18/79
18 霊感
この話は、知人の女性から聞いたものである。
彼女は五十歳を過ぎて、妻を亡くした男性の元に嫁いだ人である。
嫁いだ年の秋。
彼女は夫に連れ添い前妻の墓参りをした。
墓前で手を合わせ、ふと顔を上げたとき、墓石の上に前妻が浮かんでいるのが見えた。
前妻の姿はすぐに消える。
前妻とは顔を合わせたことはないが、いつも写真で見ていたのでまちがいなかったという。
夫は気がつかなかったらしい。
「たぶん、夫には見えなかったのでしょう。私は人一倍、霊感が強いものですから」
「何か伝えたかったのでしょうね?」
私の問いに、
「わかりません」
彼女はそこで口を閉ざし、それ以上のことは語ろうとしなかった。




