表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
再誕  作者: もんじろう
28/28

28

「もういい」


 僕は陽子に言った。


 自分でも少し、声が震えてるのが分かった。


 陽子は頷いて、キーボードを叩き始めた。


 エデンを内部から、少しずつ破壊するウィルスを忍び込ませているのだと思う。


「オッケー。帰ろう」


 陽子が端末とノートパソコンを切り離す。


 僕たちはエデンの施設を後にして、隠れ家へと戻った。




 隠れ家に着いた僕たちは、お互いにシャワーを浴びて、リラックスできる格好に着替えた。


 2人でソファーに座る。


 僕は帰り道からずっと、一言も喋らなかった。


 エデンに「役立たず」の烙印を押されたのが、重く心に、のしかかってた。


 自分の存在そのものを否定された気がした。


「セティくん」


 陽子が言った。


 真面目な顔をしてる。


「エデンがセティくんを『無価値』だって言ってたけど、私は全然、そうは思わない」


「………」


「セティくんは優しくて、良い人だよ。あなたと知り合えて、本当に良かったと思ってる。もしも、セティくんが居なかったら、毎日がきっと、つまんない。私はあなたが好きよ」


 陽子の言葉に、僕は自然と涙が出てきた。


 僕はポケットからスマホを取り出した。


 エデンに追放された日から、今日まで持ち続けてたスマホだ。


 僕とエデンの最後の繋がり。


 僕は陽子に、スマホを差し出した。


「あげるよ」


 陽子の眉が、ピクッと動いた。


「いいの?」


「分解したがってただろ?」


「サンキュー、セティくん!!」


 陽子が抱きついてきた。


 陽子の柔らかい頬が、僕の頬とくっつく。


 すごく良い匂いがした。


「あと」


「何?」


「ずっと前に『陽子』は大昔の人の名前から選んだって言ってただろ?」


「そうよ。昔は、親が子供の名前を付けてたの。私は自分で付けたけど」


「僕にも付けて欲しい」


「え?」


「エデンが僕を要らないなら、僕もエデンの付けた名前なんて要らない」


 陽子が頬を離して、僕の顔を間近で見つめた。


「良いアイディアだわ」


 陽子が、ニコッと笑った。


 それから、僕たちは大昔の、いろんな名前をたくさん調べた。


 そして。


「私は『裕人(ゆうと)』が良いと思うわ」


「裕人…いいね。気に入った」


「じゃあ、今日からあなたは裕人よ」


「うん」


「ねえ」


「何?」


「好きよ、裕人」


「僕も君が好きだ、陽子」


 その日が、僕の新しい誕生日になった。




おわり











 最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


 大感謝でございます。


 面白くなったと思います。←手前味噌(笑)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ