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13 盛り塩
これからする話は、私が仕事の関係で訪れた知人宅でのことである。
平成に入ってまもない頃であった。
その日。
私がまず驚いたのは、玄関の左右の端に置かれた盛り塩であった。それがよく見かける盛り塩なら、そんなに驚きはしなかっただろう。
とにかく盛り塩の大きさが尋常ではない。
両手ですくっても足りないほどの塩が、山となって左右二か所に盛られていたのである。
玄関先で驚いている私を見て、知人はその盛り塩の訳を教えてくれた。
「娘が言うんです、ここには幽霊がいるって」
知人宅は小さな一軒家の借家で、家庭は小学校二年生の女の子と二人暮らしという母子家庭であった。
さらに驚くことに……。
その子には、霊がはっきり見えるという。部屋の天井あたりに、人らしき者が張りついているのが見えるのだそうだ。
だが、母親である知人には見えない。
「それで娘のために、自分なりにできることをやってみたんですが……」
それが玄関の盛り塩だという。
効果のほどをたずねると……。
娘には変わらず霊を見えており、今のところ盛り塩の効果はないのだと話す。
その後、この知人には会っていない。
後日。
人伝えに聞いたことだが、彼女は親を頼って県外に転出したそうである。




