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とにかく。
出逢った頃に比べると、僕はかなり陽子を信頼してる。
そして、何というか…女子としても好感を持ち始めていた。
最初の夜のように陽子に迫られたら、正直、断る自信がない。
エデンが決めた相手と結ばれるという常識も今や、無意味な気がしてきた。
そのくせ、僕は未だにスマホを捨てる踏ん切りはつかなかった。
心のどこかで、まだエデンを捨てきれずに居るのかもしれない。
そして何より、1番、最初の疑問「何故、僕はエデンから追い出されたのか?」が、ずっと引っかかってる。
それが分かりさえすれば、決断を下せるのじゃないだろうか?
「準備が出来たわ!」
陽子が言った。
夕暮れの光が差し込む陽子の隠れ家の部屋。
コンピューターのディスプレイのひとつと、にらめっこしてた陽子が突然、そう言った。
「何の準備?」と僕。
僕は、もう学校の制服じゃなく、市場で買った、陽子と同じデザインの作業服を着てる。
「エデンのメインシステムに侵入する話はしたでしょ?セキュリティに気づかれず、少しずつ、少しずつシステムを破壊するウィルスを仕掛けてやるの」
そこまで言うと、陽子は珍しく顔を曇らせた。
「エデンの管理下のままが良いって人たちには、大きなお世話かもしれないね。私が自己勝手な正義を振りかざしてるだけなのかも」
陽子が眼を伏せる。
「陽子の言った通りに」
僕は思わず口を開いた。
「エデンが人間の人権を無視して、過剰な管理をしてるとしたら、それは大問題だと思う。誰かが皆に真実を教える必要はある」
「ありがとう」
陽子が笑顔になった。
「励ますの上手ね」
僕は何だか恥ずかしくなった。




