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奇聞集  作者: keikato
64/79

64 河童

 この話は以前、「オルゴール」の話を提供してくれたTさんの体験談である。

 今回は河童を見たことがあるという。

 それは小学校低学年の頃であったというので、やはり平成五年前後のことだと思われる。


 その日。

 両親、Tさん、弟の四人で長崎へと家族旅行に出かけた。

 宿に着くとさっそく、Tさんと弟は川べりにある露天風呂へと向かった。

 日が暮れて、あたりは暗かったという、

 露天風呂には先客が一人もなく、二人の貸し切り状態であった。

 そこへ二人連れがやってくる。

 湯煙と暗さでしかとは見えないが、一人は大人のようで、もう一人は自分らより小さかったので幼い子供のようだった。

 不思議なのは二人の体形である。

 二人とも身体が異常に細く、とても普通の人間には見えなかった。

 姿形がとにかく異様である。

 本で知るところの河童そっくりである。

 Tさんは薄気味悪くなり、すぐに弟を連れて風呂から出たという。

「ぜったい河童だと思いました」

 これはTさんの当時の感想である。


 部屋に戻って、先ほどの二人連れのことを弟に話した。

 ところが話がかみ合わない。

 弟に何度も確認したが、あとからやってきた者はいなかった。風呂はずっと自分らだけだったという。

「あのとき見た二人、今でも河童の親子だったと信じてるんです」

 Tさんは語気を強めて言った。


 今回の話はにわかに信じがたい話である。

 さらには幼い子供の頃の記憶である。

 そうしたこともあり、この話は長らく投稿を保留にしていたのだが、先日たまたま、NHKの妖怪特集番組を見ていたら、子供の頃に河童に遭遇したことがあるという、男女二名のご老人が登場した。

 ちなみに。

 この二人に面識はなく、別の土地の別の河童の目撃談なのだが、目撃現場の淵などに案内し、二人が語る内容は詳細でかなり真実味のあるものだった。

 で、私はあることを思い出した。

 見える者、見えない者。

 感じる者、感じない者。

 これまでも不思議な話をいくつも聴き取っていて思ったことだが、この世の怪奇というものは、見える者には見え、見えない者には見えない。そして感じる者は感じ、感じない者は感じないということである。


 Tさんは見える人である。

 で、この河童の話を投稿することにした。


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― 新着の感想 ―
[一言] オルゴールのお話も拝読しましたが、Tさんはいわゆる「霊感の強い人」なのですね。子供の頃は特に見えやすいそうですが、不思議です。 「長崎 河童」で検索すると、伝説が沢山ヒットしました。河童ゆ…
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