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奇聞集  作者: keikato
61/79

61 白蛇

 今回の話は、ある男性が提供してくれた、彼の幼少の頃の奇妙な体験談である。

 その方の現在の年齢は五十代半ばであるので、そのことを体験したのは、昭和四十年代の中頃であったと思われる。

 この情報はメールでいただいたのだが、その時点でほとんど仕上がった状態であったため、原文をほぼそのまま載せることにする。


 私が見聞きしたことをお話しします。

 場所は札幌の白石という町で、小学生に上がって間もない頃のことだったと記憶しています。

 私の父はタクシーの運転手をしておりまして、場所はその社宅の敷地だったように思います。

 田舎の社宅のことですから、屋外には各家庭用に物置がありまして、理由はわかりませんがその物置の前で、父の同僚のおじさんがスコップで穴を掘っていました。

 そのおじさんには、私より一つか二つ歳下の息子さんがいたのですが、その子が真剣な様子で穴の中をのぞき込んでいました。

 私が興味をひかれて穴をのぞくと、白くて長いものが穴の中でトグロを巻いていました。

「よく見ろ、白蛇だ。こいつは悪いものだ、今から殺すからな」

 おじさんはそう言って、その白蛇を剣先スコップでもってバラバラに切り刻みました。


 そのあと。

 白蛇を殺した話は噂となって広まり、近所に住むおばさん達は「蛇なんか殺して……」と、ずいぶん気味悪がっていました。


 最初の異変。

 それを耳にしたのは、息子さんが重い病気にかかったということでした。

 これを機に……。

 社宅やその周辺の住人は白蛇の祟りを口にするようになり、その場にいた私にも、何か不吉なことが起きるかもしれないと言いました。

 私は見ていただけなのです。

 私は怖くなり、そのことを父に話しました。

 そのとき。

 父は私を厳しく叱り、それから「絶対に蛇は殺すんじやない」と言ったことを覚えています。


 数日後。

 おじさん宅の引っ越しがありました。

 そのことを母にたずねると、おじさんが事故で死んだのだと知らされました。

 次は自分の番かも……。

 子供心に恐怖を抱いたことを思い出します。


 最後になります。

 不思議なことにあのとき、私は白蛇の頭を見ていないのです。

 ブリーチで色を抜いたように真っ白で、胴体は親指ほどの太さ、長さにしても三十センチから四十センチはあったように思います。

 そこまではっきり覚えているというのに、子供の頃の記憶としては、それが蛇というより巨大なミミズのように残っているのです。

 もしかすると……。

 子供ながらに蛇の祟りを怖れるあまり、それが蛇ではなかったと自分に思い込ませ、記憶をすり替えたのかもしれません。

 以上が私が体験した白蛇の話です。


 本編に登場した白蛇が、後に起きた祟りと因果関係がはたしてあるのかどうか?

 その明確な答えはないように思う。

 だが私を含め、多くの読者は耳を傾け、ない答えにうなずくのではなかろうか。

 不思議とはそのようなものだと思う。

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― 新着の感想 ―
[一言] 昭和40年代なら、白石はまだまだ田舎で、谷地でしたでしょう。蛇もいるでしょうが、マムシは、札幌だといないと思います。殆どは無害なアオダイショウです。残念なおじさんは、毒蛇で怖い想いをした事が…
[一言] 蛇は決して殺すものではない。 もし死んでいたら、人目にさらさないように隠してやれ そういうふうに教わってきました。 どちらにせよ、蛇を見たら足がすくんでしまい、通り過ぎるのを待つだけですけ…
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