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転生者選定NO.  作者: 鈴明明書房
44/49

集い始める4

表に出ないはずの黒歴史

Q ルティの師匠って?

「これより作戦開始。勇者様の乗る船を全力で援護せよ。」


 私、ルティ、エムニア、老師の乗る旗艦の船長が合図をだした。 イチカ、エクバ、クノン、ギユ、ミニアドの乗った船は全速全身でダンジョンイカ(ギユによる命名)に向かっていく。


 今回、主は最初から視認できる位置にいる。ダンジョンイカより小型魔物も出てきた。互いに総力戦になるのはわかっているようね。


 「撃てえええ!!!!」

 

 イチカたちの船をダンジョンイカの脚と小型魔物より守るため、魔法、砲撃、矢などが打ち出される。


 このダンジョン攻略には5隻の船を用意することができた。 


 「海の戦士の力を見せつけろおおおお」


 ラウラウの自警団。このまま観光客がこないと彼らの今後にかかわるからね。

 

「魔物を引き寄せる魔法を発動させます。」


 勇者の噂を聞いて、協力を名乗り出た船持ちの冒険者一行。イチカに握手やサインを求めていたわ。

 

「さあ、稼ぎ時だ!」


 偶然ラウラウにいた海の傭兵『ウミズキダッチャ』 私が『月喰い』所属時代に共闘したこともあり、組織名はともかく腕は信用できる。

 

「ラズの姐さんに俺達の力を見せるぞおおおおお」


 この海がナワバリの海賊『カリップ一味』。私とミニアドでねじ伏せた結果、喜んで協力してくれた。


 そして、イチカ達の乗る船。

 

 「私も負けてられないっすねえ」


 ルティが矢を放った。弓適正の高いエルフだけあって、その矢は正確に主を狙っていた。槍で防がれたけど、クノンに負けないくらい精密な腕ね。


「ふむ。いい腕じゃのう。」


 老師も感心している。老師は前線にでるものだと思っていたが、ミニアドの


「前線のメインはイチカ、あ・な・た。老師様には遊撃をやってもらいます。」


 との方針でこちらの配置に。老師は指導者ポジション。あと老師頼りにならないようにってことね。


「ルティはイチカたちが接近するまで、主狙い。倒すことよりも当てて魔法発動を邪魔して頂戴。」


「了解っす」


 ルティの第2撃は曲線を描き、脚を掻い潜った。今度も槍で防がれたけど、主の顔がこちらを見た。あら、すごいじゃない。これなら、あの水撃を減らせるかも。本人は戦闘要員ではないと言っていたが十分ね。

 

「エムニア殿、ラズ殿の守りはまかせますぞ。」

 

 一番乗りした小型魔物を弾き飛ばした老師。


「了解。盾1枚をオートでつけておきます。」


「ありがと、ね!」

 

 あの浮遊する盾が私の前に。さっそく飛んできた針を防いでくれた。ちゃんと飛ばしてきた奴には銃弾を食らわせた。


 小型魔物は全てこちらに向かっている。この手の魔法が効く魔物でよかったわ。


 その間にイチカたちの船は脚の間合いに入った。だが船は止まることはない。


 船の挙動に気づいた主が指示を出したのか船はダンジョンイカの4本の脚につかまった。聞こえる音から、船が握りつぶされるのは時間の問題。


 なのでこちらから船は爆破させる。計画通りに、予定通りに。


 ズッドーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!


 豪快な爆破音とともに船の木片が飛び散る。その後、聞こえたのはダンジョンイカの苦痛の叫びね。計画通りにダンジョンイカにそれなりのダメージを与えることには成功。


 さらに煙に紛れて、イチカ、エクバ、クノン、ギユ、ミニアドの影が飛び出す。同時にクノンの銃撃と、ミニアドの火球がイカの目を直撃した。


 飛び出した5人は海上を滑る。イチカは凛々しく。ミニアドは華麗に。エクバは力強く。クノンは鋭く。ギユは軽やかにというより落ち着きなく。


 エムニアの作成した特殊ブーツによって氷上スケートのように5人は海を滑っている。きっと、この光景に主の表情が驚愕しているわね。よく見えないのは残念だけど、それくらいしてもらわないとね。




 船の動きが止まり、軋む音が耳に入る。どうやら脚に捕まったってところね。この音を聞き、表情に差が表れる。もともとの性格と多数の経験からエクバ、クノンは平然としている。逆にイチカとギユはハラハラして今にも悲鳴をあげそう。声を上げないだけ成長したと判断するのは我ながら甘いわね。


 まあ、船といっても頑丈に見えるようハリボテをつけたボロ船。壊れるのも時間の問題だから、ね。

 

「船が脚4本に絡まれました。作戦を第2段階へ移行するタイミングと判断されます。」


 エムニアが用意してくれた骨伝導イヤホンから彼女の声。


「了解。10カウント後、船を爆破。カウントをお願い。」


 私は咽喉マイクというこれまたエムニアが用意してくれた道具を使い、彼女と同時にイチカ達に指示を出す。イチカ達の集中力が増したのはわかる。


「カウント開始します。10・・・」


 エムニアには大分助けられている。彼女の用意してくれたイヤホン、マイク。そして、この特殊ブーツ。


 海を凍らせる策の代わりが、このブーツによる海面滑走。このブーツはホバー推進とやらで海面を走ることができる。これを装備した私たちは海を走り、接近戦を挑むことができるようになった。それそうおうの訓練が必要だったけどね。


 エムニアだけでない、ルティも頑張ってくれた。この戦いのために防具を制作してくれた。


 水上戦専用水着セット。

 髪飾り、水着、武器の留め具セット

 おしゃれに気をつかっており、肌の露出は鎧や服よりは増える。

 魔法陣が刺繍されており、大気の魔力と水気を利用して鎧と変わらない薄い防御壁を展開するので立派な防具である。

 またあくまで水着なので、海に落ちたところで、鎧やだたの服より負担は少ない。


 これは私たち接近組用にルティが作成してくれた。

 専属工房の作品第1号が水着って・・・・・・思ったのは私だけで、ルティ本人は気にも留めていなかった。むしろ、第1号ということで常時ハイテンションだったわ。

 そして、専属工房としての力量は見せてもらったわ。私用諜報員より彼女が本物であることは確認とれていたけど、正直言って少し、いえかなり本物なのかは疑っていた。


 エクバ、クノン、ギユの使用しているのはエムニアがデザイン(エクバに頼まれていた)したものなので普通にバカンスにも使える。


 私とイチカの水着デザインはエクバ・・・・。こういう戦い以外では使わない。私は絶対に。

 イチカのは一番面積の少ないビキニ。隠す部分で魔法陣はできるので防御力は私たちと変わらない。


「2・・・」


と集中、集中。


「1・・・0!」


 ハリボテに張った術札が爆破し、イカの脚を吹き飛ばした。よし!


「っしゃああああ。」


 エクバが気合を入れて、飛び出し、ギユ、クノン、イチカと続く。


「船の砲撃は中止。小型魔物のほうをお願い。」


「了解です。」


 私とクノンの攻撃がダンジョンイカの目に直撃。エクバ、イチカの斬撃は右のハサミを切り落とした。さらにギユの飛び蹴りがイカの顔へ命中する。うん。場所が悪かったのか、この攻撃はイマイチ効果が薄いようね。


 っと残った脚のうち4本が海面より出てくる。爆破を受けた4本は再生中で、まだ動きそうにない。はさみも再生していない。見た感じだとこの戦いの間に再生は無理そうね。

 

「散開!」


 滑りながら、脚の攻撃を掻い潜る。エクバとギユは脚に攻撃を加え、クノンは銃撃を顔に当てる。


 皆、十分動けているわね。私も魔法で再生中の脚に攻撃。ふう。凍らせることができた。ルティはいい杖を作ってくれたわ、本当に。


 この間にイチカはイカの頭に乗り、主と対峙した。あそこならイカの脚の攻撃はそうそうはない。と思う。




「お見事!」


 しゃべった!びっくりして、バランスを崩しかける。ふう。危ない、危ない。


「船を爆破させるとは思いませんでした。」


 私が目の前にいる状況でも冷静にしている主。しゃべるとは思いもしなかった。


「再戦してくるからにはなんらかの用意をしていると思っていましたが・・・・君たちは何者ですか?」


「え・・・・っと。」


 槍の一撃を止め、競り合いとなる。ふう。油断と隙はないのね。滑りそうなダンジョンイカの頭だけど、このブーツのおかげか、しっかり踏ん張りは効いている。


 ど、どうしょう、勇者と言っていいのかな?聞かれるとは思いもしなかった。ここまで4か所ダンジョンを攻略してきたからもう、魔王側も私のこと知っているのかなって思ってた。えーっと。知られていないなら、だまっていたほうがいいかな。うん。そうしよう。


「ぼ、冒険者です。ダンジョンを放っておけなくて。」


 槍の突きを避ける、止める。ふう。エクバたちの攻撃で揺れるがなんとか、攻撃は食らわないでいられる。


「何か所かダンジョンが破壊されたのは聞いていましたが、君たちもそうなのですか?」


「4か所ほど。やああ!」」


 今までの主がしゃべることはなかったから、魔王軍の役職もちなのかな?係長?班長?とか?


「おや、優秀ですね。」


「ど、どうも。」


 私の横なぎは止められた。けど


「ですが、このダンジョンはそう簡単にっ」


「やあ!」


 蹴りは主を吹き飛ばすことができた。老師様のおかげね。・・・・あ、このダンジョンイカの情報が手に入ったのかも。失敗した?


 私が追撃を躊躇したせいで、主は体勢を立て直す。


「私だけでは厳しいようですね。まあ、戦いが本職ではないのでね。」


 主のいうことは本当のことかもしれない。今までの主に私1人で対応できることはなかった。って油断しない。しない。まだ本気を出している様子もないんだから。


「このダンジョンの実験責任者とかなんですか?」


「まあ、そんなところです。この試作品での運用試験ですね。」


「・・・・この運用がうまくいけば、今後はこのダンジョンが主流になる?」


「もう主流になるほうで指針は決まっています。」


「ならどういった実験なの?」


「勇者にどこまで通じるかですね。この試作品が勇者を倒せるとは思いませんが、勇者がこれを討伐するのにどれくらいの戦力で、どれくらいの期間が必要だったかを把握したいんですよ。」


 ふう。勇者って名乗んなくてよかったあ。って考えている場合じゃない。

 

 今後はこんなのを相手し続けることになるの?ひいい。


 今までのダンジョンは勇者一行以外でも攻略はできている話た。だから勇者がダンジョン全てを攻略することはない。むしろ、魔王がこの世界に来たときにはもうダンジョンがそこらにある状況なので、よほど弊害とならない限りは冒険者や各国の兵士が担当することになるのが普通らしい。高レベルの冒険者なら対応できるものなんだって。

 

 でもこのサイズの魔物と毎回相手となると、どうなんだろう?そこらじゅうで暴れまわったりしたら、手が足りなくなるんじゃないのかな?私が魔王を倒すときには世界が滅びていてもおかしくない。


 ぞっとする。


 私が相手をする魔王は過去の魔王より残酷で容赦ないのかもしれない。


「あと実践は必要ですからね。こんな風に!」


 主が槍を振ると私は影に覆われる。脚が襲ってきた!自分の頭を叩き付けることはないけど、私を捕まえる気?ひええ。私は海へ飛び降りた。


「しょっぱい。あわあ。」


 このブーツのおかげで海に沈むことはないけど、跳ね上がった海水が口に入った。ハサミの追い打ちから必死に逃げる。


 氷の上じゃなく海の上を滑る。このブーツの説明を受けたとき、私の脳裏で


「戦艦擬人化ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


 悶え叫んでる友人Nの姿が浮かんだのよね。ある日、熱弁とともにみせてくれたアニメで海を滑る女の子たち。その姿と私たちの姿が重なる。


 皆、上手に滑っているけど、これも訓練の成果なのよね。ウー老師の訓練と海上滑走訓練はきつかった。


「ふむ。やはり魔法ではないですね。」


「や!」


 飛び降りてきた主の串刺し攻撃を弾き飛ばす。主も海面に立っている。そっちも魔法や化学技術ではないよね。


「私たちと同じくそちらも新しい技術を用意しているとっ。」


 槍を海に突き刺すと、海面より水撃が飛んでくる。回避はできたけど、あの槍の効果なのかな?

さらに水撃が連続で飛んでくる。避けて避けてよけ続けたら!槍の間合いに誘い込まれちゃった。どうし・・


「はあああ!」


 突きに対して私も突きで応じる。槍先と剣先がぶつかる。


「やっ!」


 吹き飛ばすことができた。咄嗟の思い付きというか、反射的にだったけど、氷華閃弾が槍を持つ腕ごと吹き飛ばした。主が戦闘員じゃなくてよかったああ。



 

 マイアイドル・イチカの突きが主の腕を吹き飛ばした。揺れてる。イチカはそのまま、回し蹴りで主を吹き飛ばす。揺れてる揺れてる。


「私も負けてられないわね!」


 かいくぐりながら、脚に切り傷を入れ、顔に迫る。何度か斬った場所は再生していないので、そこから内側に攻撃をしてやるつもりだ。


 って考えたけど、ハサミが振り下ろされてきた。っち。海水がはじけ飛ぶ。

 

 爆破で4本。クノンのグレネードランチャーでもう1本。海の女神・イチカがハサミを1つ。これらの脚とハサミは凍結で再生していない。顔面にもダメージはいっている。前回の戦いではわからなかったけど、背中側には魔物を召還する術式があったのでそれは破壊した。


 あとは脚5本とハサミが1つ、ダンジョンイカ自体を転移させた術式。 まだ動けているけど、鈍くなってはいる。


「にゃんですってーーーーーーーーーーーー」


 ミニアドがギユになにかを指示したようだ。揺れてる。あんまり揺れてないギユは驚愕した表情。


 い・き・な・さ・い


 読唇術とやらはできないけど、ミニアドの口がそう言ったのはわかった。ギユはこちらに向かってくる。


「ハサミを私と姐さんが破壊しますので、少しの間の脚のほうお願いしにゃーす」


 必死の形相だ。リスクも高そうと。


「りょーかい」


 早速脚に斬撃。


「・・・・・」

 

 揺れないクノンはスカートの中から弾を取り出しリロード中。


「ひいいい、めっちゃ怖いーーーーー。」


 ギユはハサミの前で静止している。今にでもハサミは閉じてギユは真っ二つ。なんかじゃなくてぺっちゃんこ。なにかんがえ・・・・。お、プチ煙玉を投げた。これでダンジョンイカの視界を奪うにしては遅いとおも・・・。


あ。ハサミが閉じた。


あ!ハサミが開いた。じゃあないね。


「ぷはっ。どうなったにゃんすか?」


 海よりギユが顔を出す。ハサミに潰される直前に海中に避難。そして閉じたと同時にミニアドがいつもより大きい防壁でハサミを内側から限界以上に開いた。イチカがあのゲスカルにやった手段に似ている。


「エクバ!今よ!」


 ミニアドの言いたいことはわかった。ハサミは内側から裂かれて、僅かに繋がっている。なのでその繋がっている部分を剣で切裂いた。


 動きが止まったので、さらに裂かれたところに剣を突き刺し、そのまま胴との付け根まで滑る。その後をクノンの銃撃が続いてくる。この攻撃で腕の部分に力が抜けたようにだらつく。


「エクバ、クノン、避けてえええ!」



A 「いい素材は待ってもこない」って言ったのはドワーフのゲルン師匠っす。性格は頑固一徹ですが、体は恰幅のいいドワーフでは超例外のガリ細だったす。食事もとらずに武具をつくってたせいっすね。

ってか師匠のことじゃなくて私に対する質問はないんっすか?

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