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奇聞集  作者: keikato
62/79

62 亡き母

 この話は某神社の神主さんの体験談。

 ただし、これまでに何度も登場した神主さんとは別の方である。

 その方は涙ながらに話した。


 数年前。

 自分は家の中で心臓発作を起こし、あまり痛さにまったく動けなくなった。

 意識も薄らいでゆく。

 その場にうずくまり、胸をかきむしるようにしていると、

「どうしたんか!」

 声がして、母が走り寄ってきた。

 母はそばに座り込んで、自分の背中を手でさすり続けてくれた。

 その間。

「どうしたんか、どうしたんか?」

 母の声だけが聞こえていた。

 母に背中をなでられているうち、それまでの痛みが徐々に和らいでくる。

 意識もはっきりしてきて、やっとこのとき自分は助かったのだと思った。

 あのときの母の声、そして手の感触と温もりはしっかりと覚えている。


 その方は最後にこう言い添えた。

「それが不思議なんです。その数年前に母は亡くなっているんですよ」


 見えるはずのないものが見える。

 聞こえるはずのないものが聞こえる。

 匂うはずのないものが匂う。

 これまでも、そんな不思議な体験談が多く寄せられている。

 今回は加えて手の感触と温もり。

 霊というものは人の五感に訴えてくるのだろう。

 そう思った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 拝読しました。 不思議な話ですが、理解できます。 親が子を思う気持ちとは、こういうものだと思うからです。最近、耳にするのは悲しい事件ばかり。信じられないという思いで観ていますが、こうした…
[良い点] 亡くなっても息子を思っていたのでしょうか。 母の愛が伝わってきて、じーんとしました。 [一言] そういえば、私の知り合いにも、具合が悪いときに亡き旦那さまが背中をさすってくれた、という話が…
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