第3話 早く町に行きたい…
なかなか動かない彼らを見ると、焦りが募る。
「あ、あの~。」
「ひっ…!」
「く、黒色…。」
あー…
髪色変えるの忘れてた。まずい、どうする!?
…こうなったら、しょうがない。
『私は茶色の髪と目。あなたたちはただの少女に助けられただけ。』
私は髪と目の色を平民の一般的な茶色に変化させると、一人一人と目を合わせて言い聞かせるようにゆっくり言葉を紡ぐ。
彼らの虚ろな目は私に向けられているが、どこか別の虚空を見つめている。
「茶色、髪と目…。」
「ただの、少女。」
「助けられた。」
『そう、何も特別なことなどない。』
パンッ。私の両手は乾いた音をたてた。
彼らはハッと意識を取り戻した。
私は、術の制度の満足さに笑みを浮かべそうになるのを堪え、顔に心配そうな表情を張り付けた。
「お兄さんたち、大丈夫?もしかして、魔物の瘴気に当てられた?」
「あ、あぁ。いや、大丈夫だ。」
「ちょっと、びっくりしただけだよ。」
「お嬢ちゃん、小さいのに強いなぁ。」
小さいって…。自覚しているけど、他人に言われるとなんかいやだ。
それに、何その笑顔。私はそこまで子供じゃない!
そんな私の内心など露知らず、彼らは頷き合っている。
「お嬢ちゃん、ほんとにありがとな。」
「命拾いしたぜ。」
「ご無事なら良かったです。それじゃあ私はこれで。」
関わり合いは最小限に!!
これ以上は面倒なのでさっさと退散しましょう。
「もう行くのかい?」
「お礼をしたいんだが…。」
引き止めないでください。思わぬことに時間を割いてしまった。
こんなことをしていたら、城の者たちに気づかれるかも知れない。
早急に立ち去らねば。私にはやることがたくさんあるのだ。
「すみません、先を急いでますので。お礼の方もお気遣いなく。それでは。」
「あっ…。」
まだ何か言いたそうだけど、無視だ無視。
私はそのまま早歩きで麓の町に直行した。
私は若干の疲れを感じながら、賑やかな通りを歩いていた。
今はギルドに向かっている。それにしても…
「危なかった。」
先ほどの出来事を思い出すとため息が出る。自業自得なのだが…。
あれぐらいなら体にも悪影響を与えないだろう。私が使った【暗示】は、【記憶操作】よりも解けやすいが安全だ。まぁ、私の【暗示】を解ける人なんていないだろうから、問題はない。
人間は脆いから彼らのためにも、もっといろんなことに気を付けなければ。
いつもうまくいくとは限らないし。
私は新たに決意を固めた。
ギルドの場所はすごくわかりやすかった。
大通りに面していたし、何処か雰囲気が違う。加えて、建物がそこら辺のそれよりかなりでかい。
初めて来た私にはすごく助かるから良いけどね。
早いとこ入って、登録してしまおう。
いざ、出陣じゃ!!
……なんちゃって。(笑)