第2話 異世界である事に気付く
(とりあえずここから離れないと…‼︎)
まずは身の安全の確保が最優先である。
幸い近くで戦闘は行われていないようだが遠くでは爆発音や人の声が微かに聞こえる。戦争自体が終結している訳ではないのだろう。
もしその人達がこっちに来たら…
こんな状態で襲われたらひとたまりもない。
戦うにしても丸腰では話にならない。そう思いながら腰元の刀に手をかける……
刀??????
「武器あるじゃん…っ‼︎なんで…???」
刀を所持していると同時に服装も変わっている事に気付く。どちらかというと西洋風の鎧兜に両刃の刀。周りを見渡すと同じ鎧をつけている遺体が多数ある。
どうやらどちらかの軍に所属している様だが…
理由は依然として不明ではあるが最低限身を守る武器防具は手に入った。
とは言えじゃあ戦争に参加しますか、とはならない。
当初の予定通りここから逃げ出す事を決める。
(まずは避難、それから現状を整理しよう…)
その場から離れる為に移動を開始するも理解が追いつかない…
ここはどこなのか…
沖縄行きの飛行機に乗っていたはずなのに見知らぬ土地で変な格好して戦争に巻き込まれてる…
おまけに鎧着用の上に刀まで所持している、これではまるで参戦しているとしか思えない。
何故何故が頭の中を駆け巡る。
しかし今は助かる為に行動しなければ…
多分向こうではまだ争っているのだろう、ならば反対側に逃げるが道理…っ‼︎
見渡す限り死体の山、死屍累々とはこのことか…
既にこの景色に慣れてきている自分の順応性に驚きながらも移動を開始する。
間違ってもエンカウントは厳禁である。殺し合いになれば敗北確定=足元の方々のお仲間入りである。
コソコソと移動しながらまたもや違和感に気付く。
横たわる死体の中にやたら毛深いモノ、子供よりも小さいモノ、紫色の肌のもいる。よく見ればツノの生えた鬼のような容姿の遺体や羽根の生えているのもある。
明らかに人ではない。ラノベに出てくる亜人がきっとこんな感じなのではないか……亜人⁉︎
そこまで気づき一つの仮定に行き着く。
ここは異世界。自分は飛行機事故で死に…この世界に…『転生』したのではないか???
そう考えればいきなりのドンパチや服装にも納得が出来る。
転生物といえば神様がチート能力授けてくれて異世界でケモ耳や奴隷とかとハーレム気付いて無双するやつじゃないの⁉︎
なんでいきなり戦争に放り込まれてんの⁉︎
やり場のない怒りを覚えながらもとにかく逃げる。
逃げながらもどこか高揚している自分がいる事に気付く。つまらない日常から抜け出しロマン溢れる冒険が始まったのではないか…
混乱の中に複雑な感情を抱えながらも移動を続ける。
その時ふいに視界の端で動く集団に気付く。
そちらに目をやると似たような鎧姿の3人組が白いマントの様な服を着た人間を追いかけているのに気付く。
離れている為こちらには気づかれてないがオレと同じように避難している人か???
気づかれない様に気をつけながら同行を注視する。
何となく状況が理解できてきた。
あの3人組は白マントを捕まえる為に追っている恐らく自分の所属する軍隊の敵、白マントは謎だがまさか内輪揉めって事はないだろう…ならばやる事はひとつ‼︎
スルーである。
触らぬ神に祟りなし。
ただでさえ訳がわからないのに進んでトラブルに首を突っ込むなど正気の沙汰ではない。
離れようと決意した時白マントがコケた。
「きゃあっ‼︎」
女子やん…オナゴやん…ならばやる事はひとつ‼︎
ハーレム計画第1号に加わっていただくべく動き出す事にしたのであった