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転生者選定NO.  作者: 鈴明明書房
39/49

見る目ないねええ。

表にでないhずの黒歴史設定

Q 百次と一加はどういう経緯で付き合うことになったの?

「はーい。さよーならー。」


「ま、待て!」


「で、待つ人はいても、待つ天使は目の前にはいない~。」


「うわわああああ。」


 大斧で切られて男は消えていった。この場に残る人影は2つ。椅子に座って疲れた顔の百次と大斧の柄を地面に当てるウリアル。


「はあ。駄目か。」


「駄目だねええ。見る目ないねええ。」


 机に座り足をブラブラさせるウリアル。天使なのにこの行儀の悪さはいいのか?と百次も当初はっ突っ込んでいたがもう気に留めていない。いい匂いがするからってのもウリアルも気付いている。


「あるように見えるか?」


「見えないねえ。ひひ。」


「はあ。」


 机にうつ伏せとなる百次。時間に制限はないから、のんびりしているとはいえ、ここまで見つからないのは初めてである。


「おーい。顔をあげえよ。数え終わる前に。それ、ぜr。」


 立ち上がり斧を高々とあげたウリアル。落ちたらどうなるか分かんないけど、痛いのに変わりはない。殺しはしないだろうけど、首半分くらいにまでは斧が届きそうである。いや9割はいくかもしれない。そして0から数え始めるって、落とす気満々じゃあないか。


「へい。」


 百次は体を痛めるくらいの速さで上半身を起こす。痛みは想像上の首切断よりはましではある。


「それにしても100人目が見えてきたねええ。」

 

「ああ。」

 

 今ので95人目。天使が見つけた対象者は多数いるが、そこから選べども選べども、もう1つの条件にあてはまる人物がいない。1人づつ面接しながらの選定でこの大台までいったことはなかった。


「はあ。見つかる気がしない。」


「そう言ってたら、見つからないよ~」


「へい。」


「よーし。少し休憩。この私が100人目前記念にお茶を入れてあげよう。ひひ。」


 ウリアルはそう言って空間を出て行った。珍しいことに感動?おおっと驚きつつ、ちゃんとお茶なのか不安もある。だが今は素直に感謝しよう。頑張ろう。百次は気持ちを引き上げる。


 1人になった百次はパソコンの画面を見る。ここまで何百回と確認した条件に再度目を通す。上がった気持ちが重力に引かれて、下がっていくのを実感する。もう机の下を超え、地面を貫く勢いでだ。


「はあ。」


 溜息が出てしまう。100人で済むか?200の数字が脳裏にちらつく。では済まない踊っている。200の後ろには300、400、500、601、700、800、900、千が縦隊となり円を描がくように踊っている。


「だああ。」


 頭を振り、踊る数字を弾き飛ばす。200が粘るがさらに振ることで追い出す。だが最後に200は


「私は必ずここに戻ってくるうううううううううううううううううううう・・・・・・・」


と不気味な予言を残していった。不吉な予感のせいか、背筋に嫌な汗をかいた百次。




「よし、次行こう。」


 ウリアルの入れてきたドリアン茶を飲みほし、気持ちを一転せる。そして、パソコンの画像に移る候補者を凝視。誰だ?誰が当たりだ?


 ここは人の生死を決める最終地点。それを自分の都合で選ぶのだから当たりを探すという言葉は不謹慎か。このことを百次は頭の片隅において、今まで選定に当たっていた。


 が、探しても探しても見つからない状況とその対象者たちの言動に対する苛立ちで、すっかりこのことが抜け落ちている。ただ、そのことを責める人物はここにいない。


「じゃあ、73番。」


「はいよ~。」


 百次の目の前に65歳の男 政治家が現れる。約1時間後。


「さよなら~。」


 男性の脳天を大斧がカチ割る。


「次、101番」「はいよ。」「さよなら~」 51歳男、専門家の首が切断される。

「次、7番」  「はいよ。」「さよなら~」 27歳男、新聞記者は頭から2頭分にされる。 

「次、81番」 「はいよ。」「さよなら~」 54歳女、知事の上半身と下半身が分かれる

「次、22番」 「はいよ。」「さよなら~」 43歳女、大学教授の体が前後に分断される。


「ああああああああああああ。」


 100人目も失敗して絶叫が止まらない百次。


「どう?改めて見た人間の醜さをは?ひひ。」


 机に両肘をついてニヤニヤしながら百次を見つめるウリアル。


「いつも見るウリアルの笑みが、ちっくしょうかわいい。って思える。」


 たまに引いてしまうウリアルの笑み。百次は疲れのせいか、かわいいと心底思っている。恋人をからかっている笑みに見えてしまう。


「え、本当?」


「はい?」


 乙女となったウリアルの反応に驚く百次。なにこれふつうにかわいいんだど。疲れ?疲れのせいか?


「なーんちゃって。ひひ。可愛く見えた?見えたね。疲れているねえ。今日はここまでにしたら~。」


 両手で頬を触るウリアル。乙女の顔からひょうきんな顔となる。気をつかってくれたのだろうか?


「はあ。そうするわ。ウリアルも疲れたろう。今日は終了で。」


 今回、ある事情でウリアルの負担は多い。


「じゃあ、また明日~。あ、明日は悔い改めよって言ってみる~?」


 シーツ姿のウリアルは消えていった。



 翌日、本日4人目。百次の目は遠くを見ている。選んでみたが、これはもうない予感がビンビンしているからだ。


「つまり、あんたが死ぬ前まで言っていたあの考えは、結果的に大勢の人を死なせているんだよね~。今までの資料を見ればわかるでしょ~。」


 宙に映っている資料を差し棒で示すウリアル。


「ぐ。いや・・・・・・」


 その資料を見て44歳男、テレビコメンテイターは反論できずにいる。


「まさか、この資料をみても、理解ができないの?」


「これは全部ねつ造だ。」


「ここが死後の世界で私が天使はもう理解してるんだよ~ね。だから生前の世界より確実な数字や知られてない情報なんかも集めれるんよ。おや、まだ理解できてない顔をしてるねえ。なら、そうだーね。例えば、あんたは40歳のとき、当時の後輩にセクハラ・・・それにホテルへの」


「だーーー。わかった。信じる。この数字が正しいものだと信じる。だから、それ以上のこと・・・は」


 慌てて止めに入る男。死後の世界でも知られたくないこともある。百次もそれは理解している。が、それはそれで。

 

 男の努力は空しく、ウリアルの陰に隠れて、百次はパソコンで男の詳細に目を通す。そして、表情には出さないよう努力はしているが、内心引いていた。ただ、今回の転生条件には関係ないことなので、思考はそこで切り替える。


「分かればよろしーい。まあ。でも重要なのはそこじゃなーいのねえ。ひひ。大勢を死に至らしめた件についてあんたはどうー思ってるのかなあ?」


「それは・・・・・・・・」


 自分の今までの全否定。だがザンネンながら、否定されるのは仕方ない。頭のいいほうではない自分にも、ウリアルの説明はわかりやすく、納得できるものであった。


 男はまずここが死後の世界である説明を受けた。続いて転生条件


 『間違った情報を発して世界、世間に悪影響を与えた者』


 の説明を受け、自分が対象になっていることに疑問を呈する。


 今回の対象者は大臣、首相、議員、テレビコメンテイター、医師、専門家、評論家、新聞記者、芸能人、サイト運営者、テレビ局のプロデューサなど世間に意見を発することができ、影響力の多い者たち。

 

 高学歴やなんやら立派な肩書のある者も多い。がここではなんに影響もない。むしろ、百次はそれらが基本的に信用ならないものと考えを改めていた。


 なぜなら、世間に悪影響を与えた間違った意見を発した者たちの言動にあきれ果てたからである。


 対象者は、自分が絶対正しいと独善的な者であったため、メンツと地位の保身のため、権力維持のため、視聴率のため、販売部数のため、金のため、など様々な理由から誤った情報を発しつづけた。


 それだけではない。庶民(百次基準だが)でも理解できる間違いを、理解できないまま意見を発信し続ける。間違いを指摘する意見を無視、改ざんするなどもしている。


 それらによる根拠のない発言が世間に良い影響を与えることはない。百次もその結果をまとめたデータも見ているが、唖然としてしまう内容であった。


 そして、今まで誰1人、自分の行為を反省する様子がない。それにもうんざりする百次。ウリアルの前にいる男もそうである。


 自分の行動は絶対正しい正義と信じていた男は当初こそ、ウリアルに反論していた。がウリアルの説明に段々と言葉が減っていく。ときには声を荒げて、感情だけの反論をしたが、ウリアルの更なる科学的、論理的な反論に一方的に打ち負けていた。男の反論には全く無意味なことを言っていることがあるのも百次は理解できた。


 男の経歴に目を落とす。百次とは違う世界の住人だが高学歴に当てはまるとのこと。


 100回以上見てきたやりとりを見て百次はこう思う。


 対象者たちの理論はなにも筋が通っていない。ウリアルの説明を聞いたからこそ分かるが、理論には筋も科学的根拠もない。納得、共感できるところがまるでない。


 テレビで意見を言うやつのほとんどがこういう人物だったんだなあ。それで世界は動いていたんだろう。高学歴だろうと専門家だろうと、政治家だろうと、絶対正しいわけではない。むしろ間違いだらけなんだろう。


 ウリアルの口調や表情こそいつも通りだが、このような説明ができることに正直驚く。


「俺もこの資料を見つければ、その理論にたどり着いた。見つけれなかっただけだ。」


 今聞いているのは大勢を死なせたことについてどう思っているか、なんだけどなあ。


 百次はそう思うも口にはしない。この男はそのことについて間違いなく答えない。今まで見てきた経験からわかってしまう。ウリアルもそう判断しているようだ。


「それは誰でも調べれるサイトにあるよ。それにこの資料にはあんたが見てきた資料もあるよ~」


 映像が変わり、彼の世界のサイトの映像を映す。今更ねつ造だと幸いでも無駄であることは男も理解している。


「よーく情報を精査してないってことだね。それよりも、あきらかに不都合なデータは見て見ぬふり、スルー、黙殺、改ざんしてるねー。これを論理的なんて言えないよね~。」


 今度は男が調べものをしている状況、その資料の内容、翌日のテレビ放送の状況、男の意見の概要。ここまでの話から百次でも、その資料の内容を無視をしているところや、第三者の意見を事実無根の内容で話しているのがわかった。


「そ、それは・・・・・。どっちにしろ俺の専門外だったからだ。」


 スルー、黙殺、見て見ぬふりは自覚しているのか。そして、そのこともスルーして、全く意味のない言い訳。ウリアルはスルーしたことについての弁明なりを聞いていたはずだ。


「ようは全く勉強もしないで意見を言ったてことだねー。思い込みだけで意見をいうのはよくないよー。」


 ウリアルの容赦ない追及に男の顔は真っ赤になっている。これも多くの人が見せた顔だ。


「立派な役職や権威があったとしても、中身が間違いなら意味ないよー。そういう人ほど、科学的に論理的に答えないと。それが誠意ある対応ってもんだねー。わかる?その顔は理解したくないって顔だねえ。」


 反論の余地もなくウリアルの言葉が続く。


「国や地域のためにした行為が結果、最悪の結果につながった。それを理解できない、理解しない。自分は悪くないから反省もしない。まあー、そういう条件だからここにいるんだけどね。」


 表情が喜々となっていき、この表情こそウリアルだと百次は思っている。同じような人でも死ぬ前に、反省していた、反省する行動に出ていた場合はこの条件には当てはまらない。


 この選定を開始したとき、候補者は直近の死者だけで500名もいた。


「深刻な被害、いや取り戻しようのない被害を与えたことについてはどう思うの?」


 すべてを見透かすように目を見開くウリアル。


「お、・・・俺は悪くない。この結果になるなんて想像していない。偶然だ。いや、俺の発言とはなにも関係ない」


 ウリアルに恐怖し、腕を振って取り乱す男。


「このデータを見てよく言えるねええ。はあ、もういいかい?」


 ウリアルは大斧を出して、百次のほうを見る。


「うん。」


 嫌悪感もなく頷く百次。正確には男のやってきたことには嫌悪感を抱くが、男の最期には嫌悪感がわかない。自業自得と思っている。


「お、おい。なんだ、その斧は。や、やめろ、近づくな。なにをするつもりだ。」


 尻もちをつき、動けない男にウリアルは静かに近づいていく。


「面接の結果、不合格。なので逝くべきところに戻ってもらうだけだよ~。安心して痛みはほぼないよ。抵抗しなければ。」


「不合格?俺が?なんでだ?」


「反省の色が見えない。以上。」


 男は今までの対象者と同じでもう1つの条件が合致しなかった。


 『自分の行った結果に対する心からの反省。』


 今までの対象者たちは自分の間違いを認めなかった。肩書のせいなのか、性格のせいなのか。それは百次には分からない。


「さよなら~。」


「ひいいい。」

 

 その言葉とともに男はエッグカッター使用後のゆでたまごみたいになって消えた。いや、ゆでたまごに失礼かと考えながら百次は消えていく男を見ていた。


 

 2人きりとなり静まりかえる空間。椅子にぐったりともたれ掛かかり天を仰ぐ百次。うっすら明るいようでもあり、真っ暗でもある。相変わらずどうなっているのかわからないこの空間。


「はあ。駄目か。」


「駄目だねええ。見る目ないねええ。」


 机に座り足をブラブラさせるウリアル。何度もみた光景、そして何度見ることになるかわからないこの光景。頭を机につっぷせば、いい匂いのする状況がまだ続くと喜ぶべきか?なんてことも考えてしまう。


 百次はため息をついた。また条件に目を通す。


『NO.6

 間違った情報を発して世界、世間に悪影響を与えた者の中で、その事実を心から反省した者。』


 ほとんどの者が間違いを認めない者たち。がなり立てながら、科学的、論理的でもない言い訳をするものたちだった。


 たまに反省の弁を述べる者もいたが、口だけであることはウリアルに見通されている。むしろ、百次にも見抜けてしまうものだった。


 この対象者が見つかったのはこれから10日後。200人をこえたことから、追加された対象者であり、その中で最も若い20歳の女性だった。


 条件を達成したとき、百次はウリアルを持ち上げて歓喜し、ウリアルは淡々と紙花をまいた。淡々と巻いているように見えたが、ウリアルも嬉しそうにしていた。ウリアルとしても今回は流石に長かったらしい。



 自室に戻った百次はパソコンで一加の様子を確認。


「こっちも明日で見納めかな?」


モニターに映る一加は水着姿だった。

A 合コンでひとめぼれした百次が回りに無謀だといわれつつ、玉砕決定で告白した結果。



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