に蹴って転がして来ていた。
勇者が大人しく転がされて居るかと言うと、そんな訳は無く転がりながら文句をずーっと喚き散し、垂れ流していた。
ギランさんそれを少しも気にして無かった。流石大物。
僕は小物なので、余りにうるさかったので、つい手が出て頭を叩いて気絶させたら、ギランさんに怒られた。気絶するとダラ~ンとして蹴って転がしにくくなるから止めろ。だってさ、そっちかい(笑い)。
どうやら荒療治が必要だと考え、今回連れて来た様だ。
と、言ってもどうにか成るのかね。手遅れでしょ。これ。
と、言ったら皆そう思ってるので、気楽にどうぞだってさ。
あっそう。そんじゃあ気楽にやらしてもらいますね。
あっでも、移動はギランさんにお願いします。よろしくね。
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西門に行くと避難して来た人々が沢山いて炊き出しがされていた。疲れ切った人が多いので皆座り込んだりしていた。
中には眠りこけている人も居る。老人や子供も多いので大変そうだ。
現場の責任者に馬車を用意してもらい、第二城塞都市に移動してもらうことにした。
後かろ後から避難民がやって来るし、飛竜ももう少しで襲来して来る。危険なので移動してもらう。
十何台かの馬車で何往復かしてもらい。5キロ先の建物だけ出来てるはずの都市に移動だ。
食料や日用品何かも運んでもらう。商人ギルドの人に交渉して手配して揃えてもらっている。僕はお金を出すだけだ。
こんな事で商人ギルドと関わるとは思ってなかった。
最初はやっぱり屋台からだよね。定番は。そして徐々に大きくして行って商会を立ち上げる。お約束ってやつだね。
で、現実は城塞都市を作ってそこに住人を送り込み、生活出来る様にしている。まるで物語の中盤以降の展開だよ~。
展開早過ぎ。まだ2日目だよこれで。どうしてこうなった?
まあ、いいか。なるようになるさ。
ところでその城塞都市の方はどうなってるのかな。
ちょっと気になるから見に行ってきますか。
フフフ、遂に転移魔法で移動が出来るまでになったのだよ。
日々成長しているのだ。まだ2日目だけどね・・・。
と、言う事で。行った事のある場所なら簡単に行ける転移魔法発動。
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到着ー。
本当に簡単、便利。
第二城塞都市を眺めたら、わぁーっ。
高い城壁の中にお城が出来てる。
かのネズミーランドに有る様な尖塔がいくつも立っている優美なお城。何か遊園地に来たみたい。まさかアトラクションとかは無いだろうな。心配だ。
それより問題はあんなの作っていて普通の住人の住むところ作ってる時間有るかな。ないよね。城塞の中で野宿。う~ん。シュールだ。
取り敢えず城壁の上に飛び乗って中を眺めて見た。
何故か、門閉まってたんだよ~。
うん。僕は。
まだまだドラゴン達を侮っていました。ごめんなさい。
門から続く6車線位有る、石畳の大通りが中央に向かって綺麗に伸びていて、両側にお店などが出せる建物が大小様々な大きさ、形で並んで居た。
そして、所々に横道が有る。表通りに並行して裏路地が有りその両側に表通りよりは小さいお店が並んで居た。
更にその奥には住宅街がちゃんと有った。
ええっ、これたった3時間足らずで作ったの⁉。凄ーい。
真ん中にお城が有るのはどうかと思うけどね。王都じゃないんだから。良いのかこれ。怒られないかな。
ま、良いか。怒られたら壊すか移動させれば良いよね。
それをするのドラゴン達だし。
と、ドラゴンの事を考えて居たら。城壁の下からクロさんの怒鳴り声がした。
クロさんの横に降り立つ。
「まだ完成していないのだから、のぞき見はいかんぞ!完璧に完成させた姿を見せてビックリさせる為に、門を閉ざしていたのに。」
「いやいや、凄いです。もうビックリしっぱなしですよ!」
手放しで褒めたら満更でもないドヤ顔をしていた。
「何がまだ未完成何ですか?」聞くと。
「水洗便所が全戸完備されてないんだ。」
「それは一番大事な事ですね。頑張って下さい。」
「おうっ、頑張るぞ。」
「よろしくお願いします。」
「任せておけ。」と、言ってすごい勢いで駆けて行った。
そう言えばいつの間にか、外のお堀が水で満たされて居た。
水路も町中に流れている。井戸も見える。
何か本当に今すぐにでも住めそうだ。良かったね。
これで難民の方は暫くは大丈夫。
後は飛竜が来るのを待つだけ・・・。だよね。
何か忘れているような気がするが。気のせいだよね。
まあっ、いいか。大事な事なら思い出すだろう。
まだまだ。2日目は終わらない。
読んでいただきありがとうござい。