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奇聞集  作者: keikato
11/77

11 記憶

 この話は私が若い頃、職場の上司でもある先輩から聞いたものである。

 ちなみに。

 その先輩は十年程前に定年退職をされた。


 話は先輩の祖母のことである。

 先輩の祖母は、先輩が幼少の頃に亡くなったそうなのだが、問題は祖母に関する記憶であった。

 先輩の記憶では……。

 晩年の祖母は、おそらく病弱であったのだろう、たいていは自分の部屋にこもっていた。

 それでも週に一度や二度、祖母の姿を見ることはあった。部屋をのぞけば畳の上に座っていたり、トイレに行き来する姿を廊下で見かけたりした。

 ただ、祖母と話をした覚えはないという。

 それが小学校入学のあと、急に祖母の姿を見かけなくなった。葬儀の記憶はないが、祖母は自分が一年生のときに亡くなったものだと思っていた。

 ところが後年。

 両親の遺産を相続した折り、祖母の戸籍を見る機会があったのだが、祖母の死亡年月日を知って驚くことになった。

 なぜか祖母は、自分が四歳半のときに鬼籍に移っていたのだ。

「小学校入学は六歳だから、自分の記憶と二年ほどの差があるんだ。記憶のあるその二年間、当時の自分は祖母のなにを見ていたんだろう」

 先輩の言葉が今も印象深く残っている。


 記憶のある二年間。

 先輩は祖母の霊を見ていたということになる。

 不思議なことがあるものだ。


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