第13話 人間界版、魔物の分類
話し終わった私は、鬱屈とした雰囲気が辺りをを漂っている事に気がついた。
あれ?なんだろうこの空気…。そんなに重い話したっけ?
首をかしげながら記憶を辿るも、拙い設定だったというだけで、特に思い当たる節はない。頭に疑問符を浮かべていると、商人の1人が話しかけてきた。
「とても、苦労したんだなぁ。おじさんたちでよければいつでも力になるよ」
「そうだぞ坊主。今までは爺さんしか頼れなかったんだろうが、これからは先輩として俺たちも力になる。なんでも聞いてこい」
商人の言葉には一同は同意を示した後に、ブルジスがかけた言葉で質問がしやすくなった。とりあえず、誤魔化しは成功したらしいので、この空気は無視してもよさそうだ。
この人たちが、お人好しで、あまり突っ込まない人たちでよかった。騙している私が言うもなんだけど、この人たち大丈夫なのかな?少し、この人たちの人間関係が心配になったのだった。
「えーっと…じゃあ、よろしくお願いします」
「よし。とりあえず、魔物の事からだな。ロウィン、頼んだ!」
「はぁ…だと思った。おまえは、人に教えるのに向いてないからな。本人もよくわかっているし、俺から説明するぞ」
どうやら、2人の間で、担当が分かれているらしい。ブルジスは率先して動き、ロウィンは冷静に分析して弱いところを補う。バランスのとれたいいパーティーのようだ。
曰く、魔物とは魔力を持っている動物の事であり、瘴気を帯びた個体と、帯びていない個体がいる。
…ん?
魔物は強さと特性によって、分類されている。
地を駆けるものはアズィーラ、水中を移動するものはシーラ、空を飛ぶものはスカーラと呼んでいる。
…んん?
魔物は強い方から、S級、A級、B級、C級、D級、E級、F級に分けられている。
ランク分けの基準として、S級は国が滅ぶ、A級は大都市が滅ぶ、B級は国が討伐隊を組む、C級は一定の領域の主、D級はベテランの戦闘職が1人で倒せる、E級は多くの戦闘経験があれば倒せる、F級村の狩人が倒せる、と定められている。魔物の階級分けは、Cランク以上のギルド登録員やギルド職員、騎士団や自警団の部隊長クラスが、複数人の意見を考慮して決定される。
ちなみに、ギルドのランクも魔物の強さを基準にしている。SランクになるためにはA級の魔物を、AランクになるためにはB級の魔物を、BランクになるためにはC級の魔物を、CランクになるためにはD級の魔物を、DランクになるためにはE級の魔物を、1人で倒せるほどの戦闘力が必要となる。とは言っても、Bランク以上は信用度も関わってくるため、ランク上げがとても難しくなるのだが。Eランクになるためには採取、探し物、都市内の配達といった仕事を、一定数こなせばいい。一般的に、Cランクがベテランや一流と言われる。パーティを組んだ時のランクも、1人で倒すか複数で倒すかの違いはあるが、だいたいこの基準で決められる。
ふむふむ…。
「…と、まぁ、こんな感じだな」
「とてもわかりやすくて、ありがとうございます。明確に基準が定められていると、討伐の人選がやりやすいですね」
「あぁ、むしろそのために明確な基準を定めたのだろうな」
「にしても、あんなところにA級の魔物が出るなんてなぁ」
「我々は何度もあそこを通っているし、薬草が豊富なところだから、人の手が多く入っている。魔物が出ることすら稀であったのに、A級が出るなんて…」
「やっぱり、魔王の噂は本当なのかもなぁ…」
みな一様に顔を暗くする…が、
だーかーらー、魔王は関係ないってばぁぁぁーーーーー。




