初めての異世界/名前がない
実はスマホで直接書いてる私。むむむ。
「ここは……どこだ?」
少女は目覚めた。
先ほどまでいた硬質的な重い空気の空間の世界ではなく、開放的な荒野で。
兵士としてパラダイム・ガーデンに所属していた時の経験を生かし、今の自分の状態を少女は確認する。
長く、背中の中ほどまである銀髪はロクに手入れもしていないが、美しい輝きを放っている。
服は、脱走するときに適当に持ってきたスーツとスカートの上下、全く同じ組み合わせの物が今自分が着ている物も含めていくつもある。
鏡は今ここにないために、少女は確認できてはいないが、彼女の肉体年齢である十六歳よりも大人びて見える凛々しい美貌は、健在である。
肉体も、百七十という高身長は縮んではいないし、美乳ではあるが微乳である胸もそのまま。見事に割れた腹筋もそのままで、しっかりと引き締まった、少女らしさを損なわない程度についた手足の筋肉もやはりそのままである。
何も異常が無いとわかり、ほっと一息吐く少女、しかしーー。
「無くなっている………だ、と?」
そう、彼女が魅入られた『頭』が無くなっていたのだ。
少し取り乱してしまった少女であったが、やはり元組織の『軍人』あったということもあって、すぐに落ち着きをとりもどしていた。
まずは、今自分が置かれている状況を知らなけれればならない、そう、『知らなければ』。
こうして、彼女の様々な世界を巡る旅の第一歩が踏み出されたのであった。
ちなみに金は基地にあった様々な世界のものを分捕ってきており、心配する必要は無い。
それからしばらくして、町を発見した少女は取り敢えず酒場を町の見える崖の上から探していた。
酒場には情報が集まる。そう記憶していた少女は、酒場で情報を集めようとしたのだ。
そんなわけで酒場を探していたのだが、それなりに大きい町なので、遠くからではよくわからない。
酒場を見つけるのを諦めた少女は、とりあえず町へと行ってみる事にした。
「名前は?」
痛恨のミスである。
なんと少女には名前が無かったのだ、今まで知識を得ることと、生きることしか頭に無かったのですっかり忘れていたが、名前が無かったのだ。
町の門番に名前を聞かれ、困り果てる少女。
このまま不審者として捕まるぐらいなら、いっそ不法進入でもしてやろうかと思う少女。
そしてそれを実行に移そうとしたその時である。
「すまんが、彼女は私のツレでね」
見るからにダンディな老人が、救いの手を差し伸べてきた。
「すまない、迷惑をかけてしまって」
「構わんよ。むしろあそこで暴れられた方が何かと面倒だったのでね。まあ安心したまえ、私は顔がきく。名前のわからない少女一人を保護するぐらいは簡単だよ」
どうやらこの町の名前はデュクレシオというらしい。
少女がこの短時間で老人と話して知った数多い事の一つである。
先ほど門の前で困っていた時、救いの手を差し伸べてくれたこの老人、名前をダンテ=マキシモフというらしい。かなりの高身長で、百九十近くはあると思われる。
従者であるらしい美少年(いわゆる男の娘)のベァトリーチェを連れてこの町に来ていた彼は、タイミングよく少女が困っている場面に遭遇。助けなければ紳士ではないという理由で助けたようだ。
しかし、少女は見抜いていた、この老人には何か別の目的があると、それを聞き出そうとしたその時、あちらから逆に話しかけてきた。
「私が君を助けたのは、君がレディーだったからということもあるが、君が何か不思議な力を持っていることも理由の一つなのだよ」
「不思議な力?私にそんなものが?」
「うむ、だからこれは提案なのだが、どうだ?私の城に来てみないかね?」
少女は迷わず行くと答える。
「その思い切りの良さ、嫌いではないな。気に入ったよ。よし、私の城に招待してあげよう。それはそうと君、名前はなんというのかね?もし隠しているのならば、教えてほしいのだが」
「ない、昔は管理番号666番といわれていたが、今ではそれも意味をなさない」
「ふうむ……ならば、『レオナ』という名前はどうだね?」
「レオナ?」
「ああそうだ。見たところ君はとても勇敢な性格をしているようだからな。この名前が合うと思うのだが、どうだ?」
「レオナ……私の名前……うん…気に入った、これからは、『レオナ』と名乗らせてもらおう」
「そうか、では……ベァトリーチェ!『転移』するぞ、野菜を見るのもそこらへんにしておきなさい。」
「は、はい!ダンテ様」
レオナとダンテが話している間、近くの八百屋を見ていたベァトリーチェが戻ってくるのと同時にダンテの足元に魔法陣が展開される。
そして、その魔法陣が紫の輝きを放ったその時、デュクレシオの町からレオナ達の姿は忽然と消えていた。
タイトルにもう悩む。
ちなみにレオナはGGシリーズの悪男みたいな性格です。