47 夏合宿
この話は知人の娘さんの話である。
その娘さんが怖い体験をしたのは、彼女が高校生のとき、平成に入って間もなくのことであったという。
彼女はブラスバンド部に入部していたのだが、部活動の一環として夏休み恒例の合宿があった。
その年は学校の手違いで、いつも行っている合宿所の予約がとれず、とある樹海の近くで合宿をすることになる。
この樹海は自殺者の多いことで知られており、そこへ着く前からメンバーの間ではそのような怖い話がされていたという。
合宿所に着いた夜。
いきなり奇妙なことが起きた。
突然、館内が停電して、さらにドアがひとりでに開いたのである。
そのとき。
「いる、いる!」
メンバーの一人が叫ぶなり、その場でいきなり失神したそうである。
合宿所はパニック状態になった。
その夜は顧問の先生らと一カ所に集まり、全員が朝まで一睡もしないでいた。
その後も、通常では考えられない奇妙なことがいくつか続いたが、結局その合宿所で予定通りの日程を終えたという。
彼女が当時を振り返って言う。
「あとで聞いたのですが、あのとき倒れた人は霊感がとても強かったようです」
「それで、あなたは何ともなかったの?」
私の問いに、
「自分はすごく鈍感なので。それでもトイレには、とても一人では行けませんでした」
彼女は苦笑いしながら答えてくれた。
余談だが……。
現在、彼女は小学校の教師をしている。




