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21 母の光
この話は知人女性から聞いたものである。
そのことがあったのは母親の葬儀をすませて一段落した頃で、彼女の年齢からすると昭和六十年前後になろうかと思われる。
葬儀のあと。
実家に帰っていた妹の、二歳になったばかりの子供が風邪をこじらせてしまった。さらにこのとき、妹は二人目を出産した直後であった。
彼女は亡き母親の代わりとして、妹の赤ん坊の世話を買って出た。
ところが……。
赤ん坊はミルクを与えても、オムツを替えても、どうあやしても泣くばかりであった。だからといってお産直後の妹にもどすわけにもいかない。
彼女はほとほと疲れたそうで、しまいには遺影の中の母にまでとりすがったという。
「お母さん、助けて!」
するとである。
母の遺影から真っ白な光が放たれ、その光を浴びた赤ん坊は、それまでのことがなぜか嘘のように泣き止んだ。しかも、それからすぐに眠ってくれたという。
彼女は最後にこう語った。
「普段は目に見えないけど、母はいつだって、私たちを見守ってくれているのだと思います」




