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今でも君を

作者: きらとも

最初に彼に会ったのは私が転校をした小学5年の春だった。

初めて転校と言うものを経験した私はとても緊張していた。もともと誰とでも仲良くなれると思っていた自分の性格だったけどなかなかクラスに馴染めなかった。

そんなある日体育の授業で50メートル走をする事になり私は前の学校ではあまり足が早い方ではなかったが運動は大好きだった。 「よーいドン」先生の合図の声に合わせてピストルが鳴る。

全力疾走!なんと私はクラスの女子の中で一番になった。

前に住んでいた所は緑が多く田舎だった事もあり良く外で遊んだ。

父と母の離婚が決まり母についてきて引っ越した先は都会の学校!緑も少なく学校の前と言うと大道路!教室の窓は二重になっていた。そんな田舎で育った私が都会の学校で一番になるのは何もおかしな事ではなかったがクラスのみんなにしてみれば今までいた人で予想がついていた順位が変わったと言う事でザワザワしていた。それ以来私はクラスにも馴染み友達も少しずつ多くなっていった。 ある日下校のホームルームの前、早めに掃除を終えた私はみんなが家に持って帰るプリントを配っていた。ふと視線に気付いた方を向くとクラスメートの男の子がこっちを見ていた。引っ越して間がない私はまだ名前と顔が一致しない。

とりあえずニコリと笑った。

学校帰り友達と一緒に帰っていると話題は好きな子の話しへ

友達のユカが私に聞いてきた

「トモは好きな子出来た?」

「まだ名前と顔が一致しない」

と答えた。

「でも、もうトモの事好きだって子がいるんだって」

「えっ?誰?」

私はビックリした。まだ転校して来て日が浅い上にクラス全員の顔と名前も一致しないのに…

「あっ!」

その時急にユカが大声を上げた。

「なに?どうしたの?」と聞くと

「ほらほら前にいる青い服着た子!小川雅人(おがわまさと)あの子だよ」

とユカが言った瞬間私はドキッとした。

えっ?あれが小川雅人?さっき教室で目が合った男の子だった。 雅人の家は私の家から近いアパートに住んでいたらしくたびたび帰りが一緒になる事もあった。

クラスにとけ込み始めて数日が過ぎた頃何度か席替えがあり私は雅人と隣の席になっていた。

私達の学校は給食時間になると班を作りご飯を食べる。前の席の男の子(しょう)が話しかけて来た

「お前誕生日っていつ?」

「えっ?8月30日」

「まじで?おまえらお似合いじゃん!」

私は翔が言う意味を理解出来ずにいた。

「はっ?何が?おまえらって誰?」

と聞き返すと翔は

「雅人!雅人!こいつ8月31日誕生日!」

ふと私は雅人の方を向いた。雅人はシャイな性格なのか耳まで真っ赤にして恥ずかしがっていた。それからと言うもの何かにつけて雅人と私はからかわれていた。

いつからか私は雅人を意識するようになり好きになるのに時間はかからなかった。

12月になり友達のマミがクリスマス会を開こうと言い出した。みんなでプレゼント交換をする為に五百円でプレゼントを買いマミの家に行った。

「こんちは」

マミが出てくる

「いらっしゃい!みんな来てるよ」

リビングに入りビックリした!何人か男の子が来ていた。その中に雅人もいたのだ。

「ちょっとマミ何で男の子いるの?」とマミに聞くと

「せっかくのクリスマスだからみんなの好きな子呼んだんだよ」 私はしっかりしてるなぁと感心しつつクリスマスに雅人と一緒にいれる事をマミに感謝した。

一通り料理も食べ終わりプレゼント交換をする事に!

男の子が買ったプレゼントは女の子に行くように女の子が買ったプレゼントは男の子に行くように別々に集めた。 プレゼントを選ぼうとしていたら突然私の目の前にマミが袋を出した。

「トモ、これ雅人が持ってきたプレゼント」 と私に渡してくれたのだ

「ありがとう」

マミはみんなに

「誰が誰のかわからないからみんなで見せ合いこしよう」

私は急に恥ずかしくなった。雅人は私が雅人のプレゼントを持ってる事は知らなかった。私は普通に袋から取り出して見た。中にはハンカチとハートのネックレスが入っていた。

「これ誰のプレゼント?」すかさずマミがそう聞いた 「俺!」雅人が恥ずかしそうに答えた。するとまた翔が

「やっぱりおまえらお似合いじゃん」とまた茶化してきた。私と雅人も何も言わなかった。何も言えなかった。

クリスマス会も終わりに近づき冬と言う事であたりはすっかり暗くなっていた。みんなで帰ろうかと話していた時翔が急に

「おまえら両思いなんだから二人で一緒にかえればいいじゃん」とまた私と雅人を茶化してきた。 何も言えずにいるとみんなも翔と一緒になって私達をわざと二人にするように帰って行った。

もともと家が近いと言う事もあり二人で一緒に帰った。何を話したらいいのかわからずに黙っていた。きっと雅人も同じなのかな?と思っていたら雅人が口を開いた

「あのさぁ、俺お前の事が…好きです」

突然の事ですごくビックリして私の口から出たのは

「ありがとう」だった。

そのあとは何を話したのか頭がボーッとして覚えてない。

何日かたってだんだん喜びが大きくなりクリスマス会で当たった雅人のプレゼントを見ては雅人を思いだしペンダントを外す事が出来なかった。

そのまま冬休みになり雅人には会えなかった。

新学期が始まりお互いを意識していつも通り普通にしゃべれなくてギクシャクしていた。 そう言えばもうすぐバレンタイン今度は私が何か送ろうそう思った。 チョコレートを作りまだ寒いので手袋を買った!

気が付けばクリスマスの返事もしてないままだった。私は勇気を振り絞りチョコを渡し

「好きです」そう言った。でも、私達は幼かった。今でなら付き合う付き合わないとか言う話しになるんだろうけど私達が小学校の頃はそんな事はまだ早いと言う感じだったし両思いになれた事が何にしろ嬉しかった。

又春になりクラス替えの時期になり私達は別々のクラスになってしまった。そのまま卒業を迎えいつしか雅人はどんどん遠くなって行った。

中学になり私達の中学は3つの小学校から人が集まり人数が多く一年生だけでも7クラスまであった。 こんな大人数のなか雅人と同じクラスになれるはずもなく一番最悪な方向に進んだ。

私は1組になり雅人は校舎の離れた7組に…なれない生活にすれ違う中で次第に雅人の影は薄くなっていった。

そして一年がたち二年になり三年になった日また雅人と同じクラスになった。 何度か廊下とかではすれ違ったりしていたけど話すことも出来ずに同じクラスになれた今近くで見る雅人は大人っぽくなっていた。 でも、すぐそんな事思ってるのは自分だけなんだと思いしらされる事になる。

三年になり数日が過ぎ何度か席替えがありそのたびに雅人と私は偶然隣の席になっていた。

その頃の担任は女の先生でみんなと仲良くなって欲しいと言う事で席替えはクジ引きになっていた。クジ引きと言っても少し変わっていた。

生徒は普通に丸められた数字の書いた紙を一人ずつ引く。このままだと前から順番に数えれば自分がどの場所で嫌なら他の人にかわってもらう事が出来てしまうからと別のノートに先生が勝手に番号をふり一番の人から順番に席が決まって行くビンゴゲームみたいなやり方だった。

だからだれにも仕組む事は出来なかった。

最初は偶然!それが二度、三度となると回りの反応は偶然から運命に変わっていった。 小学生の頃と同じまた雅人と私はからかわれることが多くなっていった。 そんなある日用事があって雅人に声をかけた。

「雅人!」

雅人は返事をしない。

「雅人ってば!」

そう言った瞬間雅人は

「俺に話しかけるな!」

そう言った。

すごくショックだった。 まわりの女の子とは仲良く話すのに私には返事もしなくなった。 偶然はずっと続くものじゃなく次第にバラバラの席になって行って私と雅人は話さなくなり目も合わさなくなった。


季節はどんどん流れ受験が近づいてきた。私は友達と高校の説明会に出掛けた。

説明会は学校にも行かなくていい上に雅人に会わなくてすむ。一緒の教室にいても雅人が遠く感じて辛くなることがない分気が楽だった。

その日行った高校の説明会の帰りみんなで遊びに出た。女の子が集まると話すのは決まって恋の話だった。

いつもは私とユミはみんなの話を聞いてるだけだった。 でも、その日は違ったみんながユミの好きな人を聞き出そうとしていた時ユミが

「トモと二人で話がしたい」

そう言った。

二人になってユミが聞いて来た。

「トモは好きな人いる?」

私は何も答えられなかった。

「私ずっと言おうか迷ってた。私が好きになった人トモと同じなんじゃないかと思って話せなかった」

えっ?私は誰にも雅人の話しはしてないはずだし、ユミは中学になってからの友達だから知ってるはずはない。私は色々考えたけど思いきって聞いてみることにした。

「もしかして雅人?」

私がそう言うとユミは急に泣き出した。

「トモ、ごめん。やっぱりトモも好きなんでしょ?」

ビックリしたのとショックでとっさに

「好きじゃないよ。大丈夫だから!協力するよ」

そう言っていた。

私は小学校から雅人と一緒だった。でも、中学から一緒になったユミが雅人を好きになる。雅人の事でそんな知らない事が増えていくそれが悲しかった。

もう雅人にも嫌われてしまっているし本当にこれで諦めなくちゃいけないと思った。その夜は一人で泣いた。

次の日からは雅人を忘れ様と努力した。

夏になり中学最後の体育祭が近づいていた。

「誰か応援団してくれる人いますか?」 さっきからしきりに先生がそう言っていたがみんな下を向いたままだった。

「じゃあ、しょうがない恨みっこなしにジャンケンで男の子一人。女の子一人決めて!」

そう先生が言った。

みんな必死にジャンケンをしている。

「では、決まりました。男の子は小川雅人くん。女の子は吉川トモさんです」

みんなはジャンケンにかってホッとしていた。

私は複雑な気持ちだった。


応援団の練習は放課後に毎日続いた。

雅人は応援団長になった。

もともと責任感が強かった雅人はすぐにみんなをまとめる様なリーダーになった。

あんなに話すのはさえ出来なかったのに今は雅人と普通にしゃべっている。少し私はホッとしていた。

練習も終わりみんなで一緒に下校する事になった。 私は毎日の練習で足を痛めていて早く歩く事が出来ないでいた。

「先に帰っていいよ。

足も痛いし、ゆっくりみんなの後ろ帰るから」

そう友達に言った。

雅人と一緒に変えるのは辛かった。ましてやユミの事を思うと…

色んな事を考えながら歩いていたら目の前に雅人が立っていた。

「何してんの?みんなもう行ったよ」

「足が痛くて早くあるけないだけだから。雅人はみんなと一緒に帰って!」

そう言った。確かに足は痛かったけど心の方がもっと痛かった。 雅人はそれ以上何も言わずに私の歩くペースに合わせて一緒に歩いてくれていた。

家に着かなければいいのに何度も歩きながらそう思った。

そんな私の気持ちが歩く早さをさらにゆっくりにしていた。

その事に気付いた時友達のユミに本当の事言う勇気もなかった。協力するなんて言ってユミを裏切って私は何て嫌な女なんだろう…そう思った。 やっぱり私は雅人を諦めきれずにいた。ユミの事を考えるとどうしたらいいかわからず悩んだけど誰にも言わずに好きでいよう。私の好きって言う気持ちは友達としての好きだからと自分に言い聞かせた。

体育祭も無事に終わり受験が近づきあたりは恋どころではなくなっていた。

必死になって高校に受かった後はもう卒業式!なんだか色んな事があったからかすごく早く感じた。

雅人ともこれで最後かな?そう思っていた。 家に帰り仲の良い友達何人かと遊び歩いた。

ユミが突然

「トモ、私最後だから雅人に告白しようと思うんだけど協力してくれる?」

複雑な気持ちだった。だけどユミに協力する事にした。私の気持ちは誰にも知られるわけにはいかなかった。

雅人の家に電話をかけた雅人のお母さんが出た。

「雅人くんいますか?」

「ちょっと待ってね」

そう聞いてユミに電話を変わった。 私は遠くからユミが電話で話してるのを見ていた。少したって電話を終えたユミが近づいてきた。結果を聞くのが怖かった。

ユミは私の気持ちを知るはずもなく話し出した。

「好きな人いるんだって…。ダメだった」

そうユミは言った。私は少しホッとしていた。 雅人がユミと付き合う事になっていたら…そんな事を考えてるのにユミに協力した自分が本当に嫌でしかたなかった。

それと同時に寂しさもつのった。雅人はもう別に好きな人を作ってたんだ…そう思うとやりきれない気持ちになった。

何日も何日も眠れない日が続き何もする気がおきなかった。私の気持ちをお構いなしに月日は流れ私は高校生になっていた。


私は少し遠い女子高に通う事になっていた。もちろん中学の友達は一人もいない。私と雅人の事を知っている人も誰もいない。

学校には電車で通った。日々の生活の中で私は雅人を思い出す時間が少しづつ少なくなっていった。

いつも通り駅に歩いていると

「トモ?」

後ろから声が聞こえた。振り向いてみるとそこには中学の時の友達メグミが立っていた。

「久しぶり!」

私達は昔とは違う制服、まだ慣れない学校生活の中で久しぶりに会った友達に喜んでいた。

お互いの学校生活の話しをしている時フッとメグミが

「雅人元気にしてるよ」メグミは雅人と同じ学校だった。私はドキッとした。忙しさの中で雅人の事を思い出さなくなっていた事もあったがまだ雅人の名前にドキッとしている自分に気付く。

「そっか、メグミは雅人と同じ学校だったよね」

知っているのに知らない振りをした。

「トモ、雅人とは仲良かったもんね」

えっ?あんなにギクシャクした私達をそんな風に見てたの?私は少しビックリした。

「そうそう、雅人今ポケットベル持ってるよ」 メグミはそう言った。

私達が高校生の頃まだ携帯はあまり浸透していなかった。ポケベルは電話に決まった通りの数字を打つと相手のポケベルにメッセージが入るそんな物だった。今で言うとメール限定の小さな機械という感じだった。 私は高校生になり学校も遠い事からいつでも連絡が取れる様にと母が持たせてくれていた。

「へぇー。そうなんだ…雅人もポケベルとか持ってるんだね」

そう言うのがやっとだった。 「雅人の番号教えるよ。連絡してみたら?雅人もきっと喜ぶよ」

メグミはそう言うと雅人のポケベルの番号を教えてくれた。勝手にこんな事してもいいのかなぁ?少し戸惑ったけど番号をポケベルのアドレス帳の中に入力した。

「あっ!電車が来る!」

メグミはじゃあねと言うと走って行ってしまった。 その日1日私は雅人に連絡したい気持ちとまた拒まれたらどうしようと思う気持ちで雅人には連絡出来ないでいた。


次の日また駅でメグミに会うと

「私雅人とはクラス違うけど昨日バッタリ会ったから雅人にトモの事伝えたよ。ポケベルの番号教えた事も話したから。連絡してみた?」

メグミがそう言った。

えっ?雅人知ってるの?

私は少し怖い気持ちもあったけど

「雅人何か言ってた?」

勇気を出してメグミに聞いてみた。

「何も言ってないよ。連絡してみなよ」 そう言うとメグミはまた電車が来ると走って行ってしまった。

私は一人になり考えた。

雅人が知っている?連絡してもいいって事かなぁ?色々考えてみたけど思いきって雅人に連絡してみる事にした。

雅人のベル番号を押し少し緊張した。何て入れればいいんだろう?考えてなかった…勢いでかけてはみたもののメッセージが思いつかなかった。とりあえず

「おはよう!久しぶり。トモです。元気にしてる?」と打つと自分のベル番号を入れた。

何分間かたつが返事はない。

無視されたんだ。やっぱり連絡しなければ良かった。そう思っていた時内ポケットに入れていた私のベルが震えた。

半ば諦めかけていた私はノゾミ(高校の友達)だろうと思いベルを覗きこむ。

私は期待をするのが好きではなかった。期待はいつも私を裏切っていたからだ。

でもそれは喜びに変わる事になる。 雅人だ!雅人からの返事だった。

「おはよう!久しぶり。元気にしてるよ。お前も元気にしてる?」

何度かに分けてそう入ってきた。ベルは16文字までしか入らなかった。

何でもない会話だった。それでも私はすごく嬉しかった。

それから毎日ベルで雅人と話しをした。内容は学校の事など本当にどうでも良い事だったけど家は近かったが偶然にでも会えることがなかった。私はそんなどうでも良い内容でもただ単に素直に嬉しかった!

毎日のベルの会話も恒例になって来た頃

「お前もうすぐ誕生日だろ?」雅人からそうベルが入った。

覚えてくれていた。小学生の頃に話しただけだった私の誕生日を雅人が覚えてくれていた!もちろん私も雅人の誕生日を忘れた事は一度もなかった。1日しか変わらない私達の誕生日を忘れるはずはなかった。

「そうだよ。プレゼント待ってるから」私は冗談ぽくベルを送った。

私の誕生日の日学校から帰っていると雅人からベルが届いた。

「お前の家の下でまってるから」

私は急いで駅から自転車を飛ばして帰った。

雅人は家の下で待っていた。いつもと変わらない景色、いつもと変わらない家の前に雅人はいた。それだけですごく幸せな気分になったし、景色も違って見えた。 久しぶりに会う雅人にドキドキしながら本当に久しぶりに雅人と話す事に少し恥ずかしかった。

「はい!これプレゼント。」

急に雅人が私の前にキレイに包んだ紙袋を差し出す。中身がとっても気になったけど今は雅人と話す事に夢中になって二人で遅くまで話していた。

「もう遅いから帰るわ」雅人がそう言って時間を確認した。

「えっ?もう9時?」

私はビックリした。夕方から家の前でずうっと話をしていた。久しぶりに会って話す内に時間が経つのも忘れた。

私はお礼を言い家に入った。すぐに雅人がくれたプレゼントを開けてみた。

中にはかわいいぬいぐるみが入っていた。雅人がぬいぐるみを買う姿を想像して少し笑ってしまったけど恥ずかし思いをしながらプレゼントを買ってくれたのかなぁ?と思うとすごく嬉しかった。


そんな嬉しい気持ちをかきけすかの様に日々は過ぎていき私はバイトをする様になっていた。

忙しい毎日に次第に雅人との連絡は途絶えていき私は友達の紹介で知り合ったジュンと付き合う事になっていた。

初めはただ話しをしていただけだったけど徐々にいるのが当たり前になってしまって何となく付き合うという感じだった。

今思うとジュンの事好きだったのか正直わからないけれどその時の私はとにかく一人にはなりたくなかった。

家に帰れば誰もいない真っ暗な家。父親がいない私と姉はこの頃になり母親ともあまり顔を合わすことがなくなっていた。

私はバイトを、姉は専門学校の寮に入り母はと言うと仕事から帰ると彼のご飯の準備をし、毎日彼の家へ泊まりに行っていた。

バイトで疲れて帰ってもお帰りと声をかけてくれる家族は家には一人もいない。母に会うのは週一回程度1、2時間顔を合わせる程度しかなかった。普通にしてたつもりでも結構寂しかったんだと昔を思うとそう感じる。

ただ一人になりたくなかった。

一人の時間はとても長く感じたし、何があるわけでもなく涙が出る時もあった。だけど母を責める気にはなれなかった。母は父と暮らしている時毎日の様に暴力を振るわれアザを作っていた。私が母のお腹の中にいる時にでも酒を飲み酔っぱらった父は母を投げ飛ばした。私が生まれた時は男の子が欲しかった父は

「また女の子か!全然かわいくない。本当に俺の子か?」とも言った事を母から何度も聞いていたからだった。

次第に私は自分を必要としている人間はこの世にはいない。私はいなくてもいい人間なんだと思った。次第に私は自分で自分を傷つける様になって行った。 そんなある日雅人の夢を見た。無性に雅人の声が聞きたくなった。 その頃の連絡手段はベルから携帯へと変わっていて私はまた友達に雅人の番号を教えてもらった。

雅人は私の番号を知らない。電話をしても出てくれないかもしれないと思ったけどかけずにはいられなかった!

「もしもし?」耳から聞こえてきたのは昔と変わらない雅人の声だった。

「もしもし…」そう言っただけで雅人はすぐに私だと気付いた。

色んな話しをするうちに雅人は高校を中退し仕事を初め寮に入っていた。

仕事場は私達が住んでいた町から電車で1時間もかかる場所だった。

それから雅人は

「彼女が出来た」そう言ったのだ。

私は当たり前かと思いつつまた私の知らない雅人に少し寂しさを感じた。

雅人の彼女は7歳年上。友達のお姉ちゃんだと言うことだった。

「どれくらい付き合ってるの?」 私は変な質問をしてしまった。

「二年間かなぁ?」

そんなに前から?雅人と連絡を取らない時間がとても長く感じた。

雅人は

「近々友達に会いに実家に帰るからお前のバイト先で飯でもおごって」と言った。

久しぶりに雅人に会えるそう思ったけど雅人には彼女がいるのだと自分に言い聞かせた。

雅人が実家に帰って来た日の夜一緒に私のバイト先でご飯を食べた。

帰り道雅人は

「友達と約束があるから自転車を貸してほしい」

と言った。

「いいよ!明日学校あるから家の前に自転車止めて鍵はポストに入れといて」

「わかった。じゃーお前の家まで送るわ。後ろに乗って」

バイト先から私の家までは歩いても5分位の距離だった。雅人に言われるまま私は自転車の後ろに座った。

たったそこまでの距離だったけどすごく嬉しかった。この時間がもっと続けばいいと思った。

朝自転車は言ってた通り家の前に止められていた。 夜中雅人が私の家まで来た事を思うと胸が苦しくなった。

それからまた私達は自分の生活に追われ連絡をとらなくなった。



何年も経ち私達は20才になっていた。私は仕事をしながら独り暮らしを始めていた。

そんなある日また雅人の夢を見た。あの日以来雅人の夢は何度か見ていたけど何となく携帯を手に取り雅人の番号にかけてみた。

何年かたってるし番号も変わっているかもしれない。

「もしもし」

電話に出たのは雅人だった。

「久しぶり。元気?」

いつもこんな会話をしている様に感じた。

色々話しをした。どうやら雅人はまだ年上の彼女と付き合ってるらしかった。彼女との付き合いは4年になっていた。

久しぶりに遊ぼうと言うことになり日にちを決めた。



雅人と遊ぶ当日車で私が雅人を迎えに行った。

雅人は車に乗り込むと少しして

「お前彼氏は?」

と聞いてきた。

当時彼氏がいなかったわけではなかった。年をとっても相変わらず私は一人になるのが嫌だったし、誰かと付き合う事で少しでも自分は必要な人間なんだと思おうとしていた。でも、私の彼は3ヶ月前から北海道に転勤になり、遠距離恋愛だった。それに加え1ヶ月前から連絡が途絶えていた。どうやら自然消滅してしまったらしい…

職場に良く来る人で気になってる人がいたことも… 私は隠さず雅人に話した。

昼間に行く所もなくどこに行くか話した結果私の家で飲むことになった。その頃雅人は年上の彼女と一緒に住んでいた。彼女は家事を一切しなかったらしく食事はいつも雅人が作ってたらしく今日は私の為に料理を作ってくれると言った。

飲むに連れて色んな話をし、雅人は彼女とうまくいってない事を話しだした。 私は正直聞きたくなかった。そんな雅人は見たくなかった。

「それでも彼女が好きだから一緒にいるんでしょ?」

「友達の姉貴で別れたくても別れられない」

雅人はそう言った。

私はすごく腹が立っていた。別れられない?4年も付き合って?雅人の彼女は雅人に必要とされていないのかなぁ?誰にも必要とされていない自分が重なって見えてさらに腹が立った。

「そんなわけないじゃん。別れたかったらとっくに別れてるだろうし、4年も付き合うなんて無理だよ。そんな事いって本当は好きなんでしょ?」 私は雅人に彼女を好きだと言って欲しかった。ムキになっていた。

「友達の好きとは違うでしょ?雅人がたとえば私の事友達として好きでも彼女のを好きな気持ちとは違うはず!」

自分で言っていて少しむなしくなったけど止める事が出来なかった。雅人に解って欲しかった。どんな人でも誰かに必要とされている。こんな私でも…そう信じていたかったし、誰かにそう言って欲しかった。 「お前が俺を好きなことは知ってた」

急に雅人が言った。

えっ?何でそんな話しに?それより知ってたって?

「トモこっちに来て」

たぶん雅人は酔っている。おそらく私も…

それでも雅人を拒む事が出来なかった。

静かに雅人の前に行った。

雅人は優しく私を抱き締めた。何も考えられなかった。昔から大好きだった雅人何度も後ろ姿をみて愛しいと思った。その手に触れたかった。そう思っていたのに…

夢の中にいる気がした。その夜から私は雅人の二番目になった。二番目に…

私は何度も雅人にキスをした。今まで触れたくても触れられなかった時間を埋めるように何度も何度も…

「トモはキスするのが好きやな」

雅人はそう言った。私は何も答えなかった。本当はキスをするのが好きな訳じゃない。雅人だから触れたいそう思った。でも、彼女がいる雅人に負担をかけたくなかった。私はどんどん雅人に本当の事が言えなくなっていった。 雅人は帰り際

「俺は男友達との絆を大事にしたいからここにもあまり来れないかもしれないけどまた必ず来る」

そう言った。

雅人が帰りまた一人になって数日が過ぎていた。冷静に考えるようになって私はすごく悩んでいた。

私の回りにも浮気や不倫をしてる人がいたし、その人達の辛さ寂しさを知っていたから…もし私が雅人の彼女だったら?そう考えると彼女に申し訳ないという気持ちでいっぱいになった。それでも、もう雅人と昔みたいに友達には戻れないと思うとどうする事も出来なかった。

毎日毎日そんな事を考えていると突然携帯が鳴る。携帯を覗きこんだ。雅人だ!

「もしもし」

「もしもし、俺。今日会える?」

雅人に言われて雅人を迎えに行った。

雅人は私を

「いい女だ」とたまに誉める事があった。それは

「泊まって行って」

「帰らないで」とワガママを言わない事だった…

言いたかった。ずっと一緒にいて欲しかった。帰らないで私を一番にしてよ!ずっと心の中ではそう思っていた。でも、そんな事口には出来なかった。雅人の彼女の事を考えての事もあったがそれ以上に雅人に嫌われたくなかった!それぐらい私はワガママだったし弱かった。でも、そんな私を雅人は知らない…

そんな事を考えているとフッと気になった。

そうだ、雅人の彼女は何で連絡をして来ないんだろう?雅人は彼女になって言って出て来ているのか?私は雅人に聞いた。

「友達の所に行って来るそう言った。彼女から連絡がないのは俺の携帯トモの家だと圏外だから」

友達?雅人がまさか彼女に本当の事など言えるわけないのはわかっていた。だけどやっぱり私は雅人の一番にはなれない事を改めて突き付けられて少しショックを感じた。雅人はそんな私に気付く事はなく

「俺、地元に帰るといつも一緒に飲みに行く先輩がいるんだけど行ってもいい?」

「いいよ」

「俺の携帯圏外だからトモの携帯から連絡したいんだけどいいかなあ?」

私は雅人に携帯を貸した。

雅人は携帯を切ると

「居酒屋で飲んでるらしいから行く。トモも一緒に行こう」

そう言ってくれた。

居酒屋に向かう車のなかで雅人の彼女の事が気になった。

「雅人、彼女に連絡しなくていいの?飲んだら帰れないし彼女心配するよ!」

私はそう言っていた。はじめは渋っていた雅人も観念したかの様に彼女に連絡をする。

「実家に泊まる。先輩と飲むから」

そう言うと雅人は電話を切った。


居酒屋に着き雅人に連れられ中に入ると雅人の先輩らしき人と同じ席に1人の女の人ともう1人男の人が座っていた。

雅人は私を先輩に紹介する。

「トモです」

えっ?それだけ?確かに彼女ではないけど…まぁ二番目です。なんて紹介はできないか。と思っていると先輩は

「彼女?」すかさず聞いてきた。私は何て答えたらいいのか分からず迷っていると雅人は

「はい…」と答えた。これがイチ(雅人の先輩)との出会いだった。

話しをして行くうちに一緒にいる女の人はイチの元奥さんだと言う事が分かった。

雅人はと言うとすごく酔っていた。というより荒れていたのかもしれない。

その日雅人は歩けない程フラフラだった。そんな雅人を見るのも初めてだった。それでも雅人は私には何も話してはくれなかった。それがまた寂しかった。お前じゃダメだと言われている気がした。もしかしたら私の事が原因かもしれないと思った。



雅人とは相変わらすあまり連絡を取らない。というよりいつ彼女と一緒にいるかわからない。私からは連絡が出来ずにいた。 色んな事をいつもいつも考えて私もかなりまいっていた。 今日は職場の人達と飲み会だった。みんなで話をしているうちに何もかも忘れたい気持ちが私のお酒のペースを早めた。そんな時携帯が鳴る。知らない番号だった。誰だろう?そう思っている内に電話は切れた。すごく気になりその番号に電話をかけてみた

「もしもし?」

男の人の声がした。

「もしもし?さっき電話がかかって来たんですけど…」

そう言うと

「トモちゃん?」と聞かれたその電話はイチだった。 前に居酒屋で飲む時雅人が私の携帯からイチに連絡をした。その時イチは一応番号登録しとくと言っていたのを思い出した。

「はい。どうかしたんですか?」

「あっ、雅人は?」そう聞かれた。

あれ?この人私を本当の彼女だと思ってるのかなあ?本当の彼女を知らないの?

「雅人はいませんよ。前に雅人は私の事を彼女だといったけど本当の事知らないんですか?」

私は酔っていた事もありイチにそう言った。

「えっ?知ってるの?」イチは私にそう聞いた。

何だ知ってたんだ。私が知らないと思って気を使ってくれた。

「でっ、どうしたの?」

そうイチに聞かれ私はハッとする。

「えっ?電話かけて来たのはイチさんでしよ?」

「えっ?俺かけてないよ」

「いや確かにかかって来たからかけたんですけど…」

「あぁー!俺、今飲みに出ててトイレに行ってたら友達が携帯いじってたから間違って発信したのかも…ごめん」 「いえいえ!間違えならいいんです」と言ったけど私達は一度しか会ったことがなかったし、電話を切るタイミングが分からずにいた。

「明日さぁ、メシでも食いに行く?」

「えっ?はい…」

私は急な事でビックリしていた。

「じゃーまた明日連絡するよ」

イチはそう言うと電話を切った。


次ぎの日私はイチからの連絡はないだろうと思っていた。昨日は二人とも別々に飲んで酔っぱらっていたからだった。 夕方になりイチから連絡があった。覚えてたんだ。イチは私の家の近くまで迎えに来てくれると言った。大体の目印を教えて30分後に家の近くで待ち合わせた。


イチの車に乗るとイチは酔っぱらっている時とは違って無口な人だった。

イチの行きつけの居酒屋に入りお酒が回ってきた私は雅人との事を打ち明けた。イチは一回り年上と言う事もあり静かに何も言わずただ私の話を聞いてくれた。やっぱり私には二番目は無理だった。本当は少し前から気付いていた。でも、気付かない振りをしてきた。それも今日までだと思った。イチに話をしてしまった事は私の限界を示していたからだった。

ご飯も食べ終わり店を出た。

「次ぎのお店に行こう」とイチが言い出し車に乗った。信号待ちでイチは私に

「俺と付き合おう!こんな良い子にこんな思いをさせて雅人はバカだ!」そう言った。

雅人と別れてもやっぱり1人になることが出来なかった私はイチを受け入れた。

朝隣に寝ているイチをみてもう後戻りは出来ないそう思った。雅人には連絡をしないまま時間だけが過ぎた。

何日かして雅人から連絡があった。

「急に時間出来たからご飯でも食べに行こう」

私は何をどう話せばいいかわからず後で電話すると言い雅人との電話を切った。その場で雅人に本当の事を伝えた方が良かったかもしれないけどイチと雅人の関係が壊れてしまうかもしれないそう思った。

雅人との電話を切った後私はイチにその事を話した。イチは自分が雅人に話をすると言った。私から雅人に本当の事を伝えるべきだと思ったが雅人とイチの関係を考えてイチに頼む事にした。

何分かして携帯が鳴った。イチからだと思っていたがそれは雅人からだった。 「良かったじゃん!イチさんは好い人だし、何でも甘えて頼っていったらすごく可愛がってくれるから頑張れよ」

私は複雑な気持ちになった。

それだけ言うと雅人は電話を切った。

電話が終わるのを待っていたかの様にまたすぐ携帯が鳴る。イチからだった

「雅人に話したよ。ともは良い子だから大事にしてあげてください。俺も惜しい事したって…あいつにそう言われたよ」 雅人がイチに気を使って言った言葉だとすぐにわかった。

今度こそ雅人の事は忘れよう!そう決心をした。



それからイチは毎日会いに来てくれ次第に一緒に住むようになっていた。

朝イチを見送って私も仕事へ行く準備をしているとイチから電話がかかった。

「もしもし、どうしたの?」そうイチに聞くと

「今雅人から電話があった。ともの友達で田川ミキって子おるやろ?昨日の夜事故にあって死んだらしい。今日夜お通夜があるらしいから」

「えっ?ミキが?死んだ?何かの間違えじゃないの?」

私はあきらかに動揺していた。

イチとの電話を切りとりあえず職場に向かった。職場に着くと急いで新聞に載っているお悔やみ欄を見た。そこには

(この度、田川ミキは不慮の事故により帰らぬ人となりました。)その新聞記事を見ても頭の中で理解が出来なかった。

お通夜の会場に行くと少しして雅人が私を探して走って来た

「トモ、知ってた?」

「全然知らなくて…教えてくれてありがとう」

「イチさんは元気?」

雅人は時々イチに連絡をしているらしかった。

「元気にしてるよ。雅人は元気にしてた?」

「元気だよ。それより先輩と結婚しないの?」

「…うーん…。雅人は彼女と付き合い長いのに結婚しないの?」

「俺はしてもいいんだけど彼女があまりいい返事しなかった。それにもう別れたから…」 別れた?何で?そう聞こうと思ってたのに

「何でいまさら?じゃあー何であの時に…」

私の口からはそんな言葉が出ていた。

雅人は

「そんなこと言ったら…」

その時お通夜が始まった。私はお通夜中あの時イチを受け入れず寂しさに耐えて二番目だったらもしかして雅人の一番になれたのかなあ?そんな事を考えていた。


お通夜が終わり友達が沢山いるなかで雅人とはそれ以上話せなかった。 帰りにバッタリ会える事を願い雅人の実家の近くまで行ってみた。高校の頃近くに住んでいてもバッタリ会うことがなかったのに今さら会えるわけはなかった。もっと話したかった…でも、それは叶うことはなかった。

家に帰り着くとイチが優しく向かえてくれた。そんなイチを見て雅人の事を考えていた事に罪悪感を感じ、本当にミキが死んでしまった事実に涙が止まらなかった。

それでも日々は巡りいつも通り回りも私も普通の生活に戻っていった。

雅人からイチに電話があったのはそんな時だった。

イチは雅人との電話を終えると

「雅人、彼女と別れたらしい。色々話したい事があるみたいだから明日泊まりに来る事になったから」

「…そう…。わかった」

当時イチと私の家は引っ越しをし一軒家を借りていた為雅人が来ても会わなければ大丈夫だろうとそんな甘い考えを持っていた。 次ぎの日イチが雅人を連れて帰って来た。

「トモも一緒に飲もう」

イチからそう言われ少しだけ飲む事にした。

だんだんイチが酔っぱらい先に寝てしまった。

私達もそれぞれ別々の場所に横になり話をした。同級生が今どうしているか、どうして彼女と別れたのか、聞きたい事を色々と聞いた。

腕をフッと上げると私の手が雅人の指に触れた。久しぶりに雅人に触れた事に緊張してしまい私は手を動かせなかった。

雅人も動かそうとはせずそのまま話を続けた。雅人の話が耳に入って来ない。あんなに愛しかった雅人に今また触れている。 イチが急に起き上がりトイレに行った。もう雅人に触れる事は出来なかった。


雅人が家に泊まりに来た1ヶ月後にビックリする事が起きた。

私は妊娠していた。相手はもちろんイチだった。私とイチはそれまでに何度か妊娠をしていた。イチはその度に産んで欲しい!一緒になろうそう言ってくれていた。でも、私はそれを受け入れる事が出来ず自分とイチの赤ちゃんを何度か殺してしまっていた。

きっと私は自分の気持ちがフラフラしている事、本当にイチと一緒にやっていけるのか、こんな私が子供を育てる事が出来るのか…そんな事を考えるとイチと結婚し子供を産む勇気がなかった。

でも、今回は違う!イチと次ぎに赤ちゃんが出来た時には産もうと話をしていたからだった。



私はイチと結婚する事になった。

もちろんイチとの生活に不安はあったしこんな私でいいのか迷った。勇気も出なかった。でも、もう二度と自分の子供を殺すことは絶対に出来ない!

イチは雅人に電話で結婚の報告、子供が産まれる事を話した。



それから10ヶ月私は赤ちゃんを産んだ…

もう後戻りは出来なかった。この子の事を考えると絶対に…私がしっかりしなければ…


イチと子供と暮らす今の生活はそれなりに幸せだ。それでも今でも君を思い出す…今もきっとこれからもずっと………

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