第10話 異常発生過ぎじゃありませんか?
異常だね。
何これ、予想以上の異常さじゃないか!!
山に入ってそう時間が経たないうちに魔物の襲撃に遭った。
薬草が取り終わって、今は下山中。襲撃に遭った回数、七回。
普通ならば三度襲撃に遭えば運が悪い方。
だから、もう一度言おう。
異常過ぎる。
こんなにも異常な魔物の発生は今まで見たことがない。
しかも個々の能力が数段上がっている。
ここまであからさまな変化に誰も気付かなかったのか?
でも魔族は自分中心の考えだから知っていても報告しなかった可能性も…。
なにしろここは人間界。魔界に被害がないから気にも留めなかったのだろう。
さて、どうしようか。
何より一番気になるのは魔物が纏う瘴気だ。
ずっと前に見た魔物と明らかに瘴気がおかしい。
何と言うか、もっと禍々しくて密度が濃い、じめじめした非常に不快な瘴気だ。
これは本格的に調査が必要かも…。
とっても嫌な予感がする。
まあ、今考えても仕方ないか。今は護衛に専念しよう。
と、まあ思っていたけど山の出口が見えて少し安心したせいか、八度目の襲撃に反応が遅れた。
遅れたと言っても私的に、だけど。
気付けば目に見えないが、速度を上げて魔物が近づいて来るのが分かった。
もう今からじゃ逃げきれないか…。
さてと、最後(だと思いたい)の襲撃、迎え討ちますか!
私が戦闘態勢に移り、周囲を警戒しているのを見ると、ブルジスとロウィンも剣を抜いた。
商人たちはできるだけかたまって、さらに慎重に歩き出す。
慣れたものです。何度も襲撃に遭えば、何をすればいいか考えることなく瞬時に行動に移ることができた。
さあ、行きましょうか。
魔物退治の始まりですよ!!
本分は護衛だけどね……。




