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#21

 見ず知らずのオークションで出展しようとする少女と何か商品を落札しようと目論んでいる男性、出展するであろう少女。

 三人はオークションの説明を受け、オークションの本番の時刻になろうとしている。


 クロウはお手洗い(トイレ)に行くと装い、ファミリー幹部のバイデンに電話をかけていた。

 「いつもよりかなり遅くなる」と――


 一方のルイーゼはリルをオークションに出展した。

 オークションの司会者から「こんなに可愛い子なのにいいの?」と言われ、「いいですわよ。彼女はもうじき捨てられる身であり、売られる身ですから」と答えた。

 見ず知らずの男性が「物による」という言葉の意味を気にしないかのように――


 リルは実の姉から「あなたは捨てられる身であり、売られる身」と言われ、心に深い傷を負った。

 わたしに愛情を注いでくれるのならば、落札者は誰でもいい。

 わたしが大きくなったら、彼女に復讐してやろうと覚悟を決め、目隠しで視界を隠した。


「はいはーい! それでは愉しいオークションのお時間でーす! 今回も前回に引き続き、たくさんの商品が出揃いました! さて今回は迷子なのかは分からないですが、可愛らしい女の子もいますよー!」


 テンションの高めな司会者のトークで闇オークションが幕を開けた。

 会場は盛大な盛り上がりを見せている。

 このオークションは出展された順、最後に出展された順、司会者のランダムといった様々なパターンで毎回順番が異なる。

 ちなみに、今回は出展された順で進行していく予定らしい。


「それでは、今回は出展された順で始めさせていただきます! 最後までどうぞお楽しみください! 最初の品物はこちら!」


 最初の出展品が現れた。

 それは高価そうなグラス二本セット。

 次々と手を上げ、値段をつけていき、一番高い金額を言った者が落札する。

 何度も同じことが繰り返された。


「コレ、何時間かかるんだ?」


 クロウは懐中時計を見ながら、最後までその場にいようと思っていたが、彼のお目当ては出展されるか分からない。


「黙って見ている限りでは出展されている物はガラクタばかりではないか」

「あなたはまだ何も買われていないのね?」

「先ほども言っただろう? 私は物による(・・・・)と……」


 クロウからすると呆れるくらい何度も見慣れた顔となったルイーゼ。

 またかと思っていたやさき、彼女の傍らにいたリルの姿がなかったことに気がついた。


「あらあら。気づかれてしまったようですわね。彼女はもう出展(・・)させていただきましたわよ」

「……なっ……!?」


 彼は幼いルイーゼがこのオークションにきたことに理解できずにいたが、記憶を辿ってみると彼女の今までの行動や言動から思い当たることがいくつもある。

 やはりルイーゼはリルをオークションに出展にしようとした目的があるはずだ。

 クロウがそう思っていた時、「彼女のように出来損ないの餓鬼は不必要ですわ」と彼女は嫉妬心を剥き出すかのように呟いた。

2025/10/26 本投稿

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