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テーマ詩集:クローゼット

靴紐

作者: 歌川 詩季

 私が、靴紐を描くとこうなります。

 砂利道くらい気にしないで 裸足で駆け出したいのに

 ぎゅっとしばられてる

 脱ぎ捨てられない足枷に

 ふだんは守られてるの知ってるから

 きみを責めたりしないけど


 草原を踏み荒らして 裸足で駆け抜けたいのに

 ちょうちょが結ばれてる

 親指と小指をしめつけて

 窮屈な想いしてるとはいえ

 きみを責めたりしないんだ


 ひきほどいちゃえないのは ぼくのためらいのせい

 責められるべきはきみじゃない

 必要なのが 背中を押してくれる指なら

 あまりにお門違いだよ

 

 ある日きみは力尽きたように

 ほつれたその身をぷつりと切るだろう

 おのれのさだめに殉じた生きざまは

 細く長いなんてみせかけとは ほど遠くても



 アスファルトに削られても 裸足で踏み出したいのに

 じぐざぐ編まれてる

 束縛とひきかえの抱擁に

 やさしく包まれてるの知ってるから

 きみを責めたりしないけど


 コンクリートに灼かれても 裸足で踏みしめたいのに

 ちょうちょが羽を休めてる

 つまさきと かかとがすりむけて

 ひりひり痛んでるとはいえ

 きみを責めたりはしないんだ


 ひっこぬけちゃえないのは ぼくが弱虫なせい

 責められるべきはきみじゃない

 不可欠なのが 背中ではばたく翼なら

 とんだ筋違いだね


 やがてきみは仕事を終えたように

 くたびれたその身をぼろりと崩すだろう

 おのれの役目に倒れた死にざまに

 太く短くだとか語るやつ 消えてうせろ

 なんで、こうなるんでしょうかねぇ?

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― 新着の感想 ―
[一言] 愛着はあるんでしょうね 一般的な枠組み 「外では靴を履く」 を破る勇気がないから 靴を脱げない その勇気が持てない自分を 素直に認めたくないから 君のせいでは無いといいながら 靴紐に恨みが…
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