65 水神上げ
今回の話は、某神社の神主をしている知人が、父親から聞いたという、奇怪な話をメールにして送ってくれたものである。
そのメールに沿って紹介する。
平成になった頃のことです。
Tさんという方の家に、立て続けに不幸が起こっていました。若い妹さんが急死、奥さんが病気、ほかにもいろいろ不幸があったといいます。
Tさんは悩んだ末、占い師に相談したところ、その占い師から「井戸をお祓いしなさい」と言われたそうです。
そこで神主の父がTさん宅に呼ばれたのですが、父が井戸の中をのぞいてみたところ、底に溜まった水はぞっとするほど真っ赤だったといいます。
長く使用されていない井戸だったらしく、パイプなどの鉄錆が流れ出したのでしょうか、父はあんな赤い色の水は初めて見たと話していました。
ちなみに井戸には、水神様が住んでいるといわれており、何の供養もせず、使わなくなった井戸を埋めてしまうと、水神様の怒りにより、災いがあるといわれています。
そうしたことから使わなくなった井戸は、水神様の神上げを祈願する「水神上げ」という祭りをしてから掃除して埋め、水神様が呼吸するための「息抜き」と呼ばれるパイプを地面に出します。これはまた、そこに井戸があったという印でもあり、その上を人が歩かないよう気をつけました。
ところが長い間、Tさんのお宅は使わなくなった井戸を放置したままでした。
さっそく水神上げの祭りがなされ、それ以来、幸いなことにTさん方の不幸は落ち着いたそうです。
井戸。
昔はどこの家にもあったものですが、水道が普及した現在はすっかり見られなくなりました。
それでも田舎などには、屋敷のどこかに井戸の名残りがあるらしく、地面の上にパイプが立っているのを見かけたら、それは神様の「息抜き」だと思い、その付近は注意して通らなければならないようです。




