#28
「アランさん」
「はい?」
「わたし、お父様やお母様が心配なんですが……」
「一応、首領が自ら、以前住まわれていたご自宅の方には連絡させていただいているので、おそらく大丈夫だと思いますよー」
「なら安心です!」
アランとリルに高い高いして遊んでいる間にクロウはリルが住んでいたオルガント家に電話をかけている。
ここはマフィア本社ビルであるが……とてもマフィアだと思えないくらい微笑ましい光景だ。
「アランもすっかり懐いてるわね」
「実は首領ほどではないですが、子供は好きな方でして……ほっぺ、柔らかーい」
「くすぐったいですー」
「アランのやつ、デレッデレじゃねぇか……」
マフィア幹部は一部を除き、ほぼ全員が彼女の可愛さに虜になっている。
彼はリルの頬をスリスリしたり、ツンツンしたりしている一方でバイデンはその光景を横目に悪態をついている。
「バイデンさんも如何ですか? 癒されますよー」
「お前、子供が好きならオルガント家の執事になればよかったのに……」
「今、なんと?」
「いや、なんでも……」
「はいはい。二人とも落ち着いて!」
成人男性二人が口論になりかけているところでリスカの制止が入った。
彼らは彼女に「すみません」と頭を下げる。
「賑やかで愉快だな」
「首領。先ほどまで電話をしていたのですか?」
「ああ。この少女の家にな。実の姉はおそらく両親に伝えていないだろうと思って連絡を入れていた」
「やはりそうでしたか」
クロウが電話を終え、執務室に戻ってきた。
リルと遊んでいたアランは彼女を膝の上に座らせたまま彼に問う。
「リルと言ったな」
「はい」
「正式にここで預かることにした」
「「本当ですか!?」」
「ああ。身寄りのない子供を放っておけないと伝えたら、屋敷の使用人だか分からないが、「無事ならば安心いたしました。お嬢様をどうかよろしくお願いいたします」と仰っていた。リル、よかったな」
「リルちゃん、よかったね!」
「みなさま、ありがとうございます! この恩はずっと大切にします!」
「うむ。いい子だ」
クロウがそう告げるとリスカとアランは抱き合って喜び、彼はリルの頭をわしゃわしゃと撫でた。
「……マジかよ……託児所決定じゃねぇかよ……」
「バイデンさん」
未だに悪態をついているバイデンにリルが近づく。
彼は「なんだ?」と彼女をじっと見た。
「バイデンさんは……」
「ん?」
「バイデンさんはルイーゼお姉様みたいで嫌いです」
「……えっ……俺、たった数時間で嫌われた……?」
「バイデン、残念だったな……」
「バイデンさんはリル嬢に嫌われないようにしないとなりませんね……」
リルからそのように言われてショックを受けているバイデン。
リスカが大爆笑している横でクロウやアランは哀れみの言葉をかけるしかなかった。
2026/02/17 本投稿
2026/03/04 誤字修正




