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パンドラっくす!  作者: パッツアン
2/2

吉と出るか、凶と出るのか…

エピソード 1 まさか…こんな事に…。


  異世界、それは我々のとても身近なものであると信じられてきた…そして、なんの因果かここ日本に、

 異世界へ門が作りだされようと日々動いている人々がいた…


 「すいませーーん!…チーフ、ちょっと見てください。ついに、小型ブラックホールの精製への認可が

 おりました。ですので、ここにサインをお願いできますでしょうか。」


 …やっとこの時がきたか。ったく、上の連中は頭が固くていけない。ここまで来るのにすでに一年も

 過ぎているのだぞ!あとは、承認だけだというのに。これだから…


 「どうかなされましたか、チーフ?」


 「いや、何でも。それよりもここにサインを書けばいいのかな?…っとこれでいいかな?」


 「はい!ありがとうございます。って、チーフ。まーーたそんな服着て、折角の美人さんが台無しじゃ

 ありませんか!もっと女の子らしい恰好をしたらどうですか?うちは女子しかいないんですから、チーフ

 がそれだとほかの子もマネしちゃうじゃないですか。」


 「いいじゃないか、着替えるのが早くて済む。それに私はまだ若いからな!そんなに女らしい服を着なく

 ても、まだこれからがある!」


 「…はぁ、確かにチーフはまだ18才ですけどねぇ、結婚適齢期なんてすぐですよ!すぐ!…これからは

 男の人数も減っていくって言うし、結婚がしたいって思っても出来なくなりますよ…はぁ」


 …とても、26のセリフとは思えない、重みのある言葉だったな、杏さん。言い切ってすぐに書類

 出しに行ってしまった…


 「ま、まあ皆、という訳なので、今日はぱぁっと行きますか!」


 「「「おおぉーーー」」」


 …まあ、私は飲めないけどね。


 そんな楽しいみんなとの時間も過ぎてゆき、私がちょうど21才を目前に控えた夜の事、私の端末に

 一通の留守電が届いていた。中の内容は、


 『もしもし、あれ?もしもし?…繋がらない。まあ、留守電だし大丈夫ですよね。…すいませんチーフ

 大事な用なのですが、如何せんチーフが見当たらず、ここに要件を残します、ええっとですねチーフ、

 落ち着いて聞いてくださいね、今日、上から正式に実験を行う許可が届きました。あと、明日の

 13:00に実験についての話を詰めたいとの事でした。ですので、明日は絶対に遅れないように

 お願い致します。」

   

 留守電が終わった瞬間、私は崩れてしまっていた。…ここがスタートラインだってことは分かってる。

 …分かっているけど、今、この瞬間だけでもいいから、このままで…


  この日からは、毎日が怒涛の勢いで過ぎていった。認可を得てから、まず最初におこなった会議を

 皮切りに、実験についての予算の調整、そして、実験を行う上での危険などをわかり易くまとめた

 書類作りなど、こちらが出せるすべての資料、そして熱意を、きたる発表の日に備えて。


 「チーフ、この材料見てくださいよぉ。この金属じゃ絶対に強度に耐えられないのに、上が

 押してる会社のだからってこっちにも使うよう命令してくるんです!何とかならないですかぁ?」


 「うーん、うちのチームだけ特別ってわけにもいかないけど、上は絶対だからね…あれ、そういえば

 この会社の使うのって部品の一部って話だよね。それなら、…こことかどうなの?」


 「そこなら、つかえなくもないんですケド、ここに置くとコストオーバーになるんですよねぇ…」


 「そうか、なら…ここの部品ならどうだろう。多少重くなろうともここの構造を二重にすれば

 いいんじゃないかな。」


 「確かに…そうですねぇ。これならいけると思いますぅ!ありがとうございましたぁ。…これで

 杏先輩にどやされなくて済みそうですぅ。」


 「ははっ、そんなにどやされてたのかい?それはまあ、ご愁傷様としか…。ま、気になる所がある

 ならいつでもどうぞ?菓子なら出すけど、流石に浮いた話は持ってこられても困るけどね。」


 「チーフがそんな話が出来ない事くらい、このチームにいる誰もが知ってますぅ!からかわ

 ないでくれますぅ。」


 …随分とひどいいわれようだなぁ。確かに、まだ恋らしい恋をしたことなんてないけど。…私が

 ここに入ってから間もなく5年が過ぎようとしていた。そしてチームも少しずつ大きくなって

 おり、今では、20人前後でプロジェクトを進行しようとしていた。私が前に行っていた実験は

 見事な成功をおさめたと思う。そして、以前、私が進めていたものは、”この世界から異世界に行く

 手段を見つけ、行けるようにする”といったものだ。そして、その夢は実験により成功していた。

 

  だからこそ、私は次は行く手段をもっと身近にしたい。これを私達はプロジェクト”パンドラ”と

 呼んでいる。…どんな人でも、チャンスさえあればどこまでだっていける。そう信じて、私はこの

 名にした。まあ、柄にもない事はするもんじゃないかもしれないけどねぇ…



  そして運命の日は刻々と迫っていた…。


 

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