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神のゲーム  作者: 石堀いるか
2/12

01.得体の知れぬ祝福

 目を開けると、眼前に広がるレンガ造りの街並み。

 人々の騒めきや、乾いた土の香りも微かに届く。


「おおっ、凄いな。ゲームの中とは到底思えん。最新のゲームはこんなに凄いのか」


 彼は五感から得る情報に感嘆の声を漏らすが、現在の最新の技術は未だこれらを再現できるところには遥か至っていないという事をまだ知らない。



 鏡や姿見はないが、確認できる範囲で自身の姿を確認する。

 褐色の肌に、サラサラで透き通るような白髪。 身長はリアル同様平均より少し低い程度に。

 声は少しだけ高くなっている。


「まさか声まで変えれたとは驚きだな。今は顔を見れないが設定した通りなら、そこそこイケメンの筈だし夢が広がるな。……ネカマも捗るな」


 ……ないとは思うが、変なのに騙されるのは避けたいな。

 


 感動も程々にメニュ―画面を開いた。



 クリア

――――――――――――――――――――――――

ダークエルフ・♂    斥候 Lv.1

HP: 21( 21)MP: 24( 24)AP: 26( 26)


■称号

 来訪者


■ステータス

STR :  6

VIT :  1

AGI : 13(+ 1)

DEX : 14

INT :  4

MND :  5

LUK : 30


■スキル

【短剣Lv.1】【弓Lv.1】【投擲Lv.1】

【闇属性魔術Lv.1】

【敏捷強化Lv.1】

【不意討ちLv.1】

【潜伏Lv.1】【索敵Lv.1】【鑑定Lv.1】【千里眼Lv.1】




 見ての通りの隠密、暗殺スタイルだ。

 本当は【先制】や【急所狙い】も欲しかったが、妥協するしかないだろう。


 ステータスは幸運(LUK)を中心に敏捷(AGI)器用(DEX)にも少し振った。

 その結果耐久(VIT)が最低値になったし、他のステータスも悲惨になってしまったが、努力しよう。

 VITに関しては当たらなければどうという事はない、を地で行くしかないだろう。

 DEXとAGIが伸びやすいダークエルフを選んだが、逆にVITが伸びにくいらしいし、最悪VITは完全に捨てていいかもしれない。

 回避系の技能も速いうちに取得を目指そうか。或いは必中や範囲攻撃対策にダメージ無効系もあるなら欲しい。



 さて、ここはどこだろうか。


 前方には大通り。左右には多くの店が立ち並び、少し遠くに広場と噴水も見える。

 背面には白い建物。施された装飾から見ると神殿だろうか?

 正面に一番大きな建物があり、その手前の左右に若干小さな建物がある。

 少し遠くにも似たようなものが見える事から、一番大きな建物を中心に幾つかあるのだろう。


 折角だし少し寄っていこう。挨拶は大切だしな。



 大きな広間。

 正面奥に純白の像があり、その奥にステンドグラスもある。

 像の前までレッドカーペットが敷かれているが、その左右には日本の教会のように長椅子はおかれていない。どこにも置いてるわけではないのだろうが。

 光沢のある白色の床板が規則正しく敷かれていて、なかなか見どころもある。寧ろ余計なものが邪魔してなくていい気がする。


 鑑定によるとここは『時の女神の神殿』だそうだ。


 時の女神?

 この世界の宗教観が分からん。少し調べてみたい気もするが、それより少し街の外に出てみたいな。軽く参拝するだけで今回は勘弁して貰おう。


 像の足元に少なくない貨幣が置かれてある。

 というか、供えてあるのか。

 俺も見習って少しばかり供えようか。まあ、お賽銭みたいなものだしな。


 持ち物(ストレージ)から100ギルを供える。


 ……この世界の参拝方法は如何だろうか?

 二例二拍手一礼か? それとも十字を切るのか? それとも……。

 いや、手を合わせるだけでいいか。よく分からんしな。



『ようこそこの世界に来りし青年よ。彼の者との約束により、汝に加護を授けよう』


 手を合わせ目を瞑ると、頭の中に男性の声が響く。

 目を開けて左右を確認するが、それらしい人影は見当たらない。


『汝は何を求める?』


 何かのイベントだろうか?

 初参拝時に発生する固定イベントか何かかな?


 求める、か。

 足りてない技能は欲しいけどそれは成長すればいいだけだし、わざわざ人に授けられてまで求めるものはないかな?

 この世界を充分に味わえて、それでいて楽しければそれでいい。


『――汝の行く先々に祝福のあらんことを』


《【――の祝福】を取得した》



 あれ? 結局何か貰った。

 メニューを開いて詳細を確認しようとするが、詳細が表示されない。

 鑑定のレベルが足りないのか?

 よく分からないのがあるのは少し気になるし、若干怖いがあの感じならこの世界の神様かそれに近しい存在なのだろう。そこは信用するしかない。

 有用かは分からないが、こんな序盤にこんなものを貰えていいのだろうか? いや、くれたからにはいいんだろうな。わざわざ悩んでも仕方がないか。



『これはおまけ』


《【時の女神の祝福】を取得した》


 少しばかり思索に耽っていると、儚い女性の声が聞こえ、もう一度アナウンスが鳴る。

 そうだよな。ここ時の女神の神殿だもんな。それ以外の何かから貰ってるのがおかしいんだよな。けどこっちがおまけなの?


 まあ、ゲームだし難しく考える必要もないか。

 そろそろ街の外に出よう。


 俺は神殿を後にする。





 ――後日、ストレージにひっそりと追加されていたアイテムを見て驚愕すると共に戦慄する。


 パンドラの箱

--------------------

何が入っているかは分からない。



 なんでこんなものを人に渡すんですかね。

 鑑定で何が入っているか判明するまでは絶対に開けない。絶対に開けないぞ。

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