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転生者選定NO.  作者: 鈴明明書房
45/49

集い始める5

表に出ないはずの黒歴史

Q ルティの弓矢の技術もゲルン師匠が教えた?

 エクバの斬撃、クノンの銃撃。これで両ハサミは使えない。脚はまだのこっ!


「エクバ。クノン。避けてええ!」


 イチカが叫ぶと同時に3本の脚より水撃が放たれる。水しぶきで2人の姿が見えない。あ、ギユもまだ海面にあがっていないわ!?


「ミニアド!」


 イチカが私の前に立ち防壁をはり、足元からの水撃を防いだ。これは?!

 

「君たちにこれを使うことになるとは思いませんでした。」


 主は残った左腕に槍を持っており、槍は赤く輝いていた。魔力を感じるからダンジョンイカになにかしたのかしら?


 海面より浮かんできた脚にギユ、エクバ、クノンがつかまっている。これって全ての脚が再生している?


「にゃー。ぎにゃああああああああああ。」

「これはイチカにしてよー。これで際立つあの膨らみをうえ。」

「エクバうるさい。っく。」


 ・・・・・・搾り上げらているけど、3人ともまだ無事ね。さらに小型魔物が出てきた。術式も復活しているの?


 「ダンジョンの命と魔力の制限解除ですよ。ただ倒されるよりは最後まで暴れるというね。」


 あらあ、説明どうも。その槍で体のリミッターを無理やり外して、命つきるまで暴れろとただでは死んでくれないのね。


 「イチカは主を。エクバ達は私が助けるわ。」


 「うん。」


 イチカは水撃を躱して、主に肉薄する。だが、水撃が次々と放たれるので、攻撃までには至っていない。一斉発射だった今までと違い、タイミンングをずらして放たれているので、私も回避で精いっぱい。


 ただ、主の目線はイチカにいったので、このスキに


「エムニア、小型魔物をそっちに引き寄せて。」


「了解。」


「たぶん、あと少しだから。」


 主の話からして、ダンジョンイカの命もあとわずか。このまま押し切るためにはまずは3人の救助ね。いや1人か。流石というべきかしらね。


 運よく両腕が自由だったクノンはエクバをつかんでいた脚を破壊した。そして、自由になったエクバが脚を踏み台にクノンを捉えていた脚を切り刻む。


「ふん」

「・・・・」


 睨みあった後、エクバは顔、クノンは脚に攻撃。エクバを助けるしか自分の脱出する方法が思い浮かばなかったクノン。クノンに助けられたエクバ。助け合うのも気に入らない2人。


「姐さーん、助けてー。ぎにゃあ。」


 そして、迷うことなく助けを求めれるギユっと。魔法の刃で脚を切った。脚に絡まれているせいか、着地することなく海に落ちたギユ。


「ふう。またですか~。しょっぱーい。」


 顔を出してきた。うん。無事そうね。叩きつけてきた脚を防壁で防ぐ。この間に3人の状況を確認。  エクバは剣で切り傷を作り、その傷にクノンの銃撃が加わえている。イチカは慣れてきたのか、脚と水撃を紙一重で避けながら、主に接近していく。徐々にだが確実に間合いは狭くなっている。


「早く、立ちなさい。」


「あ、姉さん危ない!」


 主の足元からの水撃を交わしたイチカ。その背後に脚からの水撃が飛んでいく。防壁・・・、だめ、間に合わない。


 イチカは一直線に向かってきた水撃を身を捩ることで回避。水撃はこのまま主にも当たると思ったが、主は躱しながらその水撃に槍を刺した。刺すといよりはそっと添えた感じね。なにをする気?


 イカが飛ばす丸太のような水撃から鋭い水撃が枝分かれイチカに向かう。あの槍の効果?避けれない!


 だけど水撃は当たらなかった。イチカは主の水撃を足場として左足で踏む込み、次にはイカの水撃に乗り移った。そして、そのまま滑って、主の顔を蹴とばした。


 「にゃ!」


 ギユの驚愕した声。私は声が出ない。あのブーツだからできたのかもしれないけど、よくその判断をしたわね。そもそも見えていなはずの攻撃をかわしたことにも驚く。


 無事切り抜けたけど、その対価は払うこととなる。槍の効果の水撃は向かってきたためか、左足のブーツが火花と煙を上げている。ブーツの機能停止も時間の問題かも。


「ミニアド様。お二人が上空にたどり着きました。」


 エムニアの声に、ダンジョンイカのほうへ思考を振り替える。


 弾と矢の雨がダンジョンイカの顔を襲う。ラズの祈りを上乗せした銃弾。なんらかの魔法を加えたルティの矢。さらにエムニアの盾に内蔵されたガトリングガン2丁。クノンのグレードランチーもそこに加わる。


「ミニアド!今じゃない?」


 エクバが飛び上がった。確かにこれだけ弱まれば!私も術式を展開させる。弾と矢がやんだところにエクバの剣が額を切り裂く。


「いくわよ、穿刃流転!間合いは各自とりなさい。」


 螺旋状の光の矢が切り裂かれた額より内部へ。苦痛でのたうち回るイカのせいで波が荒れる荒れる。でもここで終わりじゃない。イカの内部より光の刃が体内を貫く。

 

 最初の放った螺旋状の矢は、束となった刃が捻じれたもの。その矢は体内で捻じれが解かれ、元の刃として体外の、自然の魔力を目指して移動するように私が作り上げた魔法。


 現時点で、最上位の威力を持った私の手札。


 ただ、矢の速度自体も遅い。それに弱まった大型魔物にしか当たらない。普段の戦闘に使えるものではない。


 それに、複数の魔石を使用してやっとこの威力。自分が一流の魔術師じゃないことも実感してしまう。


 それは置いといて、ダンジョンにはどうかしら?


 イカの動きが突如緩慢となり、目の色が澱んでいく。そして、動きはなくなる。空いた穴から静かに血液が流れ、海が染まっていく。イカの魔力の動きも感じないことからこれでダンジョン事態は攻略したといえる。


 あとは頭の術式。だけど、主とイチカの決着、私たちはそれを見守る。




「倒されましたか。」


 主がダンジョンイカに目線を向ける。怒ることも焦ることもない。異様な冷静さが逆に不気味。


「それにあのように反撃をしてくるとは思いませんでした。ですが、その様子だと左足のほうはもう使えないのでは?」


「ええ。あ。ギユお願い。」


 左のブーツは既に脱いでおり、投げ捨てようとしたが、こちらを向いて、ギユに投げ渡した。ギユはキャッチしそこね、顔に当てていた。


「よくできますね。」

 

 イチカは右足だけで海に立っている。ただの在り方は異様さを感じてしまう。エクバたちの危機に集中力が増したの?


「訓練しましたから。」


 エムニアのブーツを使えるようになるため、私たちは老師の訓練とは別の訓練をしている。


 ブーツが完成するまでは氷上スケートから始まり、ブーツ完成後は、池、海、荒れた海と段々と悪条件で使用できるように。


 直立から始まり、歩行、走行、跳躍、戦闘が一通りできるように。故障を考慮して片足での直立それも当然入っていた。


「ですが、その足ではもう躱すことはできませんね。」


 主は片腕で槍を構える。


「・・・・次を躱して、それで終わらせます。」


 一瞬だけこちらを見た。イチカ?そして、下段に構えというよりは、ただ、剣をぶらんとさせているように構える。剣先が海に触れた。

 

「にゃ?」


 戦いの影響で荒れていた波が静まりかえる。寒気?身震い?肌がざわつく。魔法でも祈りでもない。老師様のいう氣でもない。主は一瞬だけ驚きを見せた。


「では私も最後の悪あがきといきますか。」


 主は突進して突きを繰り出す。槍が術式を展開させ、電撃も飛んできた。


「やあああああああ!」


 すれ違った主とイチカ。主の雷撃はイカに命中するだけで終わる。海を力強く踏み込んだイチカの一撃は槍と主の腕、胴を切り裂いた。


「これが勇者の力ですか・・・・・・」


 主の裂けた腕と槍を海に落とし、血を吹き出しながらも平然としている主。目線は冷静にイチカ、海、私と移る。イチカが海を踏み込んだ理由にも気づいているようね。


 私は足場として防壁を発動させていた。ばれないようにギユを盾に術式を展開し、さらに防壁自体が海面スレスレになるように発動させた。上手くいったわね。


「・・・・・・・・・・これが勇者、いえ勇者一行の実力ですか。初戦の相手が勇者だったとは巡りが良いのか、悪いのか、悩むところですね。ふう。」


 精神はともかく肉体は限界に近付いているので膝をついた。イチカの様子から名乗ってはいないようね。いつ気付いたのかしら?


「ミニアド、イカが!」


 ラズの声にダンジョンイカに目を向けるとダンジョンイカはその姿が消えていく。この反応はダンジョンが消えていく反応と同じ。!さきほどの電撃はダンジョン転移の術式に当たっていた?なんのため?


「・・・・・・お伝えしておきますね。今までの戦いは・・・全て・・・・記録されています。ぐっ。そし・・・・戻ることで・・・それは同胞に・・・・伝わりますので。」


 主が私の疑問に答えた。


「なぜ、それを教えてくれるかしら?」


「勇者一行には伝えるように言われておりましたので。がっ。」


 吐血しながらも答えた主。上の指示に従っただけとしか思えない態度ね。・・・・・・


「・・・・・・・・・なにを見られて、どう対処されても問題ない。私たちはそれをも超えていく。」


 私は消えゆくイカに覚悟を見せつける。魔王サイドがなに考えているのかは、ある程度想像つくけど、全て無駄だと見せつけておく。


「そうですか。っぐ。・・・・・・・・・いい経験に・・・・・・・・・・」


 こと切れた主はそのまま海に沈んでいった。




「では、ダンジョンこうにゃくにかんにゃーい」


「「おおーーーーーーーーーーーー。」」

 

 ギユ様が6度目の音頭をとりました。ギユ様を含め、ダンジョン攻略戦に参加した多くの方は相当お酒が回っているようですね。なにせ、ダンジョンイカ討伐の祝賀会が開始してすでに4時間程過ぎていますから。


 現在、ギユ様は海賊と、エクバ様、ルティ様は自警団と、ラズ様は傭兵の方とおられますが、まだまだ止まる様子はありません。ミニアド様は冒険者の女性陣とお話し中。クノン様、老師様、私、イチカ様はどう席ですが、イチカ様は船をこいでいる状況です。


「イチカ様、まだまだ、終わりそうにないのでお先に休まれては?」


「・・・・・・・あ、うん。」


 理解しているのか判然としない様子です。


「私も行く。ほら立って。」


「・・・・・うん。」


 クノン様がイチカ様の腕を取り立たせます。ですがイチカ様はふらついたので私が反対の腕をつかみました。


「エムニア殿も休みなされ。儂もミニアド殿にはイチカ殿のことを伝えたら、休ませてもらうよ。」


「私が酔うことはありませんので大丈夫ですが。」


 イチカ様たちには私の正体を伝えています。私のもつ技術のことを話すと必然的に私の正体について説明する流れとなりましたので。イチカ様が一番長く驚いていましたが、ほかの皆さんはすんなりと受け入れています。


「別に酔わない、疲れないから酔っ払いの面倒を見ろなんて言わない。ね、イチカ。」


「え、あ、うん。エムニアもお風呂行く?」


 この戦いの協力者の方からお酒を注がれ、律義に飲んでいたイチカ様。やはり限界を超えてたようで、今は会話の流れを理解できていないようです。ですが、この笑顔は私を仲間として受け入れていることは理解できます。


 私は老師様、ルティ様と同じタイミングでイチカ様率いる勇者一行に参加しています。私の技術、能力を知ったミニアド様が私を勧誘した形になります。


 誘いに応じた理由は・・・


「ほら行くよ。イチカ。」


「うん。」


 クノン様がイチカ様を引っ張り歩き出します。ふらつきながらも連れていかれるイチカ様。


 イチカ様を放っておけないという理由はありますね。


 日中の騒々しさとは異なる騒々しさの祝賀会はまだまだ続きましたが、イチカ様、クノン様とともに私の今日は終わりました。


A これは生まれ故郷で基礎を教えられて、装飾作りのマスターネナネナからついでに叩き込まれ   

 たっス。ってこれも師匠の話じゃあないっすか!

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