表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奇聞集  作者: keikato
58/79

58 祟り

 今回は知人女性から聞いたもので、彼女が小学一年生のときに体験したことである。

 昭和五十年代後半のことだそうだ。


 彼女の家には「ゆめ」という名の猫がいた。

 毛なみは虎柄。

 体は大きいが性格はいたって優しく、甘えん坊で人なつこい猫だった。

 ある日。

 ゆめがぷっつりと姿を消した。

「どうしたんだろう?」

 彼女は子供心に毎日、ゆめが戻ってくることを祈るようにして待っていた。

 そんなときである。

「そこの川で、大きなトラ猫が死んでたけど」

 近所に住むAさんという女性が、わざわざ彼女宅まで知らせに来てくれた。

 早速、両親が現場までかけつけた。

 そのとき。

 猫の死骸はすでに処分されたあとで、はっきり確かめることはできなかったが、Aさんの話からして、その猫はおそらくゆめだろうということになった。

 それを聞いた彼女は大声で泣き、両親はその日のうちにゆめの仮のお墓を作ったという。


 問題はこのあとである。

 その後しばらくしてから、近隣の住民らからいろんな噂話を聞くことになった。

「お宅の猫は川で溺れて死んだんじゃない。Aさんが殺したんだ」

「Aさんは自分の家に近づく猫たちに、毒を入れた餌を食べさせている」

 大方がこのような話だった。

 冷静に考えればたしかにそのとおりで、猫が川で溺れ死ぬとはにわかに信じがたい。


 ここからは彼女が話したそのままを記す。

「この話はずいぶんあとになって、うちの親から聞かされたことなんですが……。

 当時のAさんは身重の身体だったそうで、それからまもなく赤ちゃんが生まれたんですが、その子は大きくなってからも口がきけなかったらしいんです。それで父も母も、あの噂話は本当のことだったんだと思ったそうです。

 それからもAさんの家は、家族に病気や怪我などの災いが続いていました。そういうことがあってか、家族のみなが家を出て、今ではだれも残っていません」

「やはり祟りなんでしょうかね?」

 私の問いに、

「そうでしょうね。口には出さないけど、ここらに住んでる人たちは、だれもがそう思っていたのではないでしょうか」

 彼女はこう答えたのだった。


 殺された猫の祟り。

 昔からよくある話だが、今回はそれの現代版といったところだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  ネコをイジメた人には当然の報いですね……。  
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ