第2話 さっそくトラブル発生
あっという間に到着。
やっぱ便利だよね、転移魔術って。
さて、早いとこ山を下りよう。
私は同じ景色ばかり続く山をぼんやり眺めながら歩いた。
ここはもう、人間界。
魔法なら多少大丈夫かもしれないが、魔術を使うと大変なことになる。むやみやたらに使わないよう、気をつけなければ。使うときは、こっそりと。
――――……っ
私たち魔族は人間より五感が優れており、身体能力も高い。その中でも私は一番優れていた。だがそれも国を出た時点で、制限をかけていた。と言っても、並の魔族程度だが。
そんな私の耳は人間の悲鳴をとらえた。
さて、どうするか。
なんて考える必要などない。
私の体は、聞こえた音を耳でとらえた時にはすでに、動いていた。
近づくにつれ、徐々に大きくなる声と気配。
魔物…。しかも、かなり大きい。
「生きているといいけど。」
人間界に来て早々のトラブルにため息をつきたくなった。
ほっとけばいいのかもしれないが…、やっぱり気になる。
あ、いた。
よかった、まだ死んでいないようだ。
気配を消して近づく。
こんな時体が小さいと隠れる場所多くて助かるし、見つかりにくいから良いよね。普段は大変だけどね。
だが、このままだと殺されるのも時間の問題だろう。現に、かなりやばそう。
そう言えば、魔術は使えない。魔法…もダメだ。人間は詠唱しなくちゃいけないんだった。魔法詠唱は知っているが、あれは時間が必要だ。詠唱している間に、魔力を感知されて襲われる危険がある。
よし、こうなったら物理攻撃だ。
幸い(?)武器は使える。むしろ得意だ。……これまたチートだよね~。あはは…。
全部の武器を使いこなせるようになった。今では、剣だけで戦っても負けなしになってしまったよ、はい。
と、こんなことしてる暇ないんだった。
「武器生成、剣。」
声に出さなくてもいいんだけどね、何となく。
私のイメージした通りの剣が一振り現れた。
鞘から剣を取り出し、構える。鞘は腰に装着済み。
そのまま魔物に一直線。
突然殺気を向けながら飛び出した私に、戦っていた両者は動きを止めた。
だがそれは命取り。一瞬で距離を縮め、動きを止めた魔物の首を切り落とした。
…一撃で首落とすって、どんだけやばいの、私。
こんなんで人間に混じっての生活、大丈夫かな?
でもさっきは緊急事態だったし、うん、次から気を付けよう。
そんなことよりも今は、
「大丈夫ですか?」
何事もなかったかのように、にっこりと笑みを浮かべて振り返った。
気にしたら負けだよね。
ここは笑って誤魔化せ!!
襲われていた人たちは私の質問に答えを返さなかった。
いや、返せなかった。
見事に硬直状態。
わぁ~なんかある意味すごい。
私の周りにはこんなにも硬直する人はいなかったため、何だか新鮮。
………誤魔化すのってやっぱり、無理?