10 邪飛竜ボス戦終了。 2日目も終了。良かった、良かった。謎が増えたけど・・・。
よろしくお願いいたします。
夕日が周囲を赤々と染める中、そいつは悠然と、城壁の上に立つ僕たちの前に姿をさらす。
全身が黒い瘴気の様な風を纏、自身を防御している。
ガバナスや脳筋たちがボウガンを放ち、槍を投げているが、飛竜の体には届かず。矢や槍が虚しく跳ね返されていた。それでも怯む事無く攻撃し続けています。
攻撃は皆に任せて僕は勇者の所へ行き話し掛ける。
勇者は手にボウガンを持ってはいるが、啞然とした顔で棒立ちになり、ボス飛竜を見上げるばかりです。
「勇者さん、ステータスを出して貰えますか?」
えっ?て、言う顔をしてこっちを見ます。
「ステータスオープンと考えると出せますよ。」
「?・・・。ステータスオープン。」
すると、顔の前に半透明の文字盤が現れました。
ビックリしているのを無視して語り掛けます。
「これが今の勇者さんのステータスです。強さって感じですね。」
流石に飛竜を何百匹も倒しただけの事は有りますね。
レベルが49まで上がってます。
今回必要なのは、聖魔法です。邪にはこれが一番効果的でしょう。
勇者には一番向いてますし。
「SPポイントを使って、スキル取得で聖魔法を取ってください。」
「聖魔法?これか。」
「そうです。それを取ったら、サンクチュアリの魔法とバリアーとホーリーランスを取ってください。SPポイントを使って全てレベル5まで上げて下さい。取ったら一緒に、聖属性付与のスキルも取ってください。これもレベル5にして下さい。」
まあ、聖属性付与は取らなくても、多分勇者が使えばそれだけで勝手に聖属性になるとは思うけどね。念の為保険ですね。
「サンクチュアリとバリアーの魔法を常に自分に掛けておいて下さい。命を守る必須事項です。切れそうになると分かりますから直ぐにまた掛けて下さい。二重掛けになっても大丈夫ですので忘れないようにして下さい。」
「サンクチュアリ。バリアー。」
テキパキと自分に魔法を掛けて行く勇者。
「後は盾を左手で持つて右手でボウガンか槍を使って下さい。。その時持ってる物に必ず聖属性付与をして下さい。それだけで耐久力や攻撃力がアップしますから。飛竜がブレスを吹いてきたら盾でガードして下さい。」
一通りやるべき事を教えていく。子供に教えるように懇切丁寧に。嚙んで含めるように。一から十まで言葉で教える。
真面目に聞いているので、これが正解なんだろう。
確信が深まりました。
後はアイテムボックスとポーション類各種の使い方を教え、収納させる。最後にお高い、秘薬、HPとMP増幅ポーションを飲ませて完了です。
さあ、戦いの始まりです。
あ、もちろん自分にサンクチュアリとバリアーを掛けて有りますし、盾も左手に持ってますよ。命大事ですからね。
勇者の攻撃がボスにダメージを与えています。
聖属性付与の攻撃はやはり効いて要るようです。
他の人達の武器にも聖属性付与をして回った方が良いかな、と考えて居るとボスの魔力が一瞬に増大しました。
嫌な予感がして、思わず盾を構えます。
シルバーさんが魔法障壁を張ります。
クロさんが右手を振り衝撃波を出しています。
勇者とギランさんも盾を構えます。
次の瞬間、世界が赤に染まりました。
夕日の赤よりも赤く。
シルバーさんの張った魔法障壁を砕き、ボスのブレスが横薙ぎに吐かれました。
クロさんの衝撃波で顔を殴られ、途中で方向を変えられたブレスが、虚空に向かって禍々しい黒い線を書いた。
瞬間、僕の周りの動きがスローモーションになる。
盾を構えられた勇者、ギランさん、僕は耐えられたが、ブレスの起こした衝撃波に負けた、盾を構えた脳筋たちは城壁の内側に吹き飛ばされて落下していった。
しかし、盾を構えられなかった脳筋たちは、風のブレスに身体を真っ二つに切断されて、血や内蔵をまき散らしていた。
その数、数百人。
シルバーさんが回復魔法を発動しています。
ギランさんもポーションを出そうとしています。
勇者とクロさんは攻撃に回る様に動こうとしています。
僕の止まっていた思考が動き出しました。
それと同時にスローモーションだった周りの動きが写真のように止まって見えました。
ただ超速思考の代償として、僕の鼻からは血が噴き出していますが。
手近な脳筋の二つに別れた身体を一つにし、ポーションをアイテムボックスから直接口に入れます。回復するかどうか確認もせず次に行きます。
瞬間移動で移動していても、遅く感じた。
僕と同じように超速行動しているシルバーさんと、被らない様に相手を選んで回復して行きます。
内臓が飛び出して居るのをかき集めるのに時間がかかる身体もあって手間がかかります。
鑑定さんが言うには、内臓は身体の中に必ず納めてからポーションを使わないと生き返る確率が下がるのだそうです。
丁寧にでも迅速にだそうです。
写真のように止まっているように見えていても、数百人を相手だと時間が掛かってしまいます。
タイムリミットが近づく。
早く、速く、はやく。
まずい、まずい、まずい。
鼻血で貧血を起こしそうです。
周りの動きがスローモーションになり、通常の時間の流れにもどりました。
シルバーさんの姿が見えません。
脳筋たちの身体がポーションの効果で、一斉に光輝き出しました。
光って居る奴らは大丈夫です。
全てが光って居る訳では有りません。中にはパーツが足りなくて、くっ付けられ無かった人も居ます。
城壁の内側に上半身だけが衝撃波で吹き飛ばされ落下してしまい一つにする事が出来無かった人が何人かいました。
シルバーさんがそんな上半身だけの人を何人か抱えて城壁の下から飛び上がって来ました。
流石にもう間に合いません、遺体として扱うしかありません。なのに律儀ですね・・・。
チラリと見えた顔がガバナスさんに似ています。
・・・えっ?
あれ?って思って周りを見渡すとガバナスさんの姿が有りません。
まさか、と思った瞬間にまた周りの動きがスローモーションになりました。
頭に血が上り、気が付くと拳を握りしめて飛竜の頭上に転移しています。
次の瞬間に握りしめた拳を、あらん限りの力で振り下ろしていました。
ドゴン。ものすごい音がして飛竜の頭が爆散して身体は地面に激突しクレーターを作くりだしました。
肩で荒い息をしていると、飛竜の頭が再生されて行きます。
通常の攻撃では倒せないようです。
時間の流れが普通に戻ります。
少し冷静になれました。
勇者の横に転移して、槍を沢山出します。僕も聖属性付与をして投げて見ますがレベルが低いので、思ったほどの効果がありません。
丸太にも聖属性付与をして投げてみましたが倒すところまではいきません。直ぐに再生をされてしまいます。
このとんでもない再生力がある限り、何か決定的な攻撃手段が無いと致命傷を与えられません。
多分、勇者の持っている聖剣なら致命傷を与えられそうですが、勇者に空中戦は出来ませんし。剣を使った経験も、接近戦の経験も有りませんから無理ですよね。
僕が借りパクする事も出来ますが・・・。
ここはやはり、重たい剣の出番でしょう。
この街一番の鍛冶師ドンゴ・ドンゴが作りし業物、重たい剣。魔力を吸収するこの剣ならもしかして・・・。
聖属性付与をすれば聖剣の様な剣に成るかも・・・。
いや、信じるんだ。信じる心が奇跡を起こす。
魔法の在る世界だ、信じろ自分!
お前は聖剣に成る。聖剣に。聖剣に。僕の聖剣に。
僕の聖剣。僕の聖剣。僕の聖剣。僕の聖剣。
そう唱えながら聖魔力を注ぎ続けた。
15万有る僕のMPが全て吸い取られ。全回復する、MPエクストラポーションを使い続ける事15回。そして・・・。
光輝く剣が目の前に出来上がっていました。
鑑定さんで見るとちゃんと聖剣と分類されています。
聖剣 《僕の聖剣》
・・・・・・。
な、な、名前が・・・。
今、突っ込むのは止めて置きましょう・・・。
ぐすん。
健気に光輝き、目の前に浮かんでいる聖剣を手に持ち、構えます。
テンションが少し下がっているのは否めませんが頑張りましょう。
今も勇者が槍に聖属性付与をして投げています。
なかなかの攻撃力です。
クロさんは手を振って衝撃波でちまちまと嫌がらせの様に攻撃を当てています。
ギランさんは盾でブレスの防御に専念しています。
シルバーさんは脳筋どもを城壁の内側に蹴り飛ばして落下させています。遺体まで綺麗に無くなっていました。
今、城壁の上に立つのは五人だけです。
クロさんとシルバーさんはサポートに徹する様です。
勇者が攻撃して飛竜の目標を自分に向けさせています。
ギランさんは盾で勇者の防御に専念です。
さあ、ガバナスさんの敵討ちです。
飛竜の後ろに行き、先ずは羽を切り飛ばします。
自重で落下して地響きをたてます。
羽が再生される前に首を跳ね飛ばす。
今度は直ぐに再生されませんが。まだまだ元気に蠢いています。
すると、羽の有った部分から二本の首が出て来てブレスを吐きます。
瞬間移動で避けながら首を切り飛ばし、上から下へ反復横跳びの要領で胴体を切り刻んで行きます。
足まで綺麗に輪切りにして行くと。
途中で硬い何かを切った手ご対が有りました。
暫くすると、黒い霧の様なものが飛び散り広がり徐々に薄くなり消えて行きました。
後には輪切りの巨大な飛竜の残骸とその中に巨大な魔石が光って見えます。
邪飛竜ボス戦終了です。
暫くボスの傍らに佇んで居ると、城壁の上から大歓声が上がりました。
シルバーさんのお許しが出たので脳筋どもが城壁の上に上がれたようです。
鈴なりの脳筋どもが歓声を上げたり、抱き合って喜びを表したり、涙を拭いて肩をたたきあったりしています。
その中で一際目立つ大柄な体躯をして、大声を上げて居る脳筋がいます。
チョット、ガバナスさんに似ています。
あれ?・・・。
そっくりです・・・。
どういう事?
死んでたんじゃ・・・?
瞬間移動でガバナスさんの横に立つ。
顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしたガバナスさんが抱きついて来ました。
そして、背中をバシバシ叩いてきます。
痛い、痛い、痛い。
背中は痛いは、僕の頭と顔はガバナスさんの鼻水と涙でべちょべちょです。
どうやら生きているのは確定ですね。
でも、なんで?・・・えっ?
何じゃこりゃあ?
どういう事・・・?
何かシルバーさんがドヤ顔しているので、彼女が何かしたんでしょう。きっと。
一応、今は喜んでおきましょう。
良かったよ~。
チョット涙ぐんでいたのは内緒です。
でも、汚ねえなぁ、おい。痛いし。
何とかしてくれ~。
助けて~。
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あの後は大変でしたが、今は宴会が街の広場で始まっています。
飛竜は中々の食材で有るらしく皆、大喜びしていました。
脳筋どもは自分たちの食べる分を街にそそくさと運びこみ、バーベキューの用意をしていました。
残りの飛竜は僕のアイテムボックスに入れています。
何千匹のあの巨体が全部入ってしまいました。凄いです。
後で冒険者ギルドと商人ギルドに買い取ってもらい今回戦いに参加した人に分配するそうです。
食材を貰う人や飛竜の皮で防具を造る人もいるそうです。
本当はまだスタンピードが終わっていないので宴会なんてしている場合じゃないのですが、第二弾にはまだ時間が有ると言う事で。英気を養う為にも、士気を高める為にも必要だとさ。
流石が脳筋。今を生きてるって感じですね。
宴会の初めに軽く挨拶をしたら領主の館に戻ります。
勇者と一緒です。
今日一日で大分身体が引き締まっています。レベルアップと共に身体も作り変えられた様に変化しています。異世界が凄いのか、勇者が凄いのか分かりませんが。ビックリです。
ギランさんはこれじゃあ転がしにくくていけない。
っと言ってましたが。わざわざ転がさなくても歩いて移動してくれるのですから関係無いでしょうに。
結構気にいっていたんでしょうか。転がすのを?
領主の館に戻ると大歓迎されました。
今日も晩餐会です。飛竜の肉は凄く美味しかったです。旨みが凝縮されている感じでシチューでもステーキでも行ける感じです。堪能しました。
早々に風呂に入って寝る準備です。
まあ、直ぐに寝られるとは思って無いですが。
案の定、大きな音立ててドアが開きます。
今日も鍵をかけておいたはず何ですが。
幼龍を抱いたシルバーさんがクロさんと一緒に入って来ました。
その後をぞろぞろと団体さんのお越しです。
カレンさんに、公爵夫婦に、ガバナスさんの夫婦に、見た事の無い夫婦に、もう一人見た事の無い、小っさめの女の人が一緒です。誰?
諦めて、アイテムボックスから、50インチのモニターを出してデスクトップパソコンに繋げて動画を再生します。
皆、食い入るように見ています。
異世界じゃエロ動画大受けだね。元の世界でも一緒だけど。
良いのか、異世界文化ハザードを起こして。
あかんやろ、これ!
「お前何してんの?」寝ていた勇者が話し掛けて来ました。
こいつ、この部屋じゃないと嫌だと駄々をこねたので何故か一緒の部屋になってる。おホモ達か⁉・・・違うよね⁉
えっ?まさか・・・。ビクビク・・・。
お陰でベッドがもう一つ持ち込まれている。当然だけどね。
「成り行きで?」僕が答えると。
「まずいんじゃないのこれって。良いのか?」
「知らん。もう責任取れん程広がってしまってる。」
「お前が良いならいいけど。」
「成る様にしか成らん。どうにでもしてくれって感じ。」
「ふ~ん。」
勇者は関心薄そうです。って言うか動揺し無さ過ぎでしょ。
流石勇者です。
眠いから寝ると言って寝てしまった。
こいつも自由人だな。おい。
僕も寝たいよ。
スタンピード中に良いんでしょうかこんな事していて。
こうして、今日も夜中まで勉強会は続き。
満足した夫婦連中は手に手を取って去って行くのでした。
カレンさんと謎の小さい女の人もおかずが出来たと去って行きましたとさ。めでたしめでたし。おしまい。
めでたくねえわ、畜生。モンモンするは。
取り敢えず寝よ。
2日目終了です。
ありがとうございました。




