友達が主人公な件について
リハビリに書きました。
俺の友達は、いわゆる『ギャルゲー主人公』だ。
自称どこにでもいる普通の高校生。だがしかし、顔は中性的なイケメンだし勉強や運動のスペックも高く、更には生まれた時からの幼馴染、血の繋がらない姉と妹、義理の母、かわいい後輩に生徒会長な先輩と、すげーかわいい女達に縁がある。
正に『ギャルゲー主人公』
まぁ正直俺としては死ねと思うぐらいには妬ま羨ましい存在ではあるが、それでも中学時代からの大事な友人だ。
だからこそ、とっとと好きな奴とくっつくなりしてリア充になって爆発しろと常日頃から思っている。
「ね、ねぇ悠里。今日は一緒に帰らない?」
「先輩! 今日は私と帰りましょう!!」
「あら、放課後彼には生徒会の仕事を手伝ってもらうつもりなのだけど……」
「えーっと……」
なんて事を考えていると、早速ギャルゲー主人公……もとい俺の友人、桜田悠里に向かって頬を染めながら話しかける女達の姿────クラスメイト、後輩、生徒会長の姿が目に入る。
クラスメイトはともかく、他の二人は教室も違うのにわざわざよく来れるよなぁ……と思いながら俺は手早く鞄を持ち、巻き込まれる前に離脱を試みる。
だが、一足遅かった。
困惑した様子の悠里は、立ち上がった俺の姿を見るとパァーっと腹立たしい程に目を輝かせると────
「あ、待ってよ友輔! 一緒に帰ろう!!」
ヒロイン達から素早く離れ、俺の隣に立って楽しげに笑う悠里。そしてそれを見て、俺に対して面白くなさそうな目を向ける三人のヒロイン。
おっと後輩に関しては殺意すら感じる視線を向けてきてらっしゃる。
「いやお前、あっちに誘われてんじゃん。俺はいいからあっち行けよ。野郎より女取るだろ普通」
俺の言葉にヒロインズは後ろでうんうんと頷いている。
だがしかし、悠里は俺の言葉に対してキョトンとした表情を浮かべると────
「え? 僕は友輔と一緒に帰る方がいい。その方が大事だから」
「お、おう……」
俺が、女でヒロインだったら惚れてるようなセリフを吐きやがった。
俺の友人は「ギャルゲー主人公」だ。だが友人は────何故かヒロインルートではなく俺ルートを狙ってる。
……いや、なんでやねん。
恨みがましい三つの視線をその身に受けながら、俺は胃を押さえるのであった。
僕の友達は、いわゆる『やれやれ系主人公』である。
自称どこにでも普通の高校生で、めんどー事はごめんだ。なんて斜に構えている。
けれど、口ではなんやかんや言いながら困ってる人はほっておけなお人好しだ。僕も、何度も助けられた。
「あのさ悠里。何度も言ってるけど俺じゃなくてあっち優先しろよ。はよ彼女作れ」
「嫌だよ。別に嫌いじゃないけど好きじゃないし……というか、興味が無い」
「お前そのうち殺されるぞ。いや俺が殺すわ」
なんて悪態を吐いてくるけれど、友輔の本音としてはとっとと彼女を作って幸せになって欲しいのだろう。
けれど、僕には『そっち』の趣味はないし、もう好きな人がいる。
「てかさぁ、こうやってお前とつるんでると俺に彼女ができねぇんだよ。俺のためにも彼女作れ? な?」
「やだ。友輔と遊んでる方が楽しい」
「…………お前、ホモじゃないよな?」
「アハハ、それはないよ。僕に同性愛の趣味はないし」
「ならいいけどさぁ……はぁ……」
一つため息を吐き、無駄だと理解した友輔は会話を打ち切ってそのまま歩き出す。
その後ろ姿を見ながら、僕は自分の『秘密』について考える。
……僕が実は『女の子』って言ったら友輔はどんな反応をするのだろうか? そんな事を考えながら、僕は好きな人の背を追いかけるのだった。
男装ヒロインが好きです。