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爆縮と体温の機知(4)

ひよどり

握りしめて来た物を

ぱっと離した

団栗のてかりは

宝物と呼ぶに相応しかった

それをあげると

得意げに笑った後

遠くへと

また走って行く

新しい物を探すのだろう

同じ物だとしても

新しい物なのだ


堂々と同じ物を

また貰った

理由が余ったからだったから

少し笑ってしまうと

少しだけご立腹の様子だった

同じ物だけど

やはり、全く違う物に

見えているのだろう

ちゃんと謝ると

ちゃんと許される

その素直な中に

とどまれれば

どれだけ良いのだろう


機嫌が良くなった勢いで

新しく増えた宝物を

箱にしまう儀式を

一緒にしようと誘われる

落ち葉の床を移動した

ちょっとだけ見えない所だ

床に座って

説明を聞かされながら

相槌をうつ

これがね、これがね

少し強めに言い始めたから

とびきり驚いて見せると

全然、分かってないと返された

難しいに難しいが付いてくる

だが、そのランダムさが

頗る可愛いのである


一番良い物が気になったから

どれだろうかと質問した

すると

一番最初に箱へ入れた物を取り出して

これだよと言われた

きっと、最初と最後で

少しだけ違うのだろう

時間によって違うのかもしれない

今だけ、自由に考えているのか

楽しいに楽しいが付いてくる

それだけに納まらない時が

もっと先にはある

その時も

自由に考えられたら良い


箱をパチパチと蓋をした

上に引っかけて

下に下ろすと閉まる

道具箱に多い物だ

指は挟まないのかを聞くと

大丈夫と言われた

挟んだ経験があるのだろうか

そこは内緒みたいである

箱を持たされて

王様とお付きの人で戻ると

ご飯の香りがしてきた

直ぐに食べれるらしい

箱は車へと置きに行くと

今度は言い出した


駐車場は近くだから

二人で行くことになる

車のドアを開けてあげると

決まっている場所があるらしく

そこに置いた

よし、と言いながら確認してみせると

真似して、ヨシ、と言ってくれた

二人して、よし、ヨシと

2回、繰り返して確認した

車の鍵も、よし、と来たから

ヨシ、と返してから戻り歩く


もう宝物は探さないのか

なんとなく聞いてみると

宝物と楽しい事は別らしかった

不思議に不思議が付いてくる

早くご飯を食べて

トランプしようと言われた

ババ抜きが出来るようになったと

得意げに話してくる

良いよと返事をする

だが、何かを思ったのだろう

楽しいも宝物だけど

あっちの宝物と

こっちの宝物は違うんだよと言われた

腑に落ちたような

不思議な感覚がある

違いが分かるから大人だね、と言うと

笑顔になった

食事中も、行儀が良かったのである







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