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#15

 リル達はクロウの存在や彼がその場にいたことすら、全く気がつかなかった。

 なぜならば、彼女らの小柄な身長では観光客や王室マニアなどに埋もれてしまい、彼の姿が見えづらかったからだろう。

 二人は服屋から出ようとすると店員が扉を開けてくれた。


「次回はご家族揃ってのご来店をお待ちしてます!」

「また来てくださいね!」

「「ありがとうございます!」」


 リル達がその店から出ると、街中は相変わらず騒がしい。

 彼女らが動くと通行人も動き出し、二人が止まったら止まるという同じことの繰り返しになっている。


「もう! いつになったら観光客や住人達はいなくなるのかしら!」

「仕方ないですよ。わたし達がこうして外にいること自体が珍しいのですから」

「そ、そう……そうよね!」

「そうです!」


 ルイーゼとリルは手をつなぎ、再び街中を散策。

 たとえ、二人がほしいものを見つけたとしても彼女らの体型では持てないものがあるため、それを我慢しなければならない。

 リルにとっては、はじめて見るものが多いことからなんでもほしくなってしまったが、自分の身の丈を見て諦めた。


「今度、出かけた時にお父様に頼もう……」

「……そうね……少なくても今回は()()()()の方がよかったわね」

「……はい……」


 彼女らが落ち込む中、二人の腹の虫が同時に鳴り、互いに顔を見合わせ、苦笑を浮かべる。

 様々なレストランや軽食屋が並んでいるが、まだまだ小さな身体のリルとルイーゼは食べられる量が限られ、大きくて重いものは持つことができない。


「あら……お腹が鳴ってしまったわね……」

「そうですね。お腹が空きました」

「確か……ここいら辺に食べ物を売っているお店があったはずだけど……」

「あちらのお店はどうでしょう?」

「見慣れない車があるわね? あの車は何をやっているのかしら?」


 リルが指さしたのは道路の向かい側にオリエンタルの街ではあまり見かけないキッチンカーらしきものが止まっていた。

 その中にあるショーウィンドーに数種類のサンドウィッチが並べられており、カウンター前にはご丁寧(ていねい)に手作りの看板が置いてある。

 よって、その店は移動販売によるサンドウィッチ専門店だ。


「あれはよく見たらサンドウィッチね! あれならいつでも食べられますわね! リル、よく見つけましたわね。早速、行ってみましょう!」

「はい!」


 ルイーゼはキッチンカーをよく見た。

 その車がサンドウィッチ店であることにようやく気がつく。

 彼女の視線の先にはにっこり笑っているリルの姿があった。

2021/12/31 本投稿

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