3 3話目で3連戦終了 良かった終わって!
広々とした草原、少し小高い丘は有るが視界を遮るのは後ろの深い森と少し離れた所に有る高い塀に囲まれた都市。
所謂城塞都市ってやつだ。先ほどから大分騒がしくなっている。
その原因が視線を一番遮っているこれだ。
エンシェントドラゴン様(僕も媚びて見たりして。)
ドラゴンはじーっと此方を睨んだ後、一瞬ニヤリとした後。腕を振り上げ、振るって来る。
スピードはそれ程じゃない。
一瞬受けてみようかと考えるけど避ける。
拳が触れた瞬間、地面が爆発した。
土砂が降りかかって来る。痛い痛い。
後には大きなクレイターが出来た。
ぶんぶん振るって来る攻撃で地形がどんどん変わる。
一撃一撃が広範囲攻撃の力を持ってる。避けてるのにダメージが入ってるんですが。
反撃で、腕や足を攻撃して見るが防御力が高過ぎて、カエルの面にションベン状態、屁の突っ張りにも為って無い。
困ったねえ。打つ手が無い。
はっ!そうだこんな時こそ体術の先生(お師匠様と呼ぶと怒る)の教えを思い出すのだ僕(笑)。
攻撃をして来るのに合わせて、ドラゴンの腕を掴み、引き付けて巨体を地面に叩きつける。変則、一歩背負いだ。
こちらの攻撃が効かないのなら自らの身体(体重)でダメージを与える自爆攻撃だ!
それから何度も巨体が宙を舞う。地形がドンドンかわっていくけどね。
確かにダメージが入ってはいるが先は長そうだね。
その内イライラして来たのか攻撃手段を変えてきた。
口内が光った。と思うとブレスを吐いてきた。
「早ー!」一瞬で吐かれる光の道。辛うじて避けられたが当たってたら消滅してたよ。
「あぶねー。」普通強力な攻撃なら、溜めが必要だろう。溜めがー!
僕の後ろの深い森に、一直線の道が出来ていた。
おいおい、これってあの高い山まで続いてないか。
ヤバ過ぎるだろう。ドラゴンブレス!
思わず背中に冷や汗をかいていると。ドラゴンがこちらをちらりと見て、ニヤリと笑った後。顔を都市の方に向けた。
奴の考えている事が解かり、瞬間、周りの時間が遅くなって行く。また始動した思考加速の中、ドラゴンが口を開き切る前に奴の下顎を(鼻血を盛大にまき散らしながら)蹴り上げていた。
出口を失ったブレスで、上を向いたドラゴンの口が爆散する。
ダメージを与えているがそれでも、死ぬ事も気絶する事もなく平然とし、次の行動に出ようとしていた。
僕は素早くポーションをドラゴンの無い口に放り込み。
再び回復した下顎を蹴り上げた。
爆散する口先。
流石にこれには驚いた様で硬直するドラゴン。
素早くポーションを無い口に放り込む。回復する口先。
ドヤ顔をしてドラゴン見ている(鼻血を垂らした)僕。
動けないドラゴン。
でも、内心焦りまくっている僕。
そりゃあそうだよね、何しろこの攻撃諸刃の剣なんだよ~。
折角貯めたダメージをゼロにする攻撃なんだぜ‼
バカなの僕⁉
お互い見つめ合って行動に出られない。
どうすんだよ、これ⁉
誰か助けて~。
まあ、助けなんか来ないんだけどね。
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「しょうが無い。これだけは出したく無かったが、今こそ奥義を出す時か!」
おもむろに空歩を使いドラゴンの顔先に駆け上がる。
ビクッとするドラゴンを無視して、心を落ち着かせる為に、一度深く深呼吸する。そして。
ドラゴンの顔の前で反復横跳びを始めた。
空歩と瞬動を使い、更に超思考加速使い。目にも止まらない高速度でする。反復横跳び!
僕の頭の中に6年間引きこもっていた時の日々が蘇る。
毎日、雨の日も風の日も雪の日も欠かさず繰り返した、反復横跳び!それこそが僕のルーツ。僕の健康の元、僕の奥義‼
何してんのこいつ?って顔をするエンシェントドラゴン。
そして、おもむろに拳を使う。
固く握りしめた拳がドラゴンの顎先に決まる。更に反対側から拳が殴りつける。
反復横跳びを使い、超高速の左右の連打。
揺さぶられる脳。
数百、数千繰り返される連打。
そう、これこそ奥義。反復横跳びを使った、(某ボクシング漫画で知った)必殺技!デンプシーロール‼
ドラゴンが、地響きを上げて後ろに倒れたのは、暫く繰り返したした後であった。
僕は静かに右腕を振り上げ、勝利の雄叫びを上げた。
「勝ったぞー!」
嬉しいよ~。
勝利の余韻に浸っていると、傍らに人が立っていた。
?、誰この人⁉先っき迄、近くに人なんて居なかったはず。
女の人、と言うより美少女。銀髪で巨乳。でも表情を見ると母親とか聖女とかいう感じの優しそうな人。巨乳だけど。
そして、胸に幼龍を抱いてる。好奇心旺盛なクリクリとした目をした可愛い、ちょっと漫画調のドラゴン。
あっ、分かっちゃったよ。
フラグ回収ですね。
とか考えて居ると。
少女は巨竜の傍らに立ち、手をかざす。
光が巨竜を包むと目を覚ます巨大ドラゴン。
途端に鳴り出す、危険探知スキル。
睨み付けて来る、巨大ドラゴン。
「ええっ⁉振り出しに戻るですか⁉いくら何でも酷すぎる‼」
先っきまでの死闘は何だったんだ。と嘆いていると。
飛び上がった美少女が、巨大ドラゴンの頭を張り倒した。
クレイターが出来て、ドラゴンが「はっ。」とした顔をした後。光り輝きと共に縮んで行き、人の姿に変わって行った。
そこには、ダンディな紳士が佇んで居た。
「失礼致しました。御使い様。久しぶりの戦闘で我を忘れてしまいました。お許しください。」
異世界に来て1時間、漸く戦闘が終わった様です。
死ぬかと思った。先が思いやられよねぇ。はあ~!
それにしてもこの惨状どうすんだよ、これ誤魔化せないよね。だってまるでドラゴンが暴れた後のような有り様だもん。
事実暴れたんだけどさ。前途多難だねぇ。これ。はぁ~。
さっきから溜息ばかり出ているよ。困ったもんだ。