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神のゲーム  作者: 石堀いるか
3/12

02.狩猟には良い森じゃなかろうか

 街の西門から出て、街道から少し外れた街の北西に広がる広大な森。生い茂る樹々から木漏れ日が照らし、清涼な空気が漂う。


 森に入った瞬間からスキルが反応する。【千里眼】と【索敵】の影響で上昇した知覚範囲に、数多くの魔物の反応が引っかかる。

 安全マージンを考えて、一体ずつ相手しようか。


 樹を障害にしながら、敵に攻撃を命中させられる距離まで忍び寄る。

 敵はサイドワインダーという名の蛇一匹。一匹だけ浮いてたからには狩らせて頂こう。



 初期装備の弓に初期装備の木矢を番える。


「まずは一矢」


 弦の弾ける音と空気を切り裂く音が鳴り、蛇の頭部に矢が刺さる。

 攻撃によってこちらに気付いた蛇が寄ってくるが、そうさせる前にもう一撃。

 矢筒から矢を取り出し、蛇に対して射かける。


 続く一矢も命中したものの動いている相手には流石に厳しく、掠った程度で大したダメージは入ってない。


「ならば次」


 俺は装備中の弓をしまい、短剣に切り換えた。

 純粋な武器の威力だけ見れば、短剣の方が若干高い。近接なら切り換えるのが正解だろう。


 目前まで来ていた蛇が攻撃の為、大きく跳躍した。

 蛇が口から見せる鋭い牙が、真っ直ぐこちらへ飛んでくる。


 どれだけダメージを受けるのか検証してみたい気もするが、まだレベルも低く油断はするべきではない。もしかしたら攻撃力が高く、一撃で瀕死や死亡する事態もあり得るかもしれない。

 とはいえこの速さなら十分躱せる。ここは素直に回避すべきだろう。


 少しだけ身を翻し、そのまま短剣で目前の蛇の身を切り裂いた。

 地面に落ちた蛇はHPが尽きたのか、光粒子となり消え去る。


 よし、勝ったか。


 地面に落ちている二本の矢を回収する。矢は消耗品だが、耐久がなくなったり、紛失しなければ数度は使いまわせる。生憎初期装備の木矢は1ダースしか数がないことだし、大切に使わせて頂こう。

 ……買い物を忘れたのは確実に失態だな。


 メニューを開く。

 レベルが1上昇し、ドロップした蛇皮が自動でストレージに格納されている。


 おっと、割り振れるステータスと取得できるスキルが増えてる。

 取り敢えずステータスは筋力に振る。

 スキルはまだ取得せずに据え置きで。もう少し戦ってからかな。

 うん、この蛇相手なら問題なさそうだし、しばらくは奇襲しながら一対一を続けよう。




   ***


 クリア

――――――――――――――――――――――――

ダークエルフ・♂    斥候 Lv.10

HP: 111( 111)MP: 105( 105)AP: 13( 123)


■称号

 来訪者

 狩人

 ――の祝福

 時の女神の祝福


■ステータス

STR : 13

VIT :  1

AGI : 21(+ 4)

DEX : 25

INT :  5

MND :  5

LUK : 40


■スキル(残SP5)

【短剣Lv.4】【弓Lv.5】【投擲Lv.2】

【闇属性魔術Lv.1】

【敏捷強化Lv.4】

【不意討ちLv.3】【先制Lv.2】【急所狙いLv.2】【回避Lv.3】

【潜伏Lv.2】【気配希釈Lv.2】

【索敵Lv.4】【気配察知Lv.2】【鑑定Lv.2】【千里眼Lv.3】




 しばらく狩りを続けて、蛇相手なら5体程度が相手でも無傷で倒せるようになった。

 主にに遭遇したのは蛇以外には蜘蛛に鹿。他にもいるのかもしれないが、この森にはその三種が多い。


 水場の近くの木の根元。一先ずそこに腰を落ち着ける。

 行動力(AP)が殆ど尽きかけていたので、途中幾つか手に入れた果実を齧る。

 APはスキルの使用、時間経過等で減少し、0になるとステータスやHP、MPの減少も発生し、最終的には死に至る。回復するには回復薬(ポーション)や食材系アイテムが必要となるが、ポーションは食材系アイテムほど回復しない。APを回復させるなら基本的に何かしらを食べないといけない、という事だ。


 食した果実の味に顔を顰めさせる。萎びた林檎の様で、まるで美味しくない。

 スキルがなくても採取は可能だが、ランクが下がる。こうしてランクが下がった食材は美味しくない。ついでに回復量も若干下がる。


 俺は黙ってSPを3消費し、【採取】スキルを取得した。


 ……いずれは取得しようと思っていたし、うん。

 街で他人が作った料理でも買って狩りをすればいいのかもしれないが、その料理を作るにしてもランクが低い食材だと美味しくないだろう。

 日本人にとって美味しい食事は死活問題なのだ!



 さて――。

 俺はもう一度スキルやステータスを確認する。

 闇属性魔術を使う機会が全然なかった。

 闇属性魔術レベル1で取得するのは〈ブラインド〉。相手の命中力を下げる補助系の魔術だ。レベルやINTが上昇すれば《盲目状態》に出来るらしいが、それはさておき。


 現状、相手の攻撃前に倒す。が基軸となっているから、そもそも相手にわざわざ魔術を行使して、命中を下げてから使うといった事がない。そんな時間があるなら、普通に弓矢で一回は攻撃できる。完全にソロで使いづらい。

 しかしスキルは使わねば成長しない。〈ブラインド〉は対象を取って発動するものだから、相手がいないと使用できない。スキルが成長しなければ、新たな魔術も覚えられない。


 どうしたものか悩んでいたが、妙案のようなそうでもないようなアイデアを思い付いた。


「自分にかければいいのでは?」


 闇属性魔術の鍛錬も出来るし、命中が下がった分弓の鍛錬にもなる。更に言うとINTも高くはないから、敵に当たらなくなる程命中が下がるわけでもない。……筈。


 少し遠くに真白な蛇が見えたので、あれを相手に実験してみる事にする。

 〈ブラインド〉の発動には……、成功。視界に薄らと黒い靄がかかる。すると真白な蛇の姿も見えなくなってしまう。


 あっ、これ千里眼も影響受けてるな。

 とはいえ見えなくなっても敵の存在は充分感じられる。


「〈飛ばしの矢〉!」


 弓がレベル5になって覚えたばかりのスキルで敵を攻撃する。

 見えてはないが、当たった手応えはする。感覚頼りだが、充分いけそうだ。


「もう一度か、〈飛ばしの矢〉」


 まだこちらに気付いていなそうな真白な蛇にもう一度矢を射ると、ドロップしたアイテムがストレージに格納された感覚がした。


 ……余裕だったな。

 しばらくは自身に〈ブラインド〉をかけながら狩りをしようか。

 いや、その前に採取か。〈遠距離射撃〉2回で意外とAPが減少してしまっている。適当に食材を集めよう。


 俺は更に森の奥深くに潜っていった。

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