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ギルティクロニクル  作者: 天地 優介
第一章 異世界
4/4

ダンディな男/叫べ必殺技

修行回。

かなり話が強引だけど、テンポは良く進みたい。


「ここが、私の城だ」


レオナが気がついた時には、すでに転移は完了していた。

今レオナの目の前にあるのは、賑やかな町並みではなく、絵に描いたような吸血鬼の城であった。

周りを見渡しても、ここが何処かはわからなかった。

レオナがこの世界の地理に疎いという根本的な問題もあるが、この城の周囲が崖に囲まれているというのも問題だった。

思わず警戒してしまうレオナ、しかしーー。


「どうした?中に入りたまえ、多少強引な展開ではあるが、私はあまり女性の扱いに慣れていなくてね。すまないな、レオナ君」


レオナは、この人が女性の扱いに慣れてないというのは嘘だろうということは、理解できた。



ダンテと名乗った男のあまりのマイペースぶりに、ここまでついてきてしまったレオナだが、実際のところそこまで警戒しているわけではなかった。


なにせ一切の敵意が感じられないのだ。こちらに対しての興味はあるようだが、もし敵意を隠しているならば自身が太刀打ちできるような相手ではないし、それなら大人しくこの老人の話に乗るのが一番良いだろうと思っていたからだった。


「時にレオナ君。アバドンという言葉に聞き覚えはないかね?」

「どうして、その名前を?」

「どうやらその反応、私の予想は当たっていたようだ。………その君の中に眠る力、それは我々この世界のものが『アバドンシリーズ』と呼んでいるものと同じ力だよ」


………いつの間にか、客人をもてなす場所と思われる部屋についていた。










「私がその存在を知ったのは、今から三年ほど前だ。私はいつも通り、君と出会ったあの町に出かけていた。君は感づいているようだが、私は人間ではなくてね………ほら、立派な牙があるだろう?吸血鬼なのだよ、私は。だから正体に気づかないように、こうして誰も近づかない所に城を建てて、ひっそりと暮らしているというわけだ。…おっとすまない、話がそれてしまったな。それでだ、私は三年おきにあの町に行っているのだが、行きつけの美味い酒を出す店の前で、若者どうしが喧嘩をしていてね。私も喧嘩は好きだが、さすがに煩かったのでね、少し黙ってもらおうとしたのだが……明らかに、人間の範疇に納まるような強さではなかったよ。勝ったがね。……その後にその若者達を調べてみたら、君の中に眠る力と同じものが見つかったのだよ。アバドンシリーズ……そう呼ばれる、悪魔の力がね」


レオナは戦慄していた。

なぜならばーー。


「もしかして、アバドンシリーズによって、その若者達は…」

「そうだ、凶暴化していたよ。まるで何かに取り憑かれたようにな。……自我は完全に無くなっていたよ」

「………」


レオナは恐れていたのだ。

自分が自分で無くなってしまうかもしれないという事実を。

広い世界を見たいという欲求のまま、組織を抜け出したレオナにとって、自分が自分で無くなるというのは、死よりも恐るべき事だった。


「だが、使いこなす者もいる」

「えっ?」

「そう悲観する事は無いと言ったのだよ。現に、聖王国の騎士長であるアンジェリカ=エレクトラという女性は、アバドンシリーズのうちの一つである魔剣を使いこなしている。要は、強い意志と確かな強さがあれば良いのだ。……そこでだ、私が君を鍛えてあげよう」


レオナは思った、なぜそうなると。

だが同時に納得もしていた。先ほどから闘気を放ってきていたのは、そういう事だったのかと。

おそらく選別だったのだろう。

もしも闘気に気圧されてしまうようであれば、そのまま自分の命を暴走する前に奪ったに違いない。

この短時間で老人の力を感じとったレオナは、老人の申し出を受けることにした。


「はい、よろしくお願いします。師匠……いえ、コーチ!」

「……まずは、その偏った知識を正す所から始た方がいいようだな」












それから約一週間ほど、レオナはダンテの元で様々な事を学んだ。


勉学、家事、魔法、魔術、その他様々な知識。

そしてーー戦闘技術。


一日目の特訓では、ダンテに触れることすらできなかった。

しかし、レオナはその異常な学習能力によって成長、ついには一発パンチを入れることにも成功した。

その後、コテンパンに伸されたが。


そんな充実した毎日をおくっていたレオナだったが、ある日ダンテから「必殺技を伝授しよう」と声をかけられた。


「必殺技……ですか?」

「うむ、君の学習能力は素晴らしいものだ。おそらく元々の素養もあるのだろうが、君が取り込んだアバドンの頭による所も大きいだろうな」


ダンテとの修行の日々で、レオナは自身の力をある程度はコントロールできるようになっていた。

その結果、自身が取り込んだアバドンシリーズはアバドンの頭という呼称がついた。

その訳は、そのアバドンシリーズの持つ力が、学習能力の増大にあったからである。

ダンテがいうにはまだ未知の力が隠されているらしいが、今のレオナの関心は必殺技に向いていた。


「そこでだ、君に必殺技を伝授しようと思ったのだよ」

「必殺技……ですか、どうやったら出せますか?」

「実際に見た方が早いだろう。ゆくぞ………《マッハガン》‼︎」


轟、とダンテの拳が風を切り、雲を穿つ。

そのあまりの破壊力に、レオナは驚くと同時に、組織の幹部にも対抗できるであろう力に興味を抱いていた。


「……まずは、頭の中で技のイメージを完成させる。後は簡単だ、そのイメージのままに身体を動かすのだ。……あと、技名はあったほうが良いだろう。力ある言葉というのは気分を高揚させ、実際に必殺技の威力も上がるからな。慣れてきたら技名を叫ばずともかなりの威力を出せるようになるだろう。その前に省略する方が先だが。……まずは、実践してみると良い」

「はい!……《パイルバンカー》‼︎」

「ほう……なかなかだ」


こうして、レオナの本格的な修行は幕を開けた。

必殺技に関しては格ゲーのキャラクターが技名を叫ぶのを理由づけてみたものです。ぶっちゃけ女の子にパイルバンカーって叫ばせたかっただけ。

次回は覚醒回かな?章タイトル変更しなきゃ……。

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