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奇聞集  作者: keikato
47/79

47 夏合宿

 この話は知人の娘さんの話である。

 その娘さんが怖い体験をしたのは、彼女が高校生のとき、平成に入って間もなくのことであったという。


 彼女はブラスバンド部に入部していたのだが、部活動の一環として夏休み恒例の合宿があった。

 その年は学校の手違いで、いつも行っている合宿所の予約がとれず、とある樹海の近くで合宿をすることになる。

 この樹海は自殺者の多いことで知られており、そこへ着く前からメンバーの間ではそのような怖い話がされていたという。


 合宿所に着いた夜。

 いきなり奇妙なことが起きた。

 突然、館内が停電して、さらにドアがひとりでに開いたのである。

 そのとき。

「いる、いる!」

 メンバーの一人が叫ぶなり、その場でいきなり失神したそうである。

 合宿所はパニック状態になった。

  その夜は顧問の先生らと一カ所に集まり、全員が朝まで一睡もしないでいた。

 その後も、通常では考えられない奇妙なことがいくつか続いたが、結局その合宿所で予定通りの日程を終えたという。


 彼女が当時を振り返って言う。

「あとで聞いたのですが、あのとき倒れた人は霊感がとても強かったようです」

「それで、あなたは何ともなかったの?」

 私の問いに、

「自分はすごく鈍感なので。それでもトイレには、とても一人では行けませんでした」

 彼女は苦笑いしながら答えてくれた。


 余談だが……。

 現在、彼女は小学校の教師をしている。


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