23
「両親のDNAデータから推定した適正を最も伸ばせる、別の両親の元に預けられるの。その目的は、エデン社会に貢献できる人間を造りだすため。まあ、本当の親に育てさせる場合もあるみたいだけど、かなりのレアケースね。だから、路地で、ずぶ濡れで泣いてる子供を迎えにも来ない親なんて、早く忘れてしまえば良いと思うわ」
「嘘だ!!」
「嘘じゃないわ。前にシステムに侵入したときに調べたの。間違いない」
小さな窓から入る月明かりの中で僕と陽子は、にらみ合った。
今日は僕にとって、生涯で1番のピンチだったのは確かだ。
そして、それを助けてくれたのは、誰が何と言ったって陽子だ。
でも、僕は陽子のことは、よく知らない。
出逢ってから、まだ1日も経ってないから当然だ。
もしかしたら、陽子は誇大妄想に取り憑かれた危ない奴なのか?
出逢ったばかりの僕と…その…しようとするぐらいイカれてるのだから。
「いきなり、しようとしたのは謝るわ」
陽子が頭を下げた。
「私も初めてタイプの男の子と出逢えて、テンション上がり過ぎちゃって。さすがに強引だよね。今日は諦める。もう、寝るね」
陽子が僕の前を通って、ベッドに滑り込んだ。
シーツを被って、後頭部をこっちに向けてる。
僕は陽子の言葉が信用できなくて、しばらく彼女を見つめていた。
陽子がクルッと、こちらを向いた。
「明日に期待するわ」
僕はため息をついて、制服のパンツを穿き直し、ソファーに寝転がった。
初めて陽子と出逢った日から、2ヶ月が過ぎた。
もちろん、僕たちは特別な関係にはなってない。




