表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奇聞集  作者: keikato
52/79

52 警告

 この話は知人女性から聞いたものである。

 平成二十九年の夏。

 旅行へ行っての帰り、深夜の特急列車の中でのできごとだったという。


 帰路。

 彼女は最終便に乗っていた。

 車内はがら空き、二人掛けのシートにくつろいでウトウトとまどろんでいたという。

 そんなとき、

「こわいっ!」

 子どもの叫ぶ声を聞いた。

 声がしたのは斜め後ろからのようだった。

 そのときは親がいるだろうと、彼女はたいして気にせず振り返るまではしなかった。

 列車の位置を確認するため車窓に目を向けると、そこには夜の海が広がっており、はるか対岸には自分の住む町の明かりが見えた。

 五分ほど過ぎたころ。

「こわいっ!」

 ふたたび子供の声がした。

 さすがに気になって振り向いた。しかし視界の範囲には声の主であろう子供、さらにその親の姿も見えなかった。

 車窓の外に再び目を向ける。

 そのときやはり、自分の住む町の明かりが海の向こうに見えていたそうだ。


 彼女が奇妙に思い始めたのはこれからである。

 電車がなぜか減速を始め、駅でもない場所で停車してしまったのである。

――どうしたんだろう?

 そう思っていると、電車が再び走り出したので安心して目を閉じた。

 するとである。

「こわいっ!」

 三度めの子供の声が聞こえた。

 振り向くも、このときも子供の姿は見えない。

 車窓に目をもどし、列車の位置を確認したところ山の中だった。

 そこは海が見えるずいぶん手前である。

 やがて海が広がり、対岸に自分の住む町の明かりが見えてきた。

 どう考えてもありえない。

 時間がさかのぼったか、もしくは一度、列車が逆走したことになる。


 彼女は言った。

 三度、自分は子どもの声を聞いた。

 二度、同じ海を見て、自分の町の明かりを見た。

 あのとき。

 あれがたとえ夢であったにしても、二度も三度も続けて同じ夢を見るものだろうか?

 彼女がそのときのことを振り返る。

「あの声、こわいって、なにかの警告のようなものだったのかしら?」


 ちなみに。

 翌日になって新聞を見たが、列車事故などはいっさい載っていなかったそうだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 不思議な話ですね。 一度ならともかく三度までも声が聞こえる。 そして、後戻りしたような時間の現象も。 いつも思います。私たちの常識をこえた、目に見えない世界がきっとあるのだということ。何か…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ