表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奇聞集  作者: keikato
41/79

41 虫の知らせ

 前回の「お地蔵様」とよく似たできごとである。

 話を聞いたのは知人の神主からで、その方の住んでいた家が土石流で押し流されたという。

 時期としては、知人がそのとき中学生だったというところから、おそらく昭和三十年代の半ばだったと思われる。


 その年の九月。

 三日ほど、大雨が断続して降っていた。

 家のそばを流れる川はすぐにも氾濫しそうで、その日は朝から家族総出で敷地の境に土嚢を積んでいた。

 そのさなか。

「神社に行ってみるぞ」

 まだ土嚢が積み終わっていない状況で、なぜか父はその場を放り出して神社に行くと言い出した。

 神社の方が心配だ。

 神様に呼ばれている気がするのだという。


 家族そろって神社に向かった直後だった。

 決壊した土手から敷地に、鉄砲水が一気に押し寄せてきて、またたくまに家が土石流で流された。

 家にあと三分いたら、自分たちも土砂で流されていただろうという。

「父の一言で命拾いをしたんです。それにしても奇妙なことがあるものですな」

「いつも奉仕をしていたので、神様が助けてくれたんでしょうね?」

 私の問いかけに、

「いや、そんなたいそうものではありませんよ。たぶん虫の知らせだったんでしょうな」

 知人の神主は謙遜しつつ、それでも父親のことをうれしそうに話した。


 これもたまたまなことなのかもしれない。

 とはいえ不思議な話である。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ